【一日一捨】　マルコリーニのクッキー缶

友人知人で集まって、家飲みをするときに各人が持参するものには、性格や嗜好が顕著に出る。駅前のスーパーで普通にお惣菜のイカゲソを買ってくるやつもいれば、前日から仕込んだ手作りのローストビーフなんかを持ってくるやつもいる。デザートだと、シャインマスカットなどの高級フルーツから、コンビニで売ってる普通のチョコやポテチまで、本当にバラバラだ。

そんな中、藪下君はマルコリーニのクッキー缶を持ってきた。
たぶん、その日のメンバーの中に藪下君がちょっと気になる女の子がいたからだと思う。マルコリーニといえば、普通はチョコだと思うけど、そこを敢えてクッキーという選択がなかなかに渋いなと感心したのだけれど。
「クッキーって、もそもそして口の中の水分奪っちゃうんで苦手なんですよねー」
彼女はマルコリーニのクッキーには手を付けず、他の誰かが買ってきたスーパーのイカゲソをもしゃもしゃと食べながらビールを飲んでいた。無常。
余ったクッキーは缶ごと僕がもらった。ありがとう、藪下君。缶は捨てる。