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【一日一捨】 雑誌SPA!
昔、よく読んでいた懐かしい雑誌SPA!。
出勤時によくキオスクで買っていたけれど、発行部数が減ったのかあまり見かけなくなり、やがて買わなくなった。
先輩の大下さんと飲みに言ったとき、どういう流れからか忘れたけど、SPA!の話になった。大下さんは創刊号からずっとこの雑誌を買っていたという。リリー・フランキー、みうらじゅん、鴻上尚史の連載、サブカル系の漫画や映画評、ちょっと尖った特集記事。昔はとても面白かったが、最近はFXや投資、SEXネタばかりでずいぶんと低俗な雑誌になってしまったと大下さんはぼやく。それでもなんとなく惰性でいまだに買い続けているらしい。大下さんはもう60歳も手前だけど、所謂サブカルクソオヤジだ。雑誌と同じだけ年をとり、大下さんもいまやただの低俗なクソオヤジになってしまったんじゃないかとちょっと思ったけど、そこはたとえ酔っ払っていても口には出さない。
ちょうどその日はSPA!の発売日で、大下さんの鞄には最新号が入っていた。
「もう読んだから、やるよ」と言われ、久しぶりにどんな誌面になってるのか興味がわいて、ありがたく貰って帰ることにした。
表紙に踊る煽情的な見出し。『したいときにできる男になる! SEX弱者救済プログラム』。たしかに昔はこんな記事はなかったかも。頁をめくると、袋とじがあった。まさにその『SEX弱者救済プログラム』の記事だ。そして、その袋とじはーー
開封されていなかった。
そんなところに大下さんの矜持を見た気がした、といえば大袈裟か。
僕も大下さんに倣って袋とじは破ることなく、他の記事だけ読んでマガジンラックに放り込んでそのままになっていた。袋とじは未開封のまま、捨てる。