有給休暇申請書で考える「文章が書けない」以前の問題
「有給休暇申請書の理由欄に『一身上の都合』って書いた」って笑い話は、実話なんでしょうか?
実は、この笑い話から「文章が書けない」人にも二種類いる事が分かります。
一つは、「文章が書けない」以前の問題がある人で、もう一つは、本当に「口では説明出来るが文章に出来ない」タイプの人です。
どこの会社でも、有給休暇の申請書はそんなに長い文章は要求されないと思います。
申請書は、自分の名前と部署名、休暇を取りたい日を書いて、事由欄に「自己都合」と書けば済むような様式になっている事がほとんどだと思われます。
会社によっては、自己都合の中身、例えば、体調不良とか旅行とか子供の学校行事とかと言った事を多少書くように求めている事もあるでしょう。
しかし、体調不良の中身について、「昨夜、悪寒がするので、予測式の電子体温計で体温を測ったところ、摂氏38.9度との結果が表示された。そもそも、体温計には予測式と実測式がある。予測式は計測時間を短くするため、医療機器メーカーに蓄積されているこれまでの測定データに基づき、昇温状況から一定の計算式によって体温を予測するものである。予測式体温計は、登場当時には精度に疑義が持たれていたが、現在はかなり信憑性が高いとされている。次に摂氏であるが、これはセルシウス度の事であって、水、すなわち、H2Oの融点をゼロ度、沸点を百度として定めたものである。しかし、当然ながら、融点や沸点の実測値は誤差を含むものであるから『水の融点をゼロ度とする』と言う言明は・・・」
みたいな事を書かせる会社は、まず絶対にないと言ってよいでしょう。
いくらなんでも、そんな事はありえない、文章はおろか、口頭でも予測式体温計の精度についての考察なんか伝えない、ですって?
では、病気で会社を休みたい時には、どうしていますか?
まず、電話して「あ、すみません。昨日から熱があって、出勤は無理みたいです。」みたいな事を言う人がほとんどだと思います。
すると、電話口で上司や先輩から、「どうしたんですか?」と聞かれ、「いや、昨夜の時点で38.9度ありました。まだ医者には行っていません。たぶん、インフルエンザじゃないと思います。とりあえず、今日は休ませてください」みたいなやり取りが交わされると思います。
その後、「いつ頃、出勤できそう?」って質問が出てきて、「そうですねぇ、熱が引けば明日は出れると思います」、「あんまり無理はしないでね」みたいな話になって電話は終わる事でしょう。
なんとか体調が戻って出勤して、「ご迷惑おかけしました」と挨拶すると、「あ、じゃ、有給休暇届け出しといて」とかって言われて、申請書を書く必要が出てきます。
その時、そう言えば、今まで、こんな申請書書いた事なかった、どうしたらいいんだろう?ってまごついているあなた、
「書いておいて」って言った当の上司は、どこかに出かけてしまって不在の状態、当惑しているあなたの前に、誰か先輩がやってきて、「あ、書き方わかる?」、「そこの欄には、自己都合、その右に『体調不良』って書けばいいのよ」と言ってくれたりします。
あなたは「ありがとうございます。」と言って、申請書を書き、提出。
多くの会社で繰り返されているような「ありきたり」のやり取りです。しかし、このやり取りの中に「文章が書けない以前の問題」が含まれているのです。
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