環境基本法の制定目的を考えてみる
環境基本法の第一条には、制定目的として、
第一条 この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
と書かれています。
つまり、「国民の健康で文化的な生活」の確保と「人類の福祉」への貢献が制定目的だと言っているわけです。
「国民の健康で文化的な生活」は、「生活権」を規定した憲法第25条からのものだと気づいた方は多いと思いますが、
人類の福祉はどこから来ているかと言うと、おそらく1972年の「ストックホルム宣言(人間環境宣言)」からの引用だと思われます。
1992年のリオサミットで、「リオ宣言」が採択され、気候変動条約が締結されて、各国は温暖化対策に取り組むことになりました。リオ宣言では、ストックホルム宣言を再確認すると言っています。
一方、憲法第98条第二項には、
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
と書かれています。
つまり、日本が締結した国際条約は守る事になっている ⇒ 日本はリオ宣言、気候変動条約に署名した ⇒ リオ宣言は「人類の福祉」のために環境問題が重要と言うストックホルム宣言の精神に立っている ⇒ そこで「人類の福祉」に貢献するため環境基本法を定める事にした
と言う論理が、この第一条から見えてくるわけです。