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新潟県阿賀野市の「耕畜連携事業」を統計データから考える・・・農地の堆肥受け入れ余地と国の役割について

2023.2.13付で新潟日報が報じたところによると、新潟県阿賀野市で同市産の堆肥1500トンを買い上げ、市内の農家に提供するとの事です。

記事中にもありますが、現在、肥料や農業用資材の価格は高騰しています。国としても化学肥料を堆肥に転換するなど、「自己努力」をした農家に、化学肥料価格上昇分の一部を補助するなどの施策を打ち出しています。

こうした中で市が堆肥を買い上げ、耕種農家に配布すると言う動きは、注目されます。

既に同市には事業要綱などの資料を依頼するメールを送っていますが、さしあたり、記事や同市のウェブサイトに掲載されている統計資料等を元にいくつかの考察をしていきたいと思います。

まず、同市が買い上げるとした堆肥はどのようなものなのかを知りたいと思います。

記事では、堆肥1500トンが田畑300ヘクタール分に当たるとしています。堆肥1500トンを田畑300ヘクタールに入れるとすると、1ヘクタール5トンの計算になります。

牛ふん堆肥は、多量に投入すると土が窒素過多になる可能性があり、1反(10分の1ヘクタール)当り2-3トン程度の基準が設けられている地域が多いようです。

反あたり2トンの投入量とすると、1500トンの堆肥は、75ヘクタール相当で300ヘクタールになりません。

もっとも記事には堆肥とだけ記載されており、牛ふんとは書かれていません。すると、豚ふんなのか?、あるいは鶏ふんなのか?

つまり、記事中で同市が買い上げるとしている堆肥とはどういうものなのか?をまず知りたいと思うわけです。

次に同市の統計資料によると、同市の農地面積は約69平方キロメートル(6900ヘクタール)です。

仮に1500トンの堆肥が農地300ヘクタール分に相当するとすると、この面積は市内農地の23分の1、約4.3%分です。

これを多いと見るか、少ないと見るべきでしょうか?

農水省のデータによると、畜産廃棄物の発生量は年間約8000万トンで、約半数を牛ふんが占めています。

4000万トンの牛ふんを1ヘクタールあたり20トン投入すると200万ヘクタールの農地相当になります。

耕作放棄地や生産調整等で「耕されていない」部分を除くと実効稼働している日本の農地は300万ヘクタール程度と見込まれます。

そのうち3分の2の農地に牛ふんが投入されているとはどう見ても思えません。

畜産廃棄物の80-90%、つまり、ほとんどの牛ふんや豚ふんは堆肥化されているそうですが、実際は堆肥化されただけで農地に投入されずダブついているものが多いのではないかと思われます。

(僕の知り合いの農家で、農協との付き合いで買った、3年分ぐらいあるかなぁと庭先に未使用の大量の牛ふんを置いている人がいます。)

農水省の資料を見ても、堆肥の流通量の数値はなく、「地場流通」と言う書き方がされていたり、(畜産が盛んな地域で作られた堆肥の)広域流通を進めるとか、堆肥以外にメタンガスなどを作るのに使う事を進めると言った意味の事が書かれている場合があります。

どうやら、堆肥がどの程度、流通しているかは、国も把握していない、ただ、かなりダブついているらしいので、広域流通や堆肥以外の目的に使って堆肥生産量を減らす努力をすると言った形で「ダブつき」を軽減できないか検討していると言うところなのではないでしょうか?

このように考えてみると、阿賀野市で1500トンの堆肥を300ヘクタールの農地に供給しても、まだ同市内の農地の90%以上には投入出来ない、

つまり、ダブつき堆肥を受け入れる余地は非常に多く残っていると言えます。

もちろん、阿賀野市の取り組みが少ないと言って批判しているわけではなく、今回の施策は非常に注目すべきだと思います。

むしろ、「国の役割」と言うものを考える・・・

つまり、価格が高騰する化学肥料を「堆肥」で代替する可能性は、「堆肥のダブつき」の現状を考えると大いにある、

そして、少々、自治体が頑張っても、農地が堆肥で飽和してしまうようなことはなく、堆肥を受け入れる余地のある農地はかなり残っている、

そう考えると、国が果たすべき役割が浮かんでくるような気がします。

阿賀野市の取り組みについての考察は、今後も続けます。

さいたま市の2-3月の平年値(1980-2022の平均)を見ると、2/14・バレンタインデーにいったん最高気温が10℃を超えます。その後、いったん10℃未満となった後、雨水(2/19)明けの2/20に10℃超えとなります。2/24に10℃を下回るものの9.6℃と「下回り方」はごくわずかです。

つまり、バレンタインデー~雨水を過ぎると、かなり暖かい状態になるわけです。

今年は北風が吹いて冷たいバレンタインデーでしたが、2週間予報は雨水2日前の2/17以降、最高気温10℃を下回る日は3日しかないとの情報を伝えています。

本日は、カブ、大根、チンゲンサイ、小松菜の種まきを実施、土曜日にはサニーレタス、ニンジン、ゴボウなどの種まき予定です。

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