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カバープランツと雑草の種類~雑草生態学的な考察

夏になると生い茂る雑草。畑の草取りは大変ですね。
この草取りの手間を省くために、いろいろな試行がなされていると思います。
「カバープランツ」もその一つ。野菜の生育を邪魔しないような植物を生やして雑草が生い茂る余地をなくそうと言う考え方です。
僕自身も、「ハーブ草生農法」と言って、野菜の畝間にハーブを植えてみたらどうだろう?と発想でやってみた事があります。
その他、カタバミとかスベリヒユだとかシソだとか、いろいろな植物を生やしてみた経験があります。
今回は、それぞれの方法の特徴の側からではなく、ちょっと「雑草生態学」的な視点から、この「カバープランツ」法について考察してみることにしました。


雑草生態学的な視点で雑草を分類してみると…

「雑草」は形態や生長の様子等により、いくつかに分類されるようです。
まず、形態的に言うと、立性、ツル性、ほふく性、ロゼッタ型、ニセ(部分)ロゼッタ型等に分けられます。
また、生長の様子からは「陣地強化型」と「陣地拡大型」に分けられます。
どちらにも、大型のものと小型のものがあり、例えば、大型の陣地強化型雑草、小型の陣地強化型雑草のように分類されるそうです。
また、日本の雑草の多くは秋に発芽して越冬し、春以降繁茂・開花する「春雑草」と、初夏に発芽して夏に繁茂する「夏雑草」のどちらかに属すると言われています。
もっとも、春雑草でも春に芽生えて生長するものもあります。
これらの分類は、「便宜的」なものと考えてもよいでしょう。

カバープランツになりうる植物は、どんな種類のものか?

こうした分類を踏まえて、カバープランツになりうる植物について考えてみると、次のよう言えると思います。
まず、野菜の生育を邪魔するものはカバープランツになりえません。
ほふく性やツル性のものは、畝間から茎やツルが畝に伸びてきて、畝を覆ってしまう可能性があります。
ですから、ほふく性やツル性雑草は、たいていの場合、カバープランツに不向きと思われます。
ロゼッタ型や小型で立性のものは、野菜の生育をあまり妨害しないのでカバープランツとして使える可能性があります。
立性でも大型になるものは野菜の生育を邪魔する可能性があるため、カバープランツに向いていないでしょう。
陣地拡大型の雑草も、生えている場所から茎やツル、地下茎などを伸ばして、別の場所に繁茂する可能性が高いと言えます。
陣地強化型雑草は、野菜の畝にも繁茂して野菜の生育を妨害するため、カバープランツに向いていないと思われます。
それから春雑草の多くは夏場に枯れてしまうものが多いと思われます。枯れた後、地を覆って、夏雑草が芽生えるのを防いでくれるならカバープランツとして使えるかもしれません。
しかし、枯れた後、地を覆ってくれず、「隙間」から夏雑草が芽生えて育ってくるようなものはあまりカバープランツとして役立たないでしょう。

強勢雑草はなぜ「強勢」なのか

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