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認知機能って大事『ケーキの切れない非行少年たち』を読みました

こんばんは、SAICOです。

『反省させると、、』の本の隣に置いてあって、『ケーキの切れない非行少年たち』一緒に買ってしまって読みました。

こちらは医療少年院のお話。
非行少年には反省以前の子どもがたくさんいるそうです。
学習の基礎となる認知機能に問題のある子が多いと。

普通の認知行動療法などは、認知に問題のない人には使えるけれども、認知自体に問題があると効果がまったくでないそうです。

ケーキを3等分することもできないとなると相当認知がゆがんでいて、見たこと、聞いたことなどがゆがんで認識されてしまうわけです。
当然コミュニケーションのトラブルも多く、いじめの対象になったりもする。

非行少年に共通する特徴は
・認知機能の弱さ
・感情統制の弱さ
・融通の利かなさ
・不適切な自己評価
・対人スキルの乏しさ
+
・身体的不器用さ
だそうです。

そして、非行少年たちは事件を起こす前からいろいろサインを出しているそうです。だいたい小学校2年生ぐらいからサインがでだすそうです。
サインは、勉強についていけない、遅刻してくる、宿題をしてこない、友達に手をあげるなどなど、、
このようなサインの背景には、発達障害や知的障害、家庭での不適切な養育や虐待などが関係しています。
本来は保護されたり、支援をうけなくてはいけない子どもが、単なる問題児として扱われ、支援されないまま社会に放り出されていると、書かれています。

特にこの本では軽度の知的障害の人が社会から気づかれないままになっていることを指摘しています。
1950年代はIQ85未満を知的障害としていたそうですが、1970年代からはIQ70未満を知的障害とするようになったそうです。
IQ70-84は境界知能といわれ、14%ぐらいいるそう。実際には支援が必要ですが、普通の生活をしているので、厄介な人として扱われたり、搾取されたり、様々な困難に直面しているといいます。そして、いじめの対象などにもなりやすい。そして、そのいじめのストレスで犯罪を犯してしまう子もいるそうです。

そういう軽度の知的障害で問題を起こしている子に、褒めるだけ、話を聞くだけでは問題は解決しないと著者は言っています。
いくら褒めたり、話を聞いても、勉強ができるようになるわけではありません。計算をする、漢字を書く、人とコミュニケーションをとる、といった必要なことは、できるようになるように教えてあげる必要がある。

漢字を読み書きする、計算することができない場合は、それの基礎になる認知のトレーニングをする必要があって、それなしに、無理に漢字や計算をやってもできないことはできないと。

幸い、認知機能を高めるためには、コグトレ(認知機能強化トレーニング)というものがあるそうです。1日5分のトレーニングでよいそうです。

認知機能のトレーニングは犯罪を減らすことにもつながる、と著者はいいます。
凶悪犯罪には、生活歴や生活の問題以外にも、脳機能障害の問題が関係していることも多いようです。

もちろん認知だけではなく、社会面、学習面(認知面)、身体面の三方向からの支援が必要だそう。

まったく知らない世界のことで、いろいろびっくりすることも多かったです。

目が見えていても、認知機能によって、見えてる世界がぜんぜん違う。
同じことを聞いても、認知機能によって、聞こえかたが違う。
当たり前といえば、当たり前だけど、改めてそうなんだなと思いました。

脳って奥深く、きちんと使えるように段階的にトレーニングすればできるようになることも、その個人にあってないスピードでやるように強要してもうまくいかない。年齢ごとに学年を分けるよりも、その人にあった学習ができるような学校になれば、もっと学校が楽しくなるのではないだろうか。

コグトレ(認知機能強化トレーニング)が広がって、犯罪が減るといいなと思いました。
犯罪が減れば、被害者も加害者も減るものね。

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