「まぁるい日本 国家安全保障(ビジョン2100)」No9~Ⅰ-3:脅威等への対応手段(その2)
■脅威等への対応手段等
●全面戦争
1 予防
(1) 外交的手段
ア 周辺国の政治的動向の把握
情報活動
諜報活動
イ 国際的枠組み、特に大量破壊兵器の拡散、使用に関する規制強化
軍備管理
通常兵器の移転管理
査察の実施
核拡散防止条約(NPT)
包括的核実験禁止条約(CTBT)
ミサイル技術管理システム(MTCR)
化学兵器禁止条約(CWC)
感染症封じ込めの安全実験施設(P4)の稼働、充実等
ウ 宣言、演説、決議等による意思表明
エ 外交ルート(外交官)を通じての意思表明
民間及び公式交流の制限、停止
外交官の退去
国交断絶
オ 同盟国等による圧力
首脳会談
共同声明の発表
カ 国際機構を通じての圧力
国際会議への上程
非難決議
キ 国際世論の喚起
ク 在外邦人の保護措置
(2) 経済等手段
ア 技術・経済優位の確保
イ 最先端の重要技術の流出防止
ウ 経済協力(有償~無償)
エ 資金援助
オ 技術協力
カ 人的、文化的協力
キ 各種協力の停止
ク 資産の凍結、没収
ケ 経済・金融制裁
(3) 防衛的手段
ア 周辺国の軍事的動向の把握
情報活動
諜報活動
イ 信頼醸成措置の拡大
ウ 防衛交流の拡大
エ 核兵器開発能力(関連技術者)の保持
核技術
投射技術
核兵器運用への理解
オ 周辺国の軍事力に見合った防衛力の保持
即応態勢の整備
BMD能力の保持
防空態勢の強化
兵器の輸入
研究開発の推進
大規模演習等の実施
カ 国内の防衛基盤の整備
法的基盤(有事法制)の整備
運用態勢強化
計画、諸規定等の整備
人的基盤の整備
物的基盤の整備
兵器の増産体制の整備
備蓄の推進
キ 戦力開発基盤の整備
防衛技術の優位の確保
ク 民間防衛基盤の整備
大量破壊兵器からの防護
医療救護活動
ケ 日米安全保障条約の信頼性の向上
防衛協議
兵器の共同開発の推進
共同作戦計画の充実
共同訓練の実施
情報交換
人材交流
2 抑止
(1) 防衛的手段
ア 即応態勢の強化
情報収集態勢の強化
警戒監視態勢の強化
部隊の出動準備態勢の強化
戦略機動~配置変更
動員
装備品の緊急増産
戦時予算要求等
イ 日米安全保障条約の信頼性の強化
核兵器運用の協議
日米共同演習・訓練
日米共同の各種活動
(2) 外交的手段
ア 宣言、演説、決議、声明等による意思表明
イ 日米共同の意思表明
ウ 国際世論の支持獲得
国際会議への上程等
宣伝活動
国連決議
二国間関係での意思表明等
(3) 経済等手段
資金調達等
3 対処
(1) 防衛的手段
ア 防衛出動
警戒監視活動
阻止
反撃
イ 米軍の来援
受け入れ
共同作戦
ウ 敵地攻撃
空爆
ミサイル攻撃
(2) 外交的手段
ア 宣戦布告
イ 宣伝工作
ウ 終戦工作
エ 国際世論の支持獲得等
(3) 経済等手段
経済封鎖等
●領域警備事案(限定侵略)
1 予防
(1) 外交的手段
ア 領有権の主張
法律の整備(根拠の明文化)
宣言
宣伝等
イ 実効支配の強化(尖閣諸島)
漁業、資源開発、海洋調査等、諸活動の実施
部隊等の配置
定期的な上陸
永久構築物等の構築
ウ 国際的な認知の獲得
(2) 経済等手段
領海内での経済活動(漁業活動、資源探査・開発等)
(3) 防衛的手段
ア 権限行使のための法令整備による対処行動根拠の国際標準化
イ 厳格な警備行動の実施
領空侵犯対処
領海侵犯対処
国境警備
ウ 交戦規定の整備
エ 対象地域に対する軍事的影響力の保持
オ 軍事的プレゼンスの誇示
カ 領土の表示
2 抑止
犯罪行為として、または偶発的に、もしくは企図を秘匿して実行されるものであり、抑止することは困難である。
3 対処
(1) 防衛的手段
ア 海上警備行動
イ 防衛出動
(2) 外交的手段
ア 非難声明、批難決議による意思表明
イ 外交(外交官)を通じての意思表明
民間交流の制限、停止
外交官の退去
国交断絶
ウ 国際機構による圧力
国際会議への上程
非難決議
国際司法裁判所(ICJ)への提訴
エ 国際世論の支持獲得
国連決議
二国間関係での意思表明等
オ 防衛意志の表明、宣言
カ 日米共同の意思表明
首脳会談
共同声明の発表
キ 在外邦人の保護措置
(3) 経済等手段
経済制裁等
●ミサイル攻撃
1 予防及び抑止
(1) 防衛的手段
ア 情報活動
イ 警戒監視活動
ウ BMD能力の保持
エ 敵地攻撃能力の保持
航空攻撃
地上戦力投入能力(特殊部隊等の限定的作戦能力)
オ 長距離ミサイルの開発、保持
(2) 外交的手段
ア 情報収集
イ 関係国による協議
ウ 国際的枠組み、特に大量破壊兵器の拡散、使用に関する規制強化
査察の実施
核拡散防止条約(NPT)
包括的核実験禁止条約(CTBT)
ミサイル技術管理システム(MTCR)
化学兵器禁止条約(CWC)
感染症封じ込めの安全実験施設(P4)の稼働、充実等
(3) 経済等手段
全面戦争に同じ
2 対処
(1) 防衛的手段
ア ミサイル防衛による迎撃
イ 敵地攻撃
航空攻撃
地上戦力投入(特殊部隊等)
ウ 日米共同対処
(2) 外交的手段
ア 非難声明、批難決議による意思表明
イ 外交(外交官)を通じての意思表明
民間及び公式交流の制限、停止
外交官の退去
国交断絶
ウ 国際機構による圧力
国際会議への上程
非難決議
エ 国際世論の支持獲得
国連決議
二国間関係での意思表明等
オ 防衛意志の表明、宣言
カ 日米共同の意思表明
首脳会談
共同声明の発表
キ 在外邦人の保護措置
(3) 経済等手段
経済制裁等
●テロ等不法行動
1 予防及び抑止
(1) 防衛的手段
ア 情報収集
テロリスト等関連情報
特殊部隊関連情報
テロ対策関連情報
科学技術関連情報
イ テロ対策の国際協調
ウ テロリスト対応手段(部隊、装備、対処要領等)の保持
(2) 外交的手段
国際協調
(3) 経済等手段
テロリスト等発生地域における貧困撲滅
(4) その他
ア 重要警護対象のセキュリティ・システムの強化
イ 国内の関係機関の連携強化
2 対処
(1) 防衛的手段
ア あらゆる手段による断固たる処置
イ 国内関係機関の連携
ウ 心理戦での勝利
エ 国内世論の支持獲得
オ テロリストの宣伝行為の封止
(2) 外交的手段
ア 国際的な連携の保持
イ 国際世論の支持獲得
(3) 経済等手段
全面戦争に同じ
●サイバー攻撃
1 予防及び抑止
(1) 防衛的手段
ア セキュリティ・システムの研究開発
システム防護
バックアップ・システムの保持
リスク・マネジメント能力の開発
イ 情報の保全、秘匿
ウ サイバー専門人材の養成
エ 法の整備
オ 盗聴、傍受、探知、監視等能力の保持
(2) 外交的手段
ア 国際協調
イ 国際的な枠組みの設定
ウ 法的枠組みの整備
(3) 経済等手段
なし
(4) その他
ア 組織内の規律維持
イ 革新的重要技術の移転管理制度の導入
2 対処
(1) 防衛的手段
サイバー攻撃
(2) 外交的手段
国際協調による取り締まり
(3) 経済等手段
なし
●地域覇権国の出現
1 予防及び抑止
(1) 外交的手段
ア 情報活動
イ 諜報活動
ウ 国際的枠組みの強化
軍備管理
通常兵器の移転管理
査察の実施
軍事的透明性の確保
核拡散防止条約(NPT)
包括的核実験禁止条約(CTBT)
ミサイル技術管理システム(MTCR)
化学兵器禁止条約(CWC)
感染症封じ込めの安全実験施設(P4)の稼働、充実等
エ 宣言、演説、決議による意思表明
オ 外交(外交官)を通じての意思表明
民間及び公式交流の制限、停止
外交官の退去
国交断絶
カ 国際機構による圧力
国際会議への上程
非難決議
キ 国際世論の喚起
ク 当該国への影響力の保持
ケ 同盟国等による圧力
首脳会談
共同声明の発表
コ 在外邦人の保護措置
サ 勢力均衡のための諸支援
(2) 防衛的手段
ア 情報活動
イ 信頼醸成措置
ウ 防衛交流の拡大
エ 周辺国への軍事協力による域内の軍事バランスの確保
武器供与
軍事顧問派遣
オ 多国間協調による軍事演習
カ 日米安保の信頼性の向上
防衛協議
兵器の共同開発の推進
共同作戦計画の充実
共同訓練の実施
情報交換
人材交流
(3) 経済等手段
ア 技術・経済優位の確保
イ 最先端の重要技術の流出防止
ウ 経済協力(有償~無償)
エ 資金援助
オ 技術協力
カ 人的、文化的協力
キ 各種協力の停止
ク 資産の凍結、没収
ケ 経済制裁
2 対処
なし
●地域紛争等
1 予想される事態
民族対立
宗教対立
難民の発生
その他
2 予防及び抑止
地域研究
情報活動による紛争原因の究明
紛争要因の排除
対象国の安定的発展支援
開発援助
経済援助
技術援助
人的援助
文化振興
人道援助
政府による直接支援
NGOを通じての支援
国際機関を通じての支援
調停
3 対処
紛争への介入(一国、日米、多国、国連)
調停
経済支援
武器供与
実力行使
多国籍軍の編成、派遣
安定維持のためのPKO派遣
●シーレーンへの妨害等
1 予想される事態
紛争等による事態
公海への機雷敷設、流出
紛争国による航行制限
臨検等の実施
海峡封鎖
艦船、潜水艦等による攻撃
ミサイル等による威嚇、攻撃
シーレーン海域における演習等による航行制限等
海賊行為
船舶の座礁等による航行障害等
2 予防及び抑止
地域紛争等の予防及び抑止
犯罪(海賊)行為の取り締まり
情報収集
国際協定の締結
関係国による共同の警戒監視
国際的枠組みの強化
艦船の自衛手段の強化指導
自衛目的での武器使用の承認
3 対策
石油、資源等の輸入先の多元化
資源供給国との関係強化
代替エネルギーの開発
資源開発
4 対処
航路の迂回
護衛艦等の派遣、警護活動
掃海
油流出対処
●自由貿易体制の阻害
1 予想される事態
経済のブロック化
管理貿易強化
貿易不均衡の拡大
関税障壁
FTAからの孤立化
大量投機による金融秩序の崩壊
各国の金融政策の協調性喪失
2 予防
国際的な枠組みの維持、強化
世界貿易機関(WTO)
国際通貨基金(IMF)
世界銀行(国際復興開発銀行IBRD)
世界知的所有権機関(WIPO)
知的所有権に関する協定(TRIPS)
経済協力開発機構(OECD)
アジア開発銀行(ADB)
アジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)
アジア欧州会合(ASEM)
G8、G20等による政策協調の拡大
国際的な枠組みにおける発言力強化(イニシアチブ)
経済成長
経済・技術協力等
市場開拓
貧困の撲滅
3 対処
協調介入
政策協調等
●諜報活動
1 予防及び抑止
国際標準に適合した法律整備
スパイ防止法の制定
防諜条項の復活
秘密保全の罰則規定強化
諜報能力の強化
防諜組織の強化
防諜技術、秘密保全システムの開発
諜報能力の充実・強化
2 対処
防諜
監視
厳格かつ迅速な法的処置
●謀略
1 予防
情報公開
開かれた公明、公正な意思決定
国民教育
国家、国民意識の高揚
国益に対する共通認識の保持
国民の道徳観、倫理観等の涵養
2 対処
なし
ここでは、使える可能性のあるものを列挙したに過ぎない。
脅威の項で考察したシナリオを念頭に、国家間関係において、どの手段が、どのような影響を及ぼし、どのような効果が得られるのかを、継続的に分析、評価しておかなければならない。
影響力は常に変化するし、対象国に対してだけ効果があって自国に影響のない手段などあり得ない.
何よりも、どこの国も多かれ少なかれ同様のことを考えるのが当然なのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?