今更オリックス優勝を振り返る2021選手レビュー


はじめましての方ははじめまして、さいばしです。Noteをはじめました。

これは某所に提出すべく去年の末に書いていたものです。2021年のオリックス・バファローズの支配下登録選手と一部の育成選手について、それぞれの大まかな成績と僕の所感をまとめてあります。多分5万字くらいあります。結局提出せずじまいで公開されることがなかったので、いまさらながらここで供養します。

校閲していない版で大文字・小文字や誤字脱字に関しては目をつぶってもらえるとありがたいです。あと、段落とか分けるのもすげえめんどくさかったんでやってません。許してください。

今年も優勝してくれると嬉しいですね、オリックス。

支配下登録選手

投手

11 山崎 福也 29歳7年目 左投げ左打ち

22登板21先発116.1イニング 防御率3.56 8勝10敗1HP QS率47.6%

75奪三振30与四死球奪三振率5.80K/BB3,13 被打率.255 WHIP1.16


今年も交流戦で期待通りの打撃を見せてくれたが、やはり福也は身体能力が非常に高い。打球反応がパテレでまとめられるくらいには高い。登板翌日なのになぜかベンチにいて監督から代打登場を仄めかされたり、主軸野手が相次いで離脱した際には半ば本気でDH出場を望まれたり、シーズン終了後の特守で一塁にいたり、その手の話には事欠かない。セリーグにいたらどういう扱いを受けていたんだろうと妄想してしまう。

それにしても、昨季ついに先発として食い扶持を得た福也が21先発の3.56である。これは喜ぶファンの方も多かったのではないか。福也ブレイクのきっかけになったらしいアルバース先生には足を向けて眠れない。特に今年は台所事情がかなりカツカツだったわけで、なんとかかんとかローテを守ってくれたことは、地味ながらもかなりの貢献だった。僕らはどうしても派手な成績に目を向けてしまう傾向にあるが、好投したり爆発大炎上したりする中で、規定には乗らないにしろシーズン通して投げて3.5くらいでまとめてくれるピッチャーも評価せねばならないだろう。チームにもぜひ大幅な年棒増をお願いしたい。

年下左腕先発の田嶋宮城には特に慕われているようで、そういう先輩としての役割も期待できる分これからも一軍を支えてほしいところ。


12 山下 舜平大 19歳1年目 右投げ右打ち

一軍登板なし

(二軍)18登板17先発65.2イニング 2勝9敗 防御率5.48

48奪三振45与四死球奪三振率6.58K/BB1.07 被打率.298 WHIP1.89


今年の二軍は守備が圧倒的に悪く、投手成績はある程度参考記録ではある。それを加味して評価していくと、やはり高卒一年目のファームで17試合先発して奪三振率6.58は立派。元々ストレートとカーブで戦う投手だったのもあり、カーブが決まれば直球と交えてしっかり試合を作って行けるし、新たに覚えたフォークはこれからの決め球としてかなり期待できる。あとはスライダーでカウントが取れるようになれば一軍も近づいてくるだろう。チェンジアップがすごいとかすごくないとか使うとか使わないとか聞いていたんだが、本人の話を聞くに下変化はフォークしか使ってないらしい。なんなんだよスポナビ。

由伸、宮城のようにはいかないのはもともと承知の上であり、2.3年後に頭角を現し、メジャー移籍の可能性が高い由伸が空けるであろうローテに入ってほしい。

 

13 宮城 大弥 20歳2年目 左投げ左打ち

23登板23先発147イニング 13勝4敗 防御率2.51 QS率65.2%

131奪三振48与四死球奪三振率8.02K/BB3.36 被打率.221 WHIP1.07


こんなことになるとは思ってなかった、というのが率直な感想である。シーズン前から期待はしていたが、それでも夏ぐらいには失速して二軍で再調整して、良くてもせいぜい13登板5勝6敗3.68くらいで終わるんじゃないかと思っていた。蓋を開ければ松坂以来の高卒二年目以内二桁勝利、防御率リーグ2位、ローテにほぼ常駐という結果になった。

出し入れ自在の制球力と特殊なリリースポイントから繰り出される、ノビのあるストレートと大きく曲がる変化球。特に見事なクロスファイヤーには感動すら覚えた。チェンジアップは空振り率21.3%を誇り、決め球として抜群だった。昨年「チェンジアップとか落ちる変化球があればもっと伸びる」と言われていた通りになった。ゾーンが安定しなかったり内外のどちらかに寄っている球審の時は、やや安定しない投球が多かったは仕方がないとして、やはりシーズン通して投げる体力がまだないことが課題点。ここは高卒二年目であることを加味すれば伸びしろしかないと言える。

女性人気に関しても正直こんなことになるとは思ってなかった。坊主宮城のグッズが売れた頃に宮城先発の試合を現地で観戦したが、帰りのゲートで中年女性が娘さんに「やっぱ宮城くん可愛かったわあ」と言っていたのは印象的だった。お茶ココアゲームなど、広報の場でも一線級の活躍を見せた。

今年の宮城が凄かったのは不調でもなんとか試合を作る力である。他大勢のオリックス先発陣とは違い、いまいち精彩を欠くときは、苦しみながらも5回1失点なり6回2失点なりでなんとか切り抜けていた。後半の失速時は、この安定したゲームメイク力がまるで失われていた。その原因が、他チームに弱点を見破られたことではなく、シーズン通してローテを守ったことによる蓄積疲労だと願うばかり。だが高卒一年目の二軍で監督に「空振り取れるようにしろ」と言われてフォークとカーブとスローカーブ覚えるような才人なので、宮城対策が確立していたとしても対応するんじゃねえかなと楽観視している。


14 吉田 一将 32歳8年目 右投げ左打ち 戦力外

一軍登板なし

(二軍)24登板22.1イニング 0勝2敗 防御率7.66

26奪三振10与四死球奪三振率10.48K/BB2.60 被打率.330 WHIP1.75


 昨年から被打率・WHIPは悪化しており、衰えの兆候はあったように思える。ケガをしたという情報が入ってこないので、恐らく単純に能力が下がったのだろうが、それにしても突然ガタが来た。藤川の例といい、救援投手は昨年成績がどれだけ良くても一年の計算ができないことが多い。短い間だったとはいえ、功労者が急に去ってしまうのはファンとして寂しいものだ。

 二軍の試合を見ると、球速がかなり落ちている。昨年から生命線のストレートが衰えていたのはわかっており、これが戦力外に直結したと思われる。勤続疲労なのだろうが、あまりにも早かった。契約更改で勝ちパターン以外の中継ぎの地位向上を訴えたり、マウンド上以外でも仕事をしてくれていた。奪三振率だけはすごくいいし、実績もあるので、もしかするとどこかが拾ってくれるかもしれない。本人のツイート通り、強くなったこのチームと対戦できることを願う。


15 荒西 祐大 29歳3年目 右投げ右打ち 戦力外

一軍登板なし

(二軍)24登板1先発26.1イニング 0勝1敗 防御率2.39

17奪三振3与四死球奪三振率5.81K/BB5.67 被打率.295 WHIP1.29


ドラ3がプロ三年目で無念の戦力外。オールドルーキーの辛いところである。一年目のオープン戦ではスリークォーターともサイドスローとも見える変則フォーム、かなりの制球力と変化球、そして球威のあるストレートで無双してアピールに成功し、先発、セットアッパーのどちらでも期待できると言われていた。しかし、それ以降はこれといった結果を残せず。試行錯誤の結果かリリース時の腕の位置がころころ変わる中、かつての球威を取り戻すことがないまま戦力外。緩急で右打者を殺す比嘉とはかなり違うタイプの投手なのだが、かつての首脳陣からは比嘉の後継者と目されていてちょっとかわいそうだった。

荒西と言えば、2020年のソフトバンク戦で押し出し暴投→満塁弾で福也に負けを付けた時の記憶が強い人が多いだろう。中継ぎという仕事は過酷なもので、田中豊樹が好例だが、いい仕事をした時よりも爆発大炎上をやらかした時の方が観客の記憶に残りやすい。実際、今年の富山の登板の中で、10/20楽天戦で連打を浴びた回以上に印象的なものがあるか?

と聞かれて自信満々に答えられる人は少ないだろう。「荒西の一球」にしろ、「第二次トヨキン湾事件」(坂本2000本安打の日に戦犯になったあれ)にしろ、その直前までは荒西も田中豊も好投を続けていたのだ。そういうコツコツと積み上げた地味な実績はファンの記憶に残らず、やらかしだけが残る。そしてクビにしろだの言われるのだからたまったもんじゃないだろう。

自分の投球を取り戻せないうちに村西、中川颯らの若さに負けチームを去ることになったが、2019年の楽天戦で見せたように能力の最大値は確かだから、どこか必要としてくれる球団がいるだろう。大阪以外の地でも頑張ってほしい。


16 平野 佳寿 37歳13年目 右投げ右打ち

46登板43回 1勝3敗4HP29セーブ 防御率2.30 失点11(自責点11)

37奪三振9与四死球奪三振率7.74K/BB4.11 被打率.200 WHIP0.91

 

 中継ぎとしても仕事していた前半戦は結構失点していたイメージがあるが、時間がたつにつれどんどんパフォーマンスが回復していき、球速も2月ごろのことを考えるとかなり戻った。なんだかんだサヨナラ負けなし、負けは3つ、4HP29Sと、シーズン前の悲観的予想よりはかなりいい結果だったと言えるだろう。

加齢・メジャーでの四苦八苦の影響か、投球スタイルは大きく変わっていた。渡米前は、おなじみの速球・フォークのツーピッチを軸にスライダーとひとつまみのカーブでごり押ししていく感じだったのが、今年は変化量の違うフォークを使い分け、時にはストレートとのじゃんけんを強いて、忘れたころに大きなカーブ。低下した球速を、歴戦の経験に裏打ちされた投球術と化け物のようなメンタルで補い抑えるという感じに変容した。後半戦に関しては、「渡米前より恐ろしい」との評価もあった。

 広島戦ではフォークだけで二者連続アウト、9月末の天王山では、3点差2アウト1,2塁の場面で荻野相手にカーブを選択しスリーアウト、その2日後には1点差2アウトランナーなしの場面でまたしても荻野、今度はカーブに連投でフライアウト、など、今年は数々の武勇伝を作り上げた。実績に裏打ちされた自信、気迫、精神力。「打たれた平野佳寿です」の画像が流行ったが、失点すればその日の勝ち星だけでなく優勝すら遠のく場面ですら、二の足を踏まずに堂々と勝負に出るというのは並大抵の人間にはできないことだろう。今年は平野の後継者探しのため澤田、張らが9回を任される場面があったが、7.8回では素晴らしい投球を見せる彼らが、セーブシチュエーションを迎えたとたん大崩れする様は印象深かった。昨年の日本ハムでは秋吉不振により宮西がクローザーもこなしていたが、百戦錬磨の彼でさえ慣れない9回では崩れてしまうのだから、我々素人には計り知れないプレッシャーがあることがよくわかる。

 そういうわけで、来年も仕事をしてもらわなくてはならないのだが、登板機会が詰まるとわかりやすく炎上しやすくなることもわかった。一将の項で述べた通り、リリーフ投手はいつガタがくるかもわからない。後継者探しはやはり急務である。ヒギンス切っちゃうらしいんでとりあえず外国人でもいい。キューバに野生のライマルとかいませんか。探しています。


17 増井 浩俊 37歳12年目 右投げ右打ち

15登板13先発イニング 防御率4.94 3勝6敗1HP QS率38.5%

45奪三振31与四死球奪三振率5.70K/BB1.55 被打率.282 WHIP1.49


 オリへのFA移籍を選択するという珍しい投手だったが、確かその理由は「先発が楽しくないからリリーフに専念させてくれるチームがいい」だった。そのため昨年先発調整を始めたときには古巣日ハムファンからかなり文句を言われていた。しかし、いざ先発をやってみればリリーフ時に全然使おうとしないカーブやスライダーをうまく利用し、1イニングに全体力を注ぎこまなくなることで無駄な力みが排除され、制球も安定するといういい配置転換になってしまった。

 今年は昨年の結果を踏まえ、同じく先発復帰を視野に入れたディクソンと共に隔週で谷間を投げれられればよかったのだが、ディクソンが来日できず。一人でローテを回ることになり、疲労がたまるごとに投球の安定性が下がっていった。代名詞のフォークをはじめ、全球種被打率があまりよろしくない。ストレートの空振り率は2.9%と絶望的な数値を叩き出している。やはり衰えは隠しきれない。いい日は本当にいいので、来年38歳の大ベテランと言えどローテのバックアッパーとしてはかなりの能力を発揮してくれるはず。今年は少し運がなかった。

 シーズン終了後の紅白戦でラベロに特大弾を喰らって心配されていたが、飛翔は今に始まった話じゃないので楽観視。とか言ってたら11/12CSロッテ戦で9回表に登板し四者凡退。しれっとした感じで同点劇の舞台を整えてくれた。来年もその調子でよろしくお願いします。


18 山本 由伸 23歳5年目 右投げ右打ち

26登板26先発193.2イニング 防御率1.39 18勝5敗 QS率88.5%

206奪三振42与四死球奪三振率9.57K/BB5.15 被打率.182 WHIP0.85


昨オフ、インスタに山岡と行った犬だか猫だかの散歩デートの写真をアップした時、ファンから「彼女出来たのかな…?」と悲しみの声(?)があがっていた(あまり家に帰れないプロ野球選手がペットを飼い始めた=世話のできる他者が家にいる)が、あの女だけはやめた方がいいと思うんだ、マジで。あまり他人様の人間関係に口を出すものでもないが。

それにしてもあの山本由伸が最多勝と最高勝率を獲ったのである。しかもシーズン15連勝で球団記録も更新。数年前のチェルシーサポに「来年はジョルジーニョがリーグ最多アシストだぜ!」と言っても多分信じてくれないだろう。そういう類の話である。結局「打線が弱かったんでしょうね~」としか言えないまま、ムエンゴの真の理由は迷宮入り。強いて言えば、ゾーンの端を狙う投球(ここらへんは配球の問題もあったと思う)にこだわらないことで四球が減り本来の打たせて取る投球もできたことで球数が嵩みにくくなり、投球のテンポが上がったこと、長いイニングを安定して抑えられるようになり、終盤に強い今年のオリックス打線のおかげで価値がつきやすくなったこと当たりが援護率改善の秘訣か。単純に福宗正杉+T安や下位打線からの福田という得点パターンが豊富になったおかげとも言えるし、投球のテンポとは結局何だったのか。

一昨年はカットボール、去年はスプリットで無双していたイメージのある彼だが、今年は縦カーブがさえわたっていた。決め球には空振り率25.73%を誇ったスプリットを変わらず使用していたが、元々カウント球としてよく使っていたカーブがブン回り(空振り+見逃し率38.3%)。相変わらずカットボールの被打率が悪い中でも、キャッチャーと相談しながらその日の相手打線の調子・方針を見極め、打席数によって配球をどんどん変更し、勝てる投球を組み立てていけた。ストレート、スプリット、カーブと球界トップクラスの球が三種類もあるのはすごいことで、これが「コケないエース」誕生の秘密だった。どれかが不調でも他の二つで戦えるし、これ以外にもカッターにスライダーに高速シュートがあるのだ。

元々リーグトップクラスの能力を見せていた彼だが、今年はいくつもの課題をクリア。先述のとおり四球率が2020は7.49%だったのが今年は5.43%と改善。200イニングとはいかなかったが、オリンピックでも登板し貫禄の6完投4完封で、弱点だった体力もダルマーマエケンには遠く及ばないも克服。ケガも疲労もなくローテを守り続け、シーズン通して投げられる体力も備わったことを誇示した。防御率傑出度では沢村栄治の記録を抜き歴代一位、もはや神話の域に片足を突っ込んでしまった。来季は多少反動が来るのも覚悟しなくてはいけないだろうが、それでも日本にいれば防御率2.45・176奪三振くらいはやってくれるだろう。25までは日本にいてくれるかなと思っていますが、もしメジャーに行っても頑張ってください。


19 山岡 泰輔 26歳5年目 右投げ右打ち

12登板12先発69.1イニング 防御率3.89 3勝4敗 QS率50%

74奪三振23与四死球奪三振率9.61K/BB3.70 被打率.238 WHIP1.21


 4月に5試合投げて2.25も5月は絶不調。6月に再び調子を戻しこのままいってくれるかと思えば肘を負傷し登録抹消。二軍戦で少しづつ投げており、先発としてか、リリーフとしてか、どっちでの復帰だろうかと憶測が飛んでいたところでクリーニング手術を受けることに。チームがノリにノっているタイミングで戦線離脱してしまったのが惜しかった。登板数が少ないとはいえ、不調気を挟んでこのスタッツなのだから、やはりいてもらわないと困る。昨年に引き続きまたも故障でチームを離れてしまったのは、本人にとっても痛かったであろう。

元々フォーシームの球質が良いとは言えず被打率もいまいち悪い。この弱点を、見せ球にも決め球にもなる縦スライダーやキレのある落ちる系のチェンジアップで補いながら抑えていくタイプの投手だったので、もしも肘の怪我の原因がスライダーの多投であれば、縁起でもないことを言うが残された選手生命はあまり長くないかもしれない。今年習得した来ない系のチェンジアップを軸にモデルチェンジするのも面白そうだが、それでも僕らが見たいのはあの縦スラだ。

シーズンラストにはキャッチボールも出来ていたし、日本シリーズ前には一軍に合流した。この記事を書いているのが11/15なので、今どのような状態かはわからないが、とりあえず投げれはするのだろう。11/25日シリ第五戦で登板。球速はとりあえずそこそこ戻っていたが、「カットボールがひっくり返る」という謎の発言により解説席の藤川球児を困惑させた。縦スラも曲がってはいたがまだまだ本調子でないのは伝わってきた。正尚もそうだが、低迷期にも頑張ってくれていた選手がせっかくの舞台にいないというのはあまりにも残念過ぎる。本人たちも本当に悔しかっただろうし、実際に帰ってきてくれて本当にうれしかった。。だが、無理のない範囲でやってほしい。特に山岡はこの先長い期間元気でいてほしいのでね。


21 竹安 大知 27歳6年目 右投げ右打ち

17登板8先発48.2イニング 防御率4.44 3勝2敗 QS率12.5%

26奪三振20与四死球奪三振率5.25K/BB1.37 被打率.264 WHIP1.38


スタッツからは読み取れないが、今年の竹安は間違いなく優勝争いに必要なピースだった。前半は回またぎも辞さないビハインド要員として働き続けながらローテの谷間を埋め、先発が慢性的に不足していた後半戦には本格的にスターターとして使用された。実力はどうしても他の先発と比べ見劣りし、5回を投げ切ることもあまりないが、今年も10/3のソフトバンク戦で「年に一度現れる宝石のような先発竹安」ノルマを達成。優勝がちらつくプレッシャーのかかる日程で、千賀との投げ合いを6回被安打1無失点で制した。

世間では活躍できない人的保証選手の現実が取りざたされる中で、日の当たりにくい位置ながらも、チームの歯車としてしっかり結果を残している。今年でまだ27歳、いつまで世話になるかはわからないが、どのような形であれ、彼がプロの世界で投げ続けられるように応援したい。そのぐらいありがたい存在だった。


22 村西 良太 24歳2年目 右投げ右打ち

18登板12イニング 1勝0敗6HP1S 防御率3.75 失点7(自責点5)

7奪三振11与四死球奪三振率5.25K/BB0.78 被打率.294 WHIP2.00

(二軍)16登板1先発16イニング 1勝0敗 防御率0.00

12奪三振9与四死球奪三振率6.75K/BB1.50 被打率.043 WHIP0.63


今年一番みんなの記憶に残ってる村西は、5/15楽天戦で浅村をゲッツーに取った時の村西だろう。メイン武器のカットボールはアームアングルの問題か結構曲がるので、相手次第ではあるが空振りもカウントもゴロもとれる生命線。(空振り率13.8%、被打率.167)ストレートは被打率が.292と悪い。カーブに至ってはかなり打たれており、ここらへんが課題点と言える。いずれも二軍ではまず打たれていないので、一軍で経験を積むほかないか。

前半戦には将来の戦力として期待され一軍でかなり使われていたし、9月後半にも一軍に復帰して投げていたが、コロナ特例や枠の運用上の問題で再び登録抹消。しかし二軍では上記のような圧倒的とさえいえるスタッツを残し、昨年と比較すればかなり実りあるシーズンだったのではないかと思う。一軍の中継ぎとしてはあともう一つ成長が必要だが、少なくとも四球四球四球三振四球本塁打の頃の村西はもういないんじゃないかな。

サイドハンドスローかスリークォーターか意見が分かれるアングルでアーム投げ、というかなり変則的なフォームなのに球種はオーバースローの先発型、でも本人の希望はワンポイントというかなりおかしなピッチャーで、制球力さえつけばすごく面白い存在になるのではと期待している。


26 能見 篤史 42歳17年目 左投げ左打ち

26登板22.1イニング 0勝0敗5HP2S 防御率4.03 失点11(自責点10)

19奪三振14与四死球奪三振率7.66K/BB1.73 被打率.306 WHIP1.66

 

 今年から選手兼任投手コーチとして加入。若い投手・捕手が多く一軍で投げられる左の救援が足りないという理由があった。阪神最終登板を見たときはまだやれるだろうという印象があったので、結構わくわくした覚えがある。

シーズンが終わって指標を見れば、「本当にもう年なんだな」という感じなんだが、本人の言う通り特別早くない直球だけでも抑えられるぞ、という場面はいくつかあった。救援防御率が崩壊していた前半は、コーチではなくまさに選手としてブルペンを支えてくれた。セーブシチュエーションも含め様々な場面で登板したが、打たれるときはきっちり打たれており、平野とお互いに尻を拭いあう様子は「老々介護」と揶揄された。後半になるにつれ徐々に「一軍登録」されることは少なくなり、コーチとして各選手の軌道を微修正する役割を担った。コーチとしての仕事ぶりもすさまじく、山本に助言して15連勝のきっかけとなったり、宮城から「お父さん」と呼ばれたり、移籍したてのスパークマンに助言したり、様々なところで名前を聞いた。

阪神でも後輩から相当慕われていたが、オリックスに来てからもやはり後輩からは人気だったようだ。優勝時には胴上げされていたし、球団最年長セーブ達成の際には、自分より一回り二回り若い選手たちに囲まれ笑っていた。今までの活躍から、氷のような表情で淡々と抑えていく、というクールなイメージがあったので、オリファンからも阪神ファンからも「ニッコニコの能見」が珍しがられていた。来年も選手もコーチもやってくれるそうですね。よろしくお願いしますね。


28 富山 凌雅 24歳3年目 左投げ左打ち

51登板46.1イニング 2勝1敗2HP 防御率2.72 失点16(自責点14)

34奪三振17与四死球奪三振率6.60K/BB2.00 被打率.220 WHIP1.17


 シーズンの最後の最後で登板過多気味になり、楽天戦でシーズン初めての負けがついてしまったが、51登板は本当に立派。ケガに苦しみ試合に出られない状況も続いた中で、リフレッシュ期間を設けながらではあったが、今年のこの結果は弾みになる。三連投なしを貫いたチームの中でも、後半は特に首脳陣の信頼を得ていたようで、楽天戦の炎上はその裏返しとも言えるだろう。あれがなければ50試合で2.36だったわけで、これからはブルペンリーダーとしての活躍も期待できる。さっきの荒西の項で少しだけ触れたが、どうも10/20の炎上後にも「冨山」をクビにしろとほざいた輩がいたようで、中継ぎというポジションの悲しさを感じた。

 今年は7.8回(特に7回)の守り手としての仕事を優先すべく、平野の後継者選定試験には参加していなかったのだが、やはり富山はこのままセットアッパーとして身を固めるのだろうか?彼曰く、「登板時は妹が誘拐されたと思い込み精神統一する」とのことで、これで9回の重圧に耐え抜いたりしないだろうか?一方、澤田の剛速球、張の快速球、漆原のフォークのようなわかりやすい武器がないのも確かで、抑えには向いてないと判断されているのだろうか。どちらにせよ来季以降どのようにキャリアを積んでいくのか楽しみな一人。


29 田嶋 大樹 25歳4年目 左投げ左打ち

24登板24先発143.1イニング 8勝8敗 防御率3.58  QS率54.2%

135奪三振53与四死球奪三振率8.48K/BB2.81 被打率.255 WHIP1.29


 昨年は「7回に踏ん張りきれず2失点するも7回3失点で降板、しかし打線は振るわず1-3で負け投手に」みたいな試合を重ねてたまに大爆発するというイメージがあったが、今年は不甲斐ないピッチングを繰り返す期間が断続的に、しかもそこそこ長く偏在した。岡本の絶不調期みたいなイメージ。それでも防御率3.5くらいで纏めたのは立派だし、何よりWARが4.1出てるのには驚いた。今年は楽天を見事にカモにし、ロッテ相手にも好投を続けてくれたが、残り三球団相手にはボコられており、元々苦手だった西武以外にもやられていたのは気になるところ。

 最終盤に8回を投げHQSを連発してくれたのは本当に助かった。9/1日ハム戦でこっぴどく炎上し、中嶋監督に「同じことを続けていてはマウンドに立つ資格がない」と言われた矢先のことで、結構話題になった。山本・山岡と並ぶ三本柱として期待されながら、その座を宮城に奪われていたシーズンで、それだけに中嶋監督からの喝が飛んでいたように思える。5月ごろの不調の際には、二軍調整を挟まず一軍での登板を続けさせ、6、7月防御率2.08という活躍を引き出した。

 もともと感情の起伏が少ないイメージがあったので、今年は表情の豊かさに驚かされることが多かった。伏見に促されてちょっとはにかんだりするのが関の山、山本由伸以下の援護率しかない悲しき投球マシーンという感じだったのが、マウンド上でもベンチでも割と柔らかいというか、失礼な言い方をすると人間味を感じた。センターへの大飛球がフライアウトに打ち取られたのを見て心底安堵したような顔をしたり、三振を奪い柄にもなく感情をあらわにしたり、ヒロインでファンへの感謝のメッセージを長々と述べ涙を誘ったり、感情を読み取れなかった彼が心中をさらけ出していく様子に感動した。恥ずかしがり屋なのかは知らないが他の先発陣に比べ広報の動画にもなかなか出てこないし、人間関係もいまいちつかめないので、BsTV様にはぜひ田嶋主人公の動画を増やしてほしい。ここに需要があります。


30 K-鈴木 27歳4年目 右投げ右打ち

34登板38.2イニング 1勝0敗3HP2S 防御率3.03 失点15(自責点13)

28奪三振15与四死球奪三振率6.52K/BB2.00 被打率.234 WHIP1.24


「え、防御率いいな」 この項の執筆に着手したとき僕が初めに思ったことである。大差勝ちやらビハインドやら、とにかく精神に負担がかからない場面でだけ宇宙最強救援投手になる我らがK-鈴木。ストレートもスライダーもゾーンにさえ入ればすごく強いのだが、プレッシャーを感じるとなかなかそれが出来なくなってしまう。「メンタル」という不確定要素の介入度が高すぎるせいか、ゾーン率と四球率の割にWHIPが高い、空振り率は高いのに奪三振率はそこまで高くないなど、わけがわからない。すっかり指標芸人である。点差ごとの成績とかまとめてみたかったが、さすがに時間がなかったので断念。機会があればnoteにでもまとめたい。

場合によっては先発再転向という手もあるにはあるがどうなるか。今のところあんまり見たくない。「援護点予報」が開発された時代なら、先発としても無双してそう。序盤に大量得点しそうな試合にぶつけまくればいいだけなんでね。


32 ディクソン 36歳9年目 右投げ右打ち 2021年5月27日自由契約

一軍・二軍共に登板なし


 家族との来日を強く求めたにもかかわらず、家族のビザが発給困難、という理由で8年籍を置いたオリックスからの退団を決意したディクソン。今年は「外国人選手とその家族」という今まであまりフォーカスされていなかったところで、選手と球団の運命が変わってしまうことが多かった。後述のとおりヒギンスやロメロだって家族が日本に近くにいるかいないかで苦悩したし、他球団だとスモークが最たる例だろう。言葉がわからない異国の地で仕事をするのに、心のよりどころとなってくれる家族がいない、というのは僕らが思う以上に深刻な問題なのだ。

 今年はオリンピックがあったので、アメリカ代表として吉田正尚を打ち取るなど元気な姿を見せてくれた。古巣カージナルスとのメジャー契約も勝ち取っていたが、わずか二試合でDFAとなっている。今はコロナがだいぶん収まっているが、来年の頭にはどうなっているだろうか?オリックスの投手として215試合に登板し、特にこれと言ったケガもなく8~9勝しつづけ、2019年からは自慢のナックルカーブを武器にクローザーもやってのけ、今年か来年には日本人枠をつかみ取るはずだった功労者だ。ぜひもう一度オリックスに帰ってきて活躍してほしいし、京セラかほもフィーに骨を埋めてほしい。


35 比嘉 幹貴 38歳12年目 右投げ右打ち

32登板20.1イニング 1勝0敗12HP 防御率1.77 失点4(自責点4)

15奪三振4与四死球奪三振率6.64K/BB3.75 被打率.209 WHIP0.89

 

 昨年は筋損傷で戦線から離れていながら、主に後半戦で活躍し12.2回投げて0.71。今年は右への切り札、火消し、セットアッパーとして存分に力を発揮できた。彼も海田と同じく酷使の被害者のようなところがあり、ケガと復活を繰り返しているので、現体制の系統管理が続き選手生命が伸びたりしないかとひそかに期待している。

柱となるスライダーは、空振りもミノサンも取れる一方で被打率も高め。その代わりストレートはゴロ球としても優秀で、何と言ってもスローカーブとの緩急がえげつない。パテレでたびたび取り上げられているが、直球が140km/hくらい出る時があるので、一球ごとの球速差が50km/hほどになったりもする。ここにするっと落ちるシンカーが加わるわけだから、攻略が難しいのは当然だろう。

被本塁打率が少し高く感じるのは、火消しというポジションであることを考慮すると玉に瑕だが、連打を浴びにくくゲッツーに取りやすい彼の投球は、まだまだ頼りがいがある。宮城も回途中で降板し、比嘉に尻拭いをしてもらった際に、「また比嘉さんに助けてもらった」と信頼を口にしていた。来年もおケツふきふきしてください。


37 中川 颯 23歳1年目 右投げ左打ち

1登板1イニング 0勝0敗 防御率0.00

0奪三振0与四死球奪三振率0.00K/BB- 被打率.400 WHIP2.00

(二軍) 41登板1先発40イニング 2勝2敗1S 防御率1.13

48奪三振10与四死球奪三振率10.80K/BB5.33 被打率.162 WHIP0.80

 

 さいばしpresents「この投手が見たい!」ランキングで見事一位を収めた右のサブマリン。二軍での指標が圧倒的で、投球数の大半を占めているストレート、スライダー、カーブの三球種はどれも被打率2割以下。それでも二軍での育成を重要視していたのは、まだ何かしらやらせたいことがあるからかもしれない。本人の言によればシンカーも投げられるらしいが、今のところプロの試合での速報を見ただけではツーシームなのかシンカーなのかいまいちよくわかっていない。一軍戦力としてなら恐らく先発ではなく中継ぎだろうが(最近の起用の仕方からして)、牧田みたいに抑えとかできねえかなとひそかに思っている。

 この投手が見たい!ランキングなんて存在しないが二位は東。


39 飯田 優也 30歳9年目 左投げ左打ち 戦力外

一軍登板なし

(二軍)

26登板27.1イニング 0勝0敗 防御率2.63 

31奪三振19与四死球奪三振率10.21K/BB1.63 被打率.223 WHIP1.46


 昨年、左腕救援投手の不足を解決すべく阪神とのトレードで獲得した人。ファームで阪神相手に打たれてまくっていたイメージがあったが、データを採ってないので定かではない。

 オリックスでの初登板の際は結構好印象だったのだが、その後打たれまくって二軍に降格。今年に至っては、若手の積極起用を目指すチーム状況のせいもあり一軍に呼ばれないまま戦力外通告を受けてしまった。一軍で通用するかがかなり微妙という点ではアレだが、少なくとも二軍では結構な成績を残しているわけだし、年齢的に厳しいかもしれないがどこか取らないかな。


43 前 佑囲斗 20歳2年目 右投げ右打ち

一軍登板なし

7登板1先発11イニング 0勝1敗 防御率3.27

7奪三振6与四死球奪三振率5.73K/BB1.17 被打率.250 WHIP1.45

 

 申し訳ないが僕は二軍戦の映像がほとんど見れていないのでほとんど書けることがない。なんでこんなにカットボールが打たれているのかと文句をつけたくなる。スライダーじゃだめなのか。ストレートはいいらしいがどうなんだ。なんもわからん。許してくれ。こんな時に行っても何の説得力もないけど、応援してます。


45 阿部 翔太 28歳1年目左打ち

4登板3.2イニング 0勝0敗 防御率7.36 失点3(自責点3)

3奪三振1与四死球奪三振率7.36K/BB3.00 被打率.267 WHIP1.36

(二軍) 10登板15イニング 1勝1敗 防御率2.40

16奪三振4与四死球奪三振率9.60K/BB5.33 被打率.279 WHIP1.33


 今年加入のドラ6オールドルーキー。シーズン頭に炎上と顔芸を残して一軍を去ったあとかなり長い間行方不明だった。二軍で被打率.279というのはかなり気になる。フォークで空振りが取れるのは確かなんだが、全球種(特にカットボール)いまいち被打率が振るっていない様子。

一軍登板では、粘られた後のストレートを周東にスタンドへ運ばており、それ以外にも浮いたスプリットがたまたま芯を外してショートゴロというパターンが複数見受けられた。スプリットさえ決まればうまく三振が取れるのだが、何分ストレートの球速と球威が足らず、見切られやすいようだ。元々はストレートの質を評価されてプロに来たはずの選手。俺はまだあのピンチを迎えた時の顔芸を見たいので、何卒這い上がってきてほしい。


46本田 仁海 22歳4年目 右投げ左打ち

2登板2先発9.2イニング 0勝1敗 防御率7.45 QS率0%

4奪三振5与四死球奪三振率3.72K/BB0.80 被打率.325 WHIP1.86

(二軍) 18登板15先発90.2イニング 2勝10敗 防御率5.06 

92奪三振32与四死球奪三振率9.13K/BB3.07 被打率.248 WHIP1.29


 山岡離脱で一軍定着のチャンスを得るも、あまり芳しいとは言えない結果となり二軍に出戻り。空いたローテの座は颯一郎に取られてしまった。山本由伸とフォームが似てるということで、学年はひとつしか変わらないのに「山本由伸二世」なんてあだ名をつけられていたが、あのフォームがいまいち適していないという話もあり伸び悩み中。7月のローテチャンスの時は、直前の試合に登板した榊原があまりにもヤバすぎて、Twitter上のオリファンが口をそろえて「まあバラよりマシだし・・・」と言っていたのを覚えている。

 二軍戦ではカーブ以外の変化球3つ(スライダー、フォーク、チェンジアップ)はかなりいい感じに扱えていて、特に下変化二つは決め球としてしっかり機能している。やはり奪三振率がポジ要素と言えるが、ファームの広島戦でストレートを捕まえられこっぴどく打たれている。ストレートは結構球速が出るのだが、あまり空振りが取れず、結構当てられる。失点後に四球を出してしまう癖もいただけない。現状では、「困ったら直球」がやりにくい以上、技巧派としてうまく道を探れない限りは安定して席を得られないだろうなという印象。


47 海田 智行 34歳10年目 左投げ左打ち

16登板10.1イニング 0勝1敗5HP 防御率2.61 失点3(自責点3)

5奪三振4与四死球奪三振率4.35K/BB1.25 被打率.216 WHIP1.16


 昨年の制限越え大減俸を飲み、オンラインファン感謝祭のひな壇に座ってたのはかなり驚いた。テンションはいつも通り低かったが、普通に画面の中で喋ってたので「あ!?残ってくれるんだ!?」と心が飛び跳ねていた。昨年は序盤にちょっと出てからはずっと二軍で、そちらでも一時期滅多打ちにされていたので(最終的には防御率3点台まで回復した)、退団の噂を聞いて覚悟を決めた記憶がある。そもそも大減俸の遠因は、2017手術2018大不振→2019復活8回の男就任55登板1.84の乱高下で年俸が倍増していたことなので、またボコボコに打たれれば年棒が半減するのは当たり前のことなのだが。まあ昨年二軍で少しづつ勘を取り戻していってくれたおかげか今は元気なので、ウダウダ言っても意味はない。

幾度なくケガに苦しみ、そのたびに復活して一軍に帰ってくる不死鳥のような男。今まで中継ぎは突然ダメになるとさんざん言っておいて、「もう34とはいえ今年16登板で、今までと違い現在はリリーフを大切にする体制なので、来年もしっかりやってくれるだろう。」とか書きたくなるぐらい復活している。平野や宮西のような頑丈さではないものの、何度もケガしてもまた帰ってくるという意味ではこの人も頑丈だ。今年はとにかく救援の不安定さに悩まされた年だったから、たまーに四球をポンと出して降板というなっさけないときもあったものの、後半戦にこれだけの働きをしてくれたのは助かった。ファンとしても、低迷期にしか活躍できなかった彼が報われているのはうれしい。


48 齋藤 綱記 24歳7年目 左投げ左打ち

4登板2.2 0勝0敗 防御率10.13 失点3(自責点3)

3奪三振2与四死球奪三振率10.13K/BB1.50 被打率.222 WHIP1.50

(二軍)49登板42.2イニング 1勝1敗 防御率1.48 

57奪三振14与四死球奪三振率12.02K/BB5.18 被打率.175 WHIP0.84


 二軍での成績に対しチャンスが少ないという本人にとってはかなり不本意なシーズンだったかもしれない。今年の一軍では一人抑えた後四球を出して交代、という投球が目立ち、後続が打たれたり被弾したりしたせいで少ない登板数で自責点が積り防御率が爆発しているが、もっと投げてればそこそこいい感じの数値に収まっていたのではないだろうか?田嶋の入団を機にサイドスローへ転向し、その成果は着実に出ているといったところである。

今年の二軍では投球数の半分以上がスライダーという感じだったが、それだけではなく右打者の懐にストレートを放り込む技術もある。稀に投げるチェンジアップは二択しか頭にない打者には効果抜群なようで、データの母数が少ないとはいえ驚異的な指標を示した。今年は凌と共にファームで研鑽を積む日々を送っていたが、彼と違い一軍に定着できず。というか、そもそも昇格の機会自体少なかった。富山と海田が好調だったので仕方がない部分はあるし、今年の「成績だけでなく、自分の課題をクリアできた選手を一軍に上げる」という基準に引っかかっていたのだと思う。一軍登板では中途半端に四球を出してしまっていたし、そこがクリアできれば一軍でフル回転してくれるに違いない。一回を投げ切る富山、ワンポイントとして一人を確実に殺す斎藤という双璧もいいが、内角に切れ込むスライダー+クロスファイヤー+CHという構成で右打者に特別苦労せずに済みそう(実際ファームでは4者連続三振も成し遂げている)。個人的には来季のキーマンの一人。


49 澤田 圭佑 27歳5年目 右投げ左打ち

14登板14イニング 0勝0敗6HP 防御率3.86 失点15(自責点13)

14奪三振4与四死球奪三振率9.00K/BB4.67 被打率.278 WHIP1.29


 ストレートがすんごいいいのにとにかくケガが多い。一瞬の輝きを放ちファンを魅了した後に行方不明になる姿はまるで最終直線のエイシンフラッシュのようなはかなさ。昨年の後半あたりから、出てくるたびにとてつもない球威の直球でズバズバッと三振を取り、1イニングを制圧し続けていたのだが、右ひじの故障で姿を消した。今年も球速が出る日なら無双していたのだが、140km/h台前半しか出ない日もあった。やはり体への負担が大きいらしく、結局ケガでいなくなってしまった。

 かつては、大したスピードがないが球持ちが良く、先に反応してしまったバッターを見てから投げられるという意味で「後出しじゃんけん」だと小谷野に褒められていた。しかし、昨年の二軍で中嶋と話し、原則低めという当時の一軍の方針とは逆に高めのストレートで戦ってもいいと言われ、吹っ切れたらしい。また、フォームの改造により球速も少し上がった。それでいままでとは違う形で、ものすごい能力を発揮できるようになった。その代償はケガしやすさupだった。

 澤田がいれば!となる場面がちょくちょくあっただけに、脆さだけは何とかしてほしいのだが、現在のゴリゴリ投法とシーズン通して投げるということは二律背反なのだろうか。右ひじに爆弾が出来ているくさく、また手術するらしい。もう少し登板数が戻ればうれしいなあ。


52 ヒギンス 30歳9年目 右投げ右打ち

49登板46.1イニング 1勝2敗29HP2S 防御率2.53 失点15(自責点13)

36奪三振20与四死球奪三振率6.99K/BB1.69 被打率.218 WHIP1.21


今年前半戦の彼のやる気スイッチは二塁ベース上に存在しなかった。2020年のヒギンスは、大抵の場合得点圏にランナーを進めた時点でギアが上がり、制球が多少改善して3塁に進まれながらも無失点で抑え切っていた。しかし、今年の夏まではストレートが入らず、粘られて四球を出し続け、入れに行ったストレートを打たれて失点というパターンが多かった。

ファンの間ではこの絶不調の理由について大体見当がついている。奥さんの存在だ。昨年の五月末に入籍し、「自粛期間の間も自宅でサポートしてくれた」と感謝の気持ちを述べていた。今年は奥さんが夏まで入国できなかったらしく、7月までの成績と8月以降の成績を見比べるとすごい差があるのだ。以下の通りだ。

(~7月)24.1回 防御率4.07 WHIP1.52 被打率.255

(8月~)22.0回 防御率0.82 WHIP0.86 被打率.171

MLB行きあるだろこれ・・・。前半の不振が足を引っ張りごまかせたが、引き抜かれてもおかしくないパフォーマンスの高さだ。後半はゾーン率も大幅に改善し、ストレートのみならずあの落差の凄いチェンジアップさえもしっかりゾーン内で動かしてみせた。どうやら本当のやる気スイッチは奥さんだったようだ。

 で、ポストシーズンに入ったころには既に奥さんが帰国していたらしく、散々な結果になった。


54 黒木 優太 27歳5年目 右投げ左打ち

一軍登板なし

(二軍)17登板38.2イニング 1勝0敗 防御率6.19

15奪三振7与四死球奪三振率8.44K/BB2.50 被打率.319 WHIP1.75


 かつてはセットアッパーとして長期の活躍を期待されていたが、2019年6月にトミー・ジョン手術を受け一度育成落ち。リハビリを終えて今年から支配下に復帰したが、まだ調子が戻らない様子。球速は戻ってるんだがストレートが結構打たれている。同じ年にTJした颯一郎が一軍で活躍する一方で、元々一軍で実績のあった黒木が上がってこないというのは少し意外だった。靭帯がなじまないのか、ケガの具合が悪かったのか。靭帯が骨化しており、炎症が再発していたほど症状は悪かったので、時間がかかるのは当然かもしれない。今年の中継ぎの救世主は彼では?と思っていたが、来年に持ち越しか。復帰してくれればまた投手の層が厚くなる。


56 スパークマン 29歳7年目 右投げ右打ち

6登板3先発17イニング 0勝1敗 防御率6.88 

14奪三振9与四死球奪三振率7.14K/BB1.75 被打率.234 WHIP1.35


 今のところは少し期待外れという感じ。能見の話通りスライダーが決まればかなりやれそうなんだが、しばらくはそれを生かすための制球とストレートが安定せず。移籍後初登板では150km/hを連発した一方、四死球を連発してランナーをためてから直球を打たれた。しかし、その後はスライダーがばっちり決まり二者連続三振。その後の登板では球速が安定せず、「球が遅いコーディエ」なんて散々な言われようだったが、最終登板では4球連続156km/hなど見せ場を作り三者凡退。9月までの不振が調整不足であれば、来年は前でも後でも使える良助っ人に様変わりするかもしれない。

そんなことを言っていたらどうも来年はいないらしい。とりあえず原稿が完成したのが日シリ前で、12月に入ってからいろいろ加筆しているのでこういう昔の自分との会話みたいな部分が散見される。

 あと、名前がかっこいい。グレン・スパークマンて反則でしょう。貴方が好きな外国人スポーツ選手の名前は何ですか?僕はスティーブン・ジェラードとデオンテイ・ワイルダーです。


57 山田 修義 30歳12年目 左投げ左打ち

43登板43.2イニング 1勝0敗10HP 防御率2.27 失点14(自責点11)

35奪三振20与四死球奪三振率7.21K/BB1.84 被打率.241 WHIP1.31


 影のMYP候補。前半戦はいまいちピリッとせず、役割を満足に果たせていなかったのだが、田嶋福也増井やその他スターターがKOされた時の二番手として試合を立て直すという仕事を任せられ、ここでめちゃくちゃに頑張ってくれた。それ以外の機会でも登板しているので、便利屋的な立ち回りになってしまったのだが、そこはさすがの鉄腕で耐え忍んでくれた。防御率はこっそりキャリアハイをマーク。目立たない位置ながらもブルペン崩壊を防ぐ防波堤として役目を果たしてくれた。

 今気づいたんだがこれまでのキャリアで一度も50登板してない。2018年8月の伝説の18登板が有名だが、イメージに反してそこまで投げてない。一軍登板が少ない時期が長かった高卒投手、ということを考えると思ったよりも肩肘を消費していない可能性がある。今年のようなリリーフ温存策が続くのなら、この先も結構長い期間オリックスを支えてくれるんじゃないかと思いたくなる。投げてる球がべらぼうにすごいとかではないので抑えやセットアッパーでは安定しないだろうが。


58 金田 和之 31歳9年目 右投げ右打ち 戦力外

9登板10.1イニング 0勝0敗 防御率4.35 失点5(自責点5)

6奪三振7与四死球奪三振率5.23K/BB1.20 被打率.216 WHIP1.26

(二軍)29登板28.2イニング 2勝3敗 防御率2.83

30奪三振15与四死球奪三振率9.42K/BB2.00 被打率.270 WHIP1.57


 飯田戦力外が発表された際に、「なぜ残った」とかなり話題になったが、やはり逃げきることはできなかった。飯田と揃って阪神二軍に打ち込まれていた印象しかないが、やはりデータを採っていないので何とも言えない。

 直球は150km/h出るし変化球もそこそこちゃんとしてるんだが、かなりコントロールが雑で、一軍では甘い球を痛打されて炎上していた。特にストレートは三球で柳田を三振に斬ることもあれば、佐野・ソトから一イニング2被弾を食らったり、粘られたのち周東に被弾したり怖いところが多い。と、まあまあいい球を適当に放り込むという投球内容の性質上、結果はどうしてもギャンブル的なところがあり、一軍主力相手への弾としては十分な信用を得るには足らなかった。


59 バルガス 29歳12年目 右投げ右打ち

5登板1先発9イニング 1勝1敗2HP 防御率11.00 失点11(自責点11)

7奪三振5与四死球奪三振率7.00K/BB1.75 被打率.333 WHIP1.89

 

 髭面がかっこよくて中嶋監督の知り合いってすげえなって思った。あと早口言葉が日本人選手よりうまいまであって面白かった。なんでこの書き出しかというと筆者がだいぶ疲れてて、カットボールすごくね?以外に書くことを思いつかないからです。

CS三戦目で出てきたときには159km/h出すわカットボールも150km/h超えるわ見違えた。張の例と言い舞洲には何かアヤしい魔改造装置でもあんのか?ツーシームでも159km/h出てたので、球がめちゃくちゃ荒れるタイプなだけなのかもしれない。どっかの試合ではすんごい勢いでカットボールだけを投げ続けて一部で笑いを誘っていた。

 タイプとしては先発というより回またぎ上等のリリーフの方が向いているという印象。曲がりの小さい球ばかり投げるとはいえ一応縦スラも扱えるので、ピンチでも三振を取る力は十分ある。少なくとも打者が一周しない間は結構やれそう。それにしても独立リーグにも外国人っているんですね。普通に知らなかった。


61 榊原 翼 23歳5年目 右投げ右打ち 育成契約打診

1登板1先発2.1イニング 0勝0敗 防御率15.43  QS率0%

2奪三振5与四死球奪三振率7,71K/BB0.40 被打率.400 WHIP3.86

(二軍)14登板8先発47.1イニング 4勝1敗 防御率6.27

31奪三振21与四死球奪三振率5.89K/BB1.48 被打率.251 WHIP1.39


間違いなく今までで一番ひどいシーズンだっただろう。2019年にはローテを担えていたのに、昨年は制球に苦しみ、今年は後半になるにつれどんどん精神を持ち崩していったらしく、二軍でもまともに投げられなくなってしまった。

同期の由伸に「ずっとそわそわしている」と言われるなど、打たれ弱さと落ち着きのなさに関しては結構な数の選手からエピソードを語られている。メンタルと投球が直結するタイプで、マウンド上では調子のいいときは三振を奪い雄たけびを上げ、悪いときは泣きそうな顔になりながら四球を連発と、ポーカーフェイスのポの字もない、落ち着きとは無縁の姿が見られる。球威のある直球と、鋭いフォーク、カウント球にも打ち取る球にもできるカーブと縦スライダーという青写真が見えているだけに、豆腐メンタルですべて台無しになっているのを見るのはもどかしいものがある。

結果を出さねばと登板前から焦り気味だったらしい今年の一軍登板は、片っ端から球が浮いたり変化球がどんどん真ん中に吸い込まれたり散々だった。あれ以来明らかに様子がおかしく、8月末の二軍戦ではストレートもフォークも一切制球が定まらず、四球四球四球二塁打でマウンドを降りるという大事に。その後ファームでもロクに姿を現さないまま育成契約に逆戻りする羽目になった。今投げても進歩はないだろうし、当分は頭を冷やし、精神的な成長を目指すからやり直してみるというところだろうか。一軍での実績もあるのだから、自信を取り戻して、ゆっくりでもいいので由伸と颯一郎の二人に追いついてほしいものだ。


63 山崎 颯一郎 23歳5年目 右投げ右打ち

9登板8先発39イニング 2勝2敗 防御率3.69  QS率25.0%

29奪三振25与四死球奪三振率6.69K/BB1.45 被打率.227 WHIP1.33

(二軍)13登板12先発59.1イニング 1勝5敗 防御率3.34

57奪三振24与四死球奪三振率8.65K/BB2.48 被打率.267 WHIP1.45


2019年夏にトミー・ジョン手術を受け、リハビリのため育成落ち。2020年秋には実践復帰を果たし、150km/h超えの直球を投げるなど経過が順調であることを示した。今年から支配下に復帰し、春には中継ぎとしてプロ初登板し1回無失点。山岡の離脱後、7月頭にローテ候補として期待されプロ初先発。その後投球内容は日によってまちまちだったが、後述のとおり順調に成長し、来年の先発候補に仲間入りした。

190cmから投げ下ろす平均148km/h前後のフォーシームは紛れもなく武器。ある時には変化球のゾーン率が21.4%(3/14)とかなり低く、見逃されまくってたにも関わらずフォーシームでガンガンに押したら5回2失点になるなどしていた。しかし失点の原因は普通にフォーシームに慣れられたことで、当然本人もそれを理解していた。そして登板経験を積むうちに、変化球の安定性が増していき投球の安定性も増した。

直球はフライ性の打球になることが多いが、被本塁打は60イニング近く投げて1(ロッテ加藤匠真)。角度の影響か詰り気味の打球になることが多く、本塁打が出にくい球場が多いパリーグとはやや相性がいいかもしれない。成瀬になれるかは来年を見ないとわからないが。変化球はカットボール、ナックルカーブ、フォークで、どれも空振りが狙える。昨年引退した山崎勝己からは「斉藤和巳になれる」と褒められた大器。リーグトップクラスのピッチャーも夢じゃないだろう。来年以降にも期待できる。

すんごいスタイルいいですよね。腰の高さが山岡のへそより上まである。「なんだこの高身長イケメン!?」という声がちらほら聞こえるようになった。球団の知名度さえ上がればスター街道を歩くことに成りそう。颯一郎先発の日現地にいたんですが、降板の時マジですんごい悔しそうな顔してた。顔のしわがXみたいな形になってた。

身長と顔と投球ばかりが注目されるが、彼は吹田の主婦だの絶対にドライバーを折るゴルフコンペだの泥酔座談会だのBsTVではネタに事欠かない面白人間なので、そちらもよろしくお願いしたい。


65 漆原 大晟 25歳3年目 右投げ左打ち

34登板35.2イニング 2勝2敗6HP2S 防御率3.03 失点13(自責点12)

23奪三振15与四死球奪三振率5.80K/BB1.64 被打率.236 WHIP1.23


 昨年夏に見事支配下登録をつかみ取り、リリーフの一員として登板を重ね奪三振率11.41という強烈な数字をたたき出した。去年はディクソンに衰えが見られ、元々二軍で9回を投げる経験を積んでいたので、クローザー候補として白羽の矢が立ち、プロ初登板初セーブもやってのけている。しかし、今年の投球を見るに、守護神に据えるのはやはりまだ早いかなあという感じ。ただ、言うても支配下二年目だし、成長は見られるので順調と言っていい。

 武器はストレート&フォークだが、ナックルカーブも投げる。ある程度までのバッターならストレートだけでも抑えられるのが魅力。制球力も改善し、その分ゾーン内の球を当てさせ打ち取るという場面が多くなり、外見上空振りを取る力は低下した。投げてる球は悪くなっていないのに、どういうわけか奪三振率も大幅に低下している。来年は「打たせる」と「空振りを取る」の塩梅を探っていく年になるか。

防御率の割に打たれるイメージを勝手に抱いてるがみなさんはどうだろう。これも「中継ぎの好投覚えてない問題」の一種か?


66 吉田 凌 24歳6年目 右投げ右打ち

18登板17イニング 1勝1敗5HP 防御率2.12 失点5(自責点4)

17奪三振4与四死球奪三振率9.00K/BB4.25 被打率.125 WHIP0.65

(二軍)17登板14.2イニング 1勝1敗1S 防御率5.52

24奪三振8与四死球奪三振率14.73K/BB3.00 被打率.278 WHIP1.57


 終盤に満を持して昇格し、圧倒的な制圧力を見せつけたスライダー魔人。上投げなのに半分以上スライダーを投げていて、横にも縦にも変化するし、どうも同じ方向に落ちる球でも数種類あるらしいまさに伝家の宝刀。このたくさんあるスライダーの出し入れと釣り出し、意表を突く直球で完璧なリリーフを見せた。ケガだけが本当に怖い。

 前半戦はファームにこもっており、何かしらを克服しようと頑張っていた模様。ストレートの扱い方だろうか?一軍に上がってからはスライダーの割合がさらに上がっていることや、二軍でのストレートの被打率が.462とくそ悪いことを考えると、ここかなあと思った。打たれた時に顔に出まくるのは相変わらず。逃げて四球を出してランナーをためてから安打を喰らう、とかは段々となくなってきたと思うし、スライダーに絶対の自信があることもわかった。制球力がさらに伸びれば抑えも夢じゃないと思う。

 日シリでは最後の最後で川端に打たれたし、全体を通してもあまりいい結果ではなかった。しかし、将来のオリックスの守護神は彼だと信じている。


68 鈴木 優 24歳7年目 右投げ右打ち 戦力外

11登板10イニング 0勝0敗 防御率9.00 失点10(自責点10)

10奪三振7与四死球奪三振率9.00K/BB2.00 被打率.237 WHIP1.40

(二軍)25登板1先発31イニング 0勝1敗 防御率3.19

16奪三振16与四死球奪三振率4.65K/BB1.23 被打率.252 WHIP1.39


 髭が似合う男前だったので戦力外が寂しい。昨年山崎勝己の引退試合で彼とバッテリーを組み、中田に続き大田にもどでかいフライ性の打球を喰らった瞬間絶望が伝わる背中を見せてくれたのを覚えている。一軍で先発ローテに入りプロ初勝利を挙げるも、その後苦しみ一軍と二軍を行き来してリリーフもやった。その間勝己に面倒を見てもらっていたようで、彼の引退後一年しかチームに入れなかったというのは悔しいだろう。

 シーズン序盤を一軍で過ごしたがなかなかうまくいかず降格。スプリット縦スラ+ツーシームをゾーン内で動かし打ち取るという必勝パターンは確立しているのだが、ツーシーム習得後からフォーシームがあまり良くない。出力がブレがちで、そうなるとストレートが一気に定まらなくなりどんどん打たれてしまう。その後は二軍から上がれないままだった。去年から、ランナーが出た途端に投球が怪しくなるなあという印象があったのと、左にかなり弱いのが苦しい点だった。軸となる縦スラもいまいち動きが良くなかった。ロッテらへんで復活しそうとも言われていたが、今年はマリンで1試合3被弾をやらかしているので、どうなんだろうか。でもまだやれる選手だと思うので、どこかしらに拾われてくれれば応援したい髭。

12/10追記:巨人と育成契約。再び這い上がれるか。


95 神戸 文也 27歳5年目 右投げ右打ち 戦力外

一軍登板なし

(二軍)19登板17.2イニング 0勝0敗 防御率3.57

12奪三振5与四死球奪三振率6.11K/BB2.40 被打率.289 WHIP1.53


 19年の途中に支配下登録され一定の結果を残したが、昨年は開幕直後の炎上以降結果が出ず。今年はついに一軍に呼ばれず、あえなく戦力外通告を受けた。得意のフォークは良い感じだったのだが、ストレートがダメダメで、ファームでの被打率が.368。さすがに他の上投げ右腕と比べ使いにくく、首を斬られてしまった。


98 張 奕 27歳5年目 右投げ右打ち

8登板1先発イニング 0勝1敗3HP 防御率13.06 失点15(自責点15)

15奪三振与四死球2奪三振率13.06K/BB7.50 被打率.412 WHIP2.23

(二軍)31登板8先発イニ67イニング 4勝5敗6S 防御率2.96

60奪三振23与四死球奪三振率8.06K/BB2.86 被打率.262 WHIP1.33


 炎上神に両足突っ込んじゃった台湾の至宝(揶揄ではなく本当に至宝)。5月末の横浜戦でそれはそれはすごい燃え方をして、本人も完全に意気消沈していた。本人曰く「投げるのが怖くなった」らしく、ファームのコーチやスタッフと話し合い、自信を取り戻すために1イニングにぶっぱという選択をし、リリーフに挑戦したらしい。一軍に帰ってきてみれば最速156km/hの快速球を連発し、ファン全員の度肝を抜いた。いきなり球速が上がり本人も驚いたらしいが、そこからは7.8回のどちらかを張に任せる日が続いた。

 しかし、クローザーに挑戦してからまたおかしくなり、降格。中嶋には「自分のボールが整理できていない」と叱責された。プレミア12での無双など好調時の制圧力を見るに、自分の投球を信じられる間はいいのだが、自信を失ったとたん迷走して投球に入り込めなくなるタイプらしい。今年も8回を投げていた時とそれ以外では内容が別人のようだった。一回ダメになるととことん撃ち込まれ、当分使い物にならなくなるのは、シーズン中一度でも打たれればということ。どうか精神的な部分から治していってほしいところだが、どうなるだろうか?

 あと想像に反して27歳と年を食っていた。なぜか高卒だと思い込んでたんだよな。



捕手

2 若月 健矢 26歳8年目 右投げ右打ち 捕

68試合 打率.214(117-25)5本塁打16打点1盗塁0盗塁死 27三振13四死球BB/K0.41

出塁率.290長打率.376OPS.666 得点圏打率.296(27-8) 失策1


 昨年序盤の所謂「プリンセスフォーム」と8月からの凋落ぶりを見るに、使い分けさえうまくいけば.250 10 25 OPS.690くらいやるのではと思っていたのだが、別にそうでもなかった。中嶋監督には「お前は2割2分のバッターだ」と言われていた模様。しかし本塁打率は大幅に向上しているし、伏見との差別化ポイントであった選球眼は健在だった。花崎徳栄最高傑作と呼ばれていた頃の面影を感じるし、現在でも8.9番を打つならば申し分ないと思う。今宮のように突然若かりし頃の打撃能力が返ってくることもあるので、そのうちプリンセスフォームが通年で見られるシーズンもあるかも。

今年は昨年までと違いリードも評価されたシーズンであった。複数人いるノーコン豆腐メンタルリリーフに対し、「どうせ要求通りに来んし適当に構えといたろ!」の精神で脳死でど真ん中を要求して抑えさせたのが有名であるが、昔はフォークをワンバンさせ続ける平野増井にフォークを要求して失点していたのが、今年はフォークのキレが怪しい日の平野にストレートを要求し続けて抑えるなど、投手の調子や精神状態を考慮できるようになったという点でかなり成長が見えた。由伸や平野ら強いカーブを持つ選手に対しては、強打者相手の勝負所で意表を突くカーブを投げさせ打ち取る、という場面が散見された。今年のシーズンはスタメンをもらえない時期が長く、一部では去就が心配されてもいた。しかし、実際は昨年の中嶋体制移行から問題視されていた弱点をしっかりと克服していたのだ。昨年後半から試合中にベンチ方向を見る回数が減っていたため、不可解な配球の原因とも噂されていた鈴木郁洋コーチの更迭が効いてきたのかもしれない。

 

23 伏見 寅威 31歳9年目 右投げ右打ち 捕

91試合 打率.218(238-52)4本塁打25打点0盗塁1盗塁死 39三振17 BB/K0.36

出塁率.268長打率.324OPS.592 得点圏打率.222(54-12) 失策4

 

 すっかり正捕手に定着。昨年はアキレス腱のけがから復帰して返り咲いた姿に感動したのもつかの間、中嶋監督代行が来てから若月と入れ替わる形でスタメン出場を増やすと、クソみたいな悪送球やパスボールをやらかしまくっていたし、三塁守備でも変なことしてた。そこから考えるとすごい成長だ。昨年後半にしぶとく使い続けた甲斐があって守備はかなり改善し、今はあまり心配せずに見れている。あのクッソ長い消化試合期間のおかげ。

 一方打力は昨年からの期待値を下回った。出場試合数で大きく勝るとはいえ打撃成績では頓宮はもちろん、若月にも後れを取る形となり、自動アウト扱いもされた。そろそろ衰えが来てもおかしくない年齢ではあるが、まだやれると信じたい。

 チーム内では相変わらずまとめ役として奮闘。円陣の取り纏めだけでなく、首脳陣と選手との間を取り持ち、投手・野手の垣根を越えて若手の面倒を見た。攻撃でも守備でも派手さはないが、いてもらわないと困る一人。


33 松井 雅人 33歳12年目 右投げ右打ち 捕

10試合 打率.000(7-0)0本塁打0打点0盗塁0盗塁死 2三振0四死球BB/K0.00

出塁率.000長打率.000OPS.000 得点圏打率.000(1-0) 失策0

(二軍)25試合 打率.222(45-10)0本塁打4打点 0盗塁0盗塁死 11三振8四死球 BB/K0.64 出塁率.333長打率.267OPS.600 失策1


 今年はあんまり書くことがない。昨年は増井とイケオジバッテリーを組み、ベテラン同士らしい狡猾で巧みな配球でそこそこ話題になったが、今年はほぼ出番がなかった。僕らからは見えないところだが、二軍で若手への指導に回っていたのだろう。中日時代からリードに定評のある捕手で、後輩に教えられることはかなり多いと思われる。山崎勝己コーチらと共に、ファームにいる高卒捕手組にプロのキャッチャーのいろはを叩きこんでほしい。

 今年の加藤匠平移籍で話題になったが、えぐいレベルで貧打の捕手は投手が打席に立つ(=「自動アウト」が許される打者がすでに一人いる)セリーグとは相性が悪いのだなあと気づきを得た。守備方面に定評があるのなら、パリーグではいくらでも使いようがある。最近は守備もそこまでらしいが、小林なんかはパリーグで仕事がありそうだがどうなのんだろうか。


44 頓宮 裕真 25歳3年目 右投げ右打ち 捕一三

46試合 打率.232(112-26)5本塁打14打点 0盗塁0盗塁死 41三振11四死球BB/K0.20

出塁率.298長打率.402OPS.700 得点圏打率.200(25-5) 失策2

(二軍)40試合 打率.155(103-16)1本塁打10打点 0盗塁0盗塁死 35三振19四死球 BB/K0.40 出塁率.285長打率.233OPS.518 失策1


 主力候補と目されていただけに、なかなか苦しいシーズンとなってしまった。本人の強い希望で捕手を続けている状態で、フェニックスリーグではキャッチャーとファースト、指名打者としての出場がそれぞれ同じくらいと、長打力をチームに還元させたいチームの意向と捕手として大成したい本人の意思、そしてそれを尊重したい福良GMの意思がそれぞれ反映されている。   

捕手は使わないと育たないと言うが、一軍では伏見・若月の使い分けで十分、二軍も中川拓真だけでなくフェリペら育成組の出場機会を用意しなければならない、となり若干割を食っている。今年は二軍で予想以上に苦しみ、なかなか出番が回ってくることはなかったが、昨年最終盤から今年の序盤にかけての打席で、パワーは本物であることは示している。今まではケガでチャンスが回ってこず、今年は一打日本シリーズ進出決定の場面で代打で出るはずが、小田に出番を奪われた。何かとツキが回ってこないが、いつか絶対に目が出る時が来るはず。なんせ彼は亜細亜大出身の大学日本代表4番打者だ。もう来年でプロ四年目になるが、無駄に焦らず自分の納得のいく形で戦力になってくれればと思う。


62 中川 拓真 19歳1年目 右投げ右打ち 捕

一軍出場なし

(二軍)14試合 打率.276(29-8)0本塁打0打点 0盗塁0盗塁死 11三振0四死球 BB/K0.00 出塁率.276長打率.345OPS.621 失策2


 宮城坊主事件の主犯として一躍注目を浴びた高卒ルーキー。29打席四死球なしには目をつぶるとして、一年目からこの成績は捕手としてなかなかなのではないだろうか。指名時には素材型という話だったが、高校通算44ホーマーは伊達ではないか。来年は福永が加入してさらに先輩捕手の層が厚くなるし、育成契約のメンツを見ても鶴見や釣と支配下を狙える同年代の捕手はいる。激しい競争となることは必至だが、勝ち残る力はあるだろう。数年後の姿が楽しみだ。

 ところで、このままいくと伏見と若月のFA取得が似たような時期に来る。万が一、に過ぎないが、二人ともいなくなる可能性は0ではない。そんなことはまずないだろうが、移籍でなくても主力捕手がケガなどで離脱することだってある。その時に一軍に呼ばれるのは誰になるだろうか?



内野手

0 勝俣 翔貴 24歳2年目 右投げ右打ち 一三左 育成契約打診

1試合 打率.000(1-0)0本塁打0打点 0盗塁0盗塁死 0三振0四死球BB/K-

出塁率.000長打率.000OPS.000 得点圏打率- 失策0

(二軍)70試合 打率.218(197-43)1本塁打17打点 0盗塁2盗塁死 52三振14四死球 BB/K0.27 出塁率.272長打率.305OPS.577 失策3


 デビュー後三振記録かなんかで球辞典に取り上げられていた人。ケガの影響があるのかないのか、舞洲の打者不利環境を差し引いても、打棒が全く振るわないまま二年目で育成落ちとなってしまった。ファーストでは圭太や大下の方がまだ打てるというのも向かい風になっている。しかし、8月以降の二軍戦では.294と当たっており、一時期に比べ球も見えているようなので、残念ながらオリックスは退団して巨人で育成契約という形にはなったものの、まだ支配下を諦めるような段階ではない。


1 モヤ 30歳4年目 右投げ左打ち 一

106試合 打率.229(354-81)13本塁打47打点 1盗塁0盗塁死 81三振17四死球BB/K0.21 出塁率.261長打率.373OPS.634 得点圏打率.313(80-25) 失策2


 モヤ♡敬礼して♡なんで最近あのセレブレーションやってくれないんだろう。今年でお別れならもう見れない可能性もあるのか。

 今年はコロナによる出入国規制と外国人選手入国の折り合いで問題が起きた年だったが、モヤは1月4日くらいにはもう日本にいた。すごい心がけだな、今年は4番で頑張ってほしいなと思っていたが、去年終盤のような爆発力はなかった。フリースインガーがすぎるのは相変わらずで、2ストライクに追い込まれてからの打撃成績は悲惨だったが、今年は今までと打って変わって左を得意とした。

 手足がすんごい長く、これは攻守にかなりの影響を及ぼしている。外角の失投はボール球でも腕を伸ばして芯でとらえ、逆方向に長打を打てる。一塁守備では、キャッチできる位置がかなり広く、Tの捕殺時できわどい判定になれば「モヤなら間違いなくアウト」となってTが少しかわいそうになる。実際、Tが足を延ばしてもベースに届かず、踏みに行ったのが間に合わず打者走者セーフとなった際には、モヤなら一発で届いてたとめちゃくちゃ取りざたされた。

 今期で退団らしい。かなり好きな選手だったので寂しくなる。彼が打席に出てくるたび「モヤでっか」とつぶやく日々に、福田や山岡との身長差に噴き出す日々に、さよならを言わねばならないのか。次の仕事場でもうまくやってほしい。


3 安達 了一 33歳10年目 右投げ右打ち 二遊

100試合 打率.259(321-83)0本塁打18打点 5盗塁4盗塁死 65三振46四死球BB/K0.71 出塁率.351長打率.302OPS.653 得点圏打率.247(73-18) 失策9


やはりチームに不可欠な存在である。今年は途中で定位置ショートを紅林に譲り、慣れないセカンドへ。送球の方向や近さが変わった成果か、コンバート当初は悪送球がちょくちょく見られたがすぐに適応し、たまのファンブル以外は安定感のある守備を見せた。

打席でもさすがの選球眼と冷静さを見せたし、犠打数では宗と並んでチームトップの14。要所要所で戦略的に重要なバントを決めた。しかし、今までは年に何本か出ていたホームランは見られず、打率と長打率がここ二年に比べ大きく下がった。安達が年一ペースで見せる頭のおかしい逆方向弾が見られなかったのは寂しかった。潰瘍性胃腸炎を発病し、福良監督が退任してGMに就任してからは、休養のため出場試合数を大幅に減らしていたのだが、今年は優勝争いに加わりたい本人の意思で大幅に増加し、久々の100試合出場を達成。それにもかかわらず塁打数が増えなかったのは、疲労の影響がモロに出たとみるのが自然か。疲れが出た7月、9月以降以外では月間打率が一度も.270を下回らず、OPSは7割弱から8割前半で推移していたことからもそれは読み取れる。

セカンドコンバートには、紅林の育成という目的以外に安達の負担を減らすという意図があり、これも一定の成功を収めたと思ってよいか。来年から本格化するセカンドのレギュラー争いでも、休養日で後輩に出場機会を与えながら、壁として立ちはだかってくれることだろう。選手層が厚くなり安達への依存度が減れば、安達も代打やバックアッパーとしてさらなる働きを見せてくれるかもしれない。

今シーズンでは、「2番的5番」とでも形容すればいいのか、あの「繋ぐ5番」の安達了一はめちゃくちゃ頼り甲斐があった。安達の置き所はよく議論になるが、6番に長打力のあるスコアラーをおいて5番を安達に任せるとあら不思議、吉田杉本で作ったチャンスが安達の右打ちや送りバントで拡大され、6番でしっかり返せたりするのだ。夏の僕は「安達 5番」でパブサしてはニコニコする日々を送っていた。でもこれがハマってたのは8月後半戦の短期間くらいで、Tやモヤが離脱するとやはりパンチに欠ける打順になってしまった。というか安達に潤滑油だけではなくクラッチヒッターとしての役割も任せてしまうと機能不全になってしまうのだろう。気を抜くとゴツメギャラがいつの間にか死にそうになっているのと同じ。

投手が苦しそうなときに真っ先に声をかけに行くのは安達だった。後輩皆から「意外と優しい」と言われているだけあって、そこらへんはさすが。


5 西野 真弘 31歳7年目 右投げ左打ち 二三

18試合 打率.146(41-6)0本塁打47打点 1盗塁0盗塁死 6三振1四死球BB/K0.17

出塁率.261長打率.373OPS.634 得点圏打率.313(80-25) 失策2

(二軍)53試合 打率.224(152-34)0本塁打13打点 2盗塁3盗塁死 8三振22四死球 BB/K2.75 出塁率.326長打率.257OPS.582 失策1


入団当初は巧打の内野手として名を馳せ、2016年には全試合出場を果たしていたのが、いつのまにか年月が経ちかなり立場が厳しくなっていた。今年はオープン戦始めにて三塁守備で飛び込み、脇腹をベースにぶつけて負傷交代という安定の脆さを見せてしまったが、その後もこれと言った見せ場がなく二軍暮らしが続いた。内野手のスタメン争いが激化する中、かなり苦しい状況に追いやられており、正直いつ戦力外になってもおかしくない。

甘いマスクと小柄な体格で女性人気も高い。ジャンプしても取れない打球の範囲が安達や宗に比べ少し広めという地味な弱点があり、実際西野が三塁守備についているときに左方向への高めのライナーが抜けたときは「ああ西野さんなら仕方ないわ・・・」という声がちらほら聞こえた。ちょっとかわいい。でもお茶ココアゲームの時には最速で「お茶」と回答し、伏見に「こいつは人を信用しないところがある」とからかわれていた。ちょっとこわい。


6 宗 佑磨 25歳7年目 右投げ左打ち 三

139試合 打率.272(481-131) 9本塁打 42打点 8盗塁4盗塁死 62三振46四死球BB/K0.53出塁率.335長打率.393OPS.728 得点圏打率.275(27-8) 失策7


今までのシーズンで評価点として挙げられていたパンチ力、守備力、身体能力、コミュ力がいい感じにブレンドされていた。出塁率とOPSのキャリアハイは今年ではなく2019で、この年はIsoD1.00と驚異の数値をたたき出しているのだが、54試合出場にとどまっているのを考えると恐らくは今年くらいの数値が本来の能力かなという感じである。リーグにもあまりいない守備走塁型三塁手として名をはせた一年だった。三塁守備に関しては以前からこっそり評価されており、執筆者は去年からずっと「宗は打ちさえすれば三塁スタメンだよなあ」と言い続けてたんで見事に打ちさえしてくれて良かったです。嘘です。今Twitter見返したら1回しか言ってなかった。96年生まれが活躍すれば優勝も見えるとも言っていたので、手始めに宗が覚醒してくれて喜んでいる。あとは皓大や圭太らへん。

そんな三塁守備だが、今年に関してはハイネマン理論に従えばもう少し打点を挙げていることになる。守備得点が算出できればいいのだが、さすがにそこまではできなかった。範囲の狭い紅林の介護から三塁線際の死守、手前に転がる弱い打球の処理までお手の物。GGは茂木との一騎打ちだろうが出場試合数で上回れるか。優勝したので、もしかするとB9も取れるかもしれない。

あと、「セ記者『う〜ん今年のGGは松田!w』」みたいなネタはあんまり言わない方がいいと思う。去年はもう松田GG取ってないしジョークとしても的外れ感が否めない。オリファンは安達今宮時代にUZRリーグ一位だった安達が一度もGGを取れなかったことを根に持っており、安達本人も去年のGGで4票しかもらえなかったことにインスタでブチギレ、話題になった福良GMは、GG選出に携わる記者陣にオリックスの番記者が一人しかいないことに愕然としている。オリックス関係者は記者投票に対して人一倍敏感なのだ。それはそうと今年松田に投票した記者がいれば全員漏れなく転職してほしいところ。1人くらいいるでしょ。


12/20追記:無事獲得したが茂木との差が予想以上に大きくて驚いた。日本シリーズの印象や指標から茂木でもおかしくないし、少なくとも競るのは必至と思っていた。やはりぱっと見ですごい守備は評価されやすい。松田は5人いた。B9も競り勝って獲得。優勝補正だという声は否定しないが、対抗馬でスタッツが宗より優秀だった中村剛也はDHでの出場もかなり増えていたので、そこで勝ったか。B9は少し前の岡本のような出場ポジションが複数ある優秀な選手を評価しづらいのが難しい。


彼が二番を打っているというのも少し面白い。選球眼と走塁は良いが併殺も多く、アベレージヒッターというよりはクラッチヒッター。両隣が同じ左打ちというのもあって、中嶋監督は宗の打順を下げて安達を二番にしようとすることも多々あった。結局他に適任がおらず二番に定着したが、これから先はまた変わっていくかもしれない。脚を生かすためにはやはり前で使いたいが。併殺減らしてくれたら言うことなし(チーム最多タイ15個)。


9 大城 滉二 28歳5年目 右投げ右打ち 二三遊

49試合 打率.180(61-11)0本塁打5打点 1盗塁0盗塁死 14三振5四死球

BB/K0.21 出塁率.242長打率.230OPS.472 得点圏打率.214(14-3) 失策5


 内野の守備固めとしてものすんごい信頼を得ていたのだが、夏のエキシビジョンで靭帯を損傷し離脱。そのままシーズンを終えてしまった。最終的に紅林がブレイクしたからよかったものの、安達が毎試合出られず二遊間に守備の怪しい若手が多いオリックスにおいて彼の必要性は絶大で、今季絶望の報せが届いたときにはかなりのファンがきつい表情を浮かべた。ケガが響かなければいいが・・・。

 二遊間だけでなく三塁守備もこなし、強肩のおかげで少々後ろにポジションをとっても送球が間に合う内野守備の隠れた名手。一方で打撃は長らく低空飛行で、かつて期待されていた値よりはずいぶん低い率しか残せなくなった。外野守備もできるので食い扶持に困ることはまずないだろうが、寂しいものがある。

 杉本と小田と共に合コンもどきをやっていた。既婚なんだが正直やりそうというか、なんかそういう部分での信頼は0に等しい。いてもらわないと困る選手なんだが、なんかこう、もっとやれるだろというか、もどかしい言い表せない感情がある。恋か?


24 紅林 弘太郎 19歳2年目 右投げ右打ち 三遊

136試合 打率.228(448-102)10本塁打48打点 2盗塁1盗塁死 101三振15四死球

BB/K0.12 出塁率.251長打率.353OPS.603 得点圏打率.230(113-26) 失策17


 今年は本来二軍で鍛えるはずのシーズンだったのだが、1年で9kg増量しプロの身体づくりに成功しており、安達がやや出遅れたこともあり開幕スタメンを掴んだ。最初はどうなることやらと気が思いやられたが、終わってみれば規定到達、欠かせない戦力となっていた。

 守備に関して、最初は送球の強さと安定感以外は目も当てられない状況だったのが、範囲は狭いながらも段々と堅実さを高めていき、ホーム最終戦では逆シングルで処理したくなる三遊間奥へ転がった打球に順手で間に合い、スムーズな動きで二塁に送球しスリーアウトを取れた。UZRはプラスに転じ、最終的に4.4。絶頂。

 打撃は、9/9ロッテ戦の最終打席、益田相手に痛烈な三ライナーを放ったあたりで明確な成長が見えた。追い込まれてからの集中力が特に上がったように思える。今まではあっさり振って三振に切られていたであろう外スラはちゃんと見逃し、クサい球はしっかりカットして粘り、絶好球を待つというアプローチが出来るようになっていた。前半戦で述べた通り今年のオリックス打線は、上位打線で活躍していたメンツがこの「好球必打」を徹底できていたのだが、一方で下位打線を支えていたメンバー、特にこの紅林は経験が浅いというのもあり上手くこのテーマに乗ることができていなかった。しかし、吉田正尚が離脱し3番に抜擢されてからは、掴み取ったスキルを武器に長打を重ね、チームを救った。これを成長と言わずして何と言おうか。

 これだけ根気強く一軍戦に出し続けられた理由の一つに、宗の存在があると思われる。紅林が守れない三塁方向の範囲はほぼ宗がさばいたため、彼の定着以降は、UZRマイナスのショートがいるにしてはそこまで「それは取ってくれよ~」と言いたくなる場面が少なかった。センターラインの守乱は負けに繋がりやすく、いくら有望な若手と言えど打てない守れないでは優勝争いをするチームでは使ってもらえない。ここを、宗と安達の範囲や経験で補い、作った時間で一気に一軍に慣れてエラーを減らすことでどうにかした。守備はよくなったので打てないのは我慢できるようになり、スタメンに定着。今度は一軍投手との対戦を重ねて打撃を学んだ。周りの環境が整っている中で、本人が着実に課題をクリアしていったことで、お世辞抜きの「一軍スタメン」へと成れたのだ。

 夏を迎えてからの伸びや、高卒2年目で一軍帯同という現状、大型遊撃手というロマンあふれる肩書から、坂本勇人と比較する声も多い。個人的には坂本クラスの高卒ショートが10年間隔で現れてたまるもんですかと言いたいし、高卒2年目時点の最終成績を見比べてもやはり坂本にはまだ及ばない。しかし、これからチームを10年以上支える選手になる素地ができたのは確かだ。坂本2世ではなく「オリックス紅林」として栄華を極めてほしい。


27 元 謙太 18歳1年目 三遊外

一軍出場なし

(二軍)138試合 打率.138(334-46)4本塁打30打点 2盗塁3盗塁死 119三振33四死球 BB/K0.28 出塁率.215長打率.213OPS.427 失策1


 あんまりにも打てない時間が長すぎてなんJでいじられまくってたのがアレだった。春季キャンプ中に負傷し、おいおい大丈夫かという感じでシーズンを迎えたが二軍で通年出場できた。成績は全く大丈夫ではないが。

 一時期打率が一割を大きく下回り、守備は本人の希望で本来の外野手でなくショートやサードなどに挑戦してボロボロだった。本人もファンも辛い走り出しであったのは確かだが、だだっ広くて向かい風が強い舞洲ホームで4本塁打はすごい。二軍選手全員に言えることで、これは中嶋監督も触れていたが、舞洲はとにかく打者に厳しい。いい当たりでも打球の勢いが空中で失われてフライアウトになるのはざらにある。甲子園の浜風も打者の調子を狂わせるというが、頓宮や太田など一軍を経験している選手が今年おかしくなったのは舞洲の影響もあるのでは?と思ってしまう。

 それはそうと元もセンター守備の練習を始めていた。結局どこを守るんだろう。三塁は宗がいないときにどうする、とはなるので、福田が衰えて大下や太田が出せないならあるかもしれない。外野かなあ・・・。


31 太田 椋 20歳3年目 右投げ右打ち 二三遊

53試合 打率.172(151-26)3本塁打9打点 1盗塁0盗塁死 44三振4四死球

BB/K0.09 出塁率.194長打率.245OPS.439 得点圏打率.154(26-4) 失策5

(二軍)52試合 打率.190(174-33)3本塁打9打点 1盗塁1盗塁死 38三振16四死球 BB/K0.40 出塁率.257長打率.316OPS.573 失策5


 今年はオリックス野手1のプロスペクトという枠を一個下の紅林に奪われた。守備が一軍レベルでないのは知っていたが、ここまで打撃で苦しまれると、という感じのシーズンだった。紅林と違いある程度ブレイクの見込みがあった選手で、捉えれば5階席まで楽々と持っていける強打の内野手としてついに歩みだすはずだった。本来坂本二世はこっちに使われていた称号だったのだ。僕は素人なので原因は全くわからないが、なぜか二軍でも打てない大不振に陥り、夏には一時二軍戦から離れミニキャンプを開くところまでいった。

 紅林が出てきたからいいものの(本人にとってはなにも良くないが)、来年以降は出てきてもらわないと困る選手。ビヤとの衝突事故と言い集中すると周りが見えなくなるのが怖いが、まずはシーズン通して出れるだけのことをしてほしい。打撃はダメダメだったが、守備の方は身体のガチャガチャ感がなくなり、スムーズな動きでうまいこと守れるようになってたので、余計に期待がかかる。

 そういえばファーストにチャレンジしているらしい。大下中川あたりへの対抗馬としては有力だし、二遊間が宜保紅林でカチカチに埋まる可能性はあるので妥当か。日本シリーズで結果を残し感覚が戻りつつあることはわかったのも収穫。スケールの大きさは確かなので、来季が俄然楽しみになった。


36 山足 達也 28歳4年目 右投げ右打ち 一二三 

53試合 打率.273(33-9)0本塁打1打点 0盗塁0盗塁死 5三振4四死球

BB/K0.80 出塁率.351長打率.273OPS.624 得点圏打率.167(6-1) 失策1

(二軍)33試合 打率.247(85-21)0本塁打6打点 2盗塁0盗塁死 13三振9四死球 BB/K0.69 出塁率.316長打率.294OPS.610 失策2


 前半はやらかし(と人のやらかしに巻き込まれ)体質として、後半は優勝の1ピースとして名前を挙げた。9回のピンチバンターでバントを失敗したり、楽天戦での誤審疑惑騒動では問題となった三塁の守備に就いていたりなど、トラブルメーカー的な扱いをされがちで、正直戦力外すら見えていた。しかし、吉田正尚離脱時には一塁スタメンとして出場し、予想外の高打率で穴を埋めた。3番山足という4番小島を彷彿とさせるパワーワードを生み出した上、しっかり結果を残したのはすごい。ただ、祝勝会でクラッカーをフライングで鳴らしているのを見て、今年のやらかし癖を思い出してつい笑ってしまった。

 昔祖父江が言ってたんだが、敗戦処理のような立場の弱い控えの選手は難しい仕事をやっているのにも関わらず、失敗がクビに繋がりやすい。「中継ぎの好投思い出せない説」とも少しつながる部分があるが、ピンチバンターや代走、守備固めは仕事の数が限られている分絶対に失敗が許されない。スタメンとは違う重圧を背負ってるんだろうなあと思う。

現在は一塁だけでなく遊撃守備も再び練習しているらしく、UTとしてさらなる成長を目指している。大城とは違い守備は特別良くもないが、守れるポジション数が多い選手が多いに越したことはないので、外野守備練習も含めどんどんいろいろやってほしい。外国人選手ともいちゃつけるコミュ力お化けらしいので、そういうムードメーカー的な役割も含めて一軍にいてくれると助かる。


40 大下 誠一郎 24歳2年目 右投げ右打ち 一三

15試合 打率.160(25-4)1本塁打2打点 0盗塁0盗塁死 7三振2四死球

BB/K0.14 出塁率.222長打率.280OPS.502 得点圏打率.333(6-2) 失策0

(二軍)72試合 打率.244(193-47)2本塁打15打点 1盗塁0盗塁死 27三振34四死球 BB/K1.00 出塁率.354長打率.358OPS.711 失策4


 伝説の神戸男。去年支配下登録を受けて出た最初の試合はほっともっとフィールドで開催されたのだが、そこで迎えた一軍初打席でまさかのホームラン。その後もパンチ力を見せつけ、近鉄顔とガッツ、荒々しい大声から繰り出すすんごい勢いのガヤで一躍話題になった。ほもフィーを出てからは打撃は低調で、今年に期待がかかっていたのだが開幕前にケガ。それでも二軍で調整を続け、ジョーンズ一時帰国の危機に及んで一軍に駆け付け、またしてもほもフィーで大暴れして二軍に帰っていった。こうなってしまうともはや神戸の領域を広げるしかなく、大下には手始めに大正を、次に札幌仙台所沢幕張福岡、最終的には新広島も「神戸」だと思い込んでもらわないといけない。

 去年から「キャラの割にちゃんと四球選ぶな・・・」という印象を持ってたが、今年もなかなかの選球眼を発揮した。ただ、中距離バッターとしては少々長打が少ないというか、物足りない感じがする。ただ忘れてはならないのが、彼は育成上がりの大卒二年目ということ。少し気長に見てもいいだろう。非力でないのは確かなので残しやすい。杉本の例もあるし。  本人もTを敬っている素振りを見せることが多いが、個人的には声出し神戸要員にとどまらずTの後継者としてやってほしい。

 今年も中田翔の自主キャンプに参加するのかどうかは見どころ。去年は中田キャンプ後に疲労骨折か何かをしてるので、そこらへんも気を付けてほしい。


42 ラベロ 29歳1年目 右投げ右打ち 一左

2試合 打率.429(7-3)0本塁打0打点 0盗塁0盗塁死 1三振0四死球

BB/K0.00 出塁率.429長打率.429OPS.857 得点圏打率.(1-0) 失策0


 夏の休止期間で獲得したものの、来日後の二軍調整中に骨折という悲しいことになってしまった3A26試合.407 8本 27打点の強力助っ人。ラス2でモヤと入れ替えられたのを見て「マ?」と声が出たが、初打席でしっかりヒットを打ちアピール成功。優勝後の紅白戦でも増井から五階席弾を放ったり、アメリカ時代からやってるらしい謎のポーズ(ラベロ・ハンド・シェイクという陽気な名前までついている)を披露したり、話題性に富む。ポストシーズンではダメダメだったが残留するだろう。本番は来年からだ。

 とにかく変化球打ちで、速球へのアジャストは未知数。というか苦手な可能性すらある。カーブやスライダーを捉えきるのはかなり得意らしく、NPBとはある程度相性がいいかもしれない。


53 宜保 翔 20歳3年目 右投げ左打ち 二遊

33試合 打率.160(25-4)0本塁打1打点 0盗塁0盗塁死 7三振2四死球

BB/K0.14 出塁率.222長打率.240OPS.462 得点圏打率.000(65-17) 失策3

(二軍)63試合 打率.225(209-47)0本塁打14打点 2盗塁5盗塁死 50三振20四死球 BB/K0.36 出塁率.290長打率.273OPS.563 失策9


 いつかのオープン戦で暴れたときには打の内野手扱いされていたはずなんだが、今ではすっかり守備の人扱い。もともと守備も評価されていたが、流れるような美しいグラブトスとか、宗の守備覚醒のきっかけになったらしいとか、話題もどんどん守備の良さに流れている。手のケガがあったとはいえ打撃を諦めるのはまだ勿体ないんじゃないか。これも舞洲のせいか。二軍での出場機会はかなり増えたのでこれから何か起きる可能性はある。

いやあでもほんと見てて楽しい守備なんだよなあ。安達がずっと出れないチームなので、宗か紅林が何らかの理由で一軍を離れるとすごくわちゃわちゃする。大城が打てないままなら、宜保の出番はおのずと増えるだろうと思う。


55 T-岡田 33歳16年目 左投げ左打ち 一左

115試合 打率.241(357-86)17本塁打63打点 2盗塁3盗塁死 86三振45四死球

BB/K0.41 出塁率.322長打率.434OPS.756 得点圏打率.296(98-29) 失策4


 タンマ、今クソデカ感情が先行しまくって逆に何書けばよく分からなくなった。

 去年の後半には復活し、低打率ながら選球眼は良し、ホームランもちゃんと出て得点圏打率は高いという姿にモデルチェンジ。得点圏打率以上に試合を決定づける場面で打つことが多かったように思える(そもそも得点圏打率自体信ぴょう性は薄いが)。福宗正杉の後を任せるにふさわしい頼りがいのある5番だった。9月末のロッテ戦3タテを決めた9回逆転スリーランをはじめ、栗林にプロ初黒星を付けたサヨナラ打など、今年多かった劇的勝利の場面にいることが多かった。一時期の乙女メンタルはどこへやら。

 引っ張り方向へ描くきれいな放物線が有名だが、彼が好調の時はうまくボールをバットに乗せてセンター方向から逆方向へ運べる。あのスパッとうまくいく感じがすんごく気持ちいいのに、なかなかみんなわかってくれない。高めをしばくのはもちろん、アウトローをさばくのもうまく、今季何度かあった益田相手の対戦がわかりやすいが、右投手のシンカーを捉えるのがうまい。早川の低めに決まったストレートを右方向へ打ち返しホームランにしたときは、本当に声が上がった。一方不調期には甘い球を見逃し続け、相手の決め球であえなく三振という打席が続く。とにかく乱高下が激しく、ここの調整がうまくいけばかつてのような姿に戻れるのだろうが。

 かつては王貞治以来の逸材と言われたにも関わらず二軍で苦しんだ時期もあり、2014年にはすんでのところで優勝を逃し、ここ3年は大不振に喘いでいたチームの「魂」は、主砲ではないにしろ、その能力でチームを優勝へと導いた。彼が優勝できたという事実は、多くのオリックスファンにとって大きいことではないだろうか?


64 廣澤 伸哉 22歳4年目 右投げ右打ち 一二三遊 育成契約打診

一軍出場なし

(二軍)81試合 打率.169(154-26)0本塁打15打点 7盗塁2盗塁死 42三振11四死球 BB/K0.24 出塁率.224長打率.221OPS.445 失策10


 さすがにもう我慢してもらえなかった。下に宜保、太田、紅林といて打撃も守備も見劣りしますとなると育成に下げられるのは仕方がない。プレスが出た当初キャンプに廣澤の姿がなかったので、去就を心配する声があったが、今は合流できているようで残留の線が濃厚か。上に挙げた3人以外にも圭太セカンド練習、野口加入らへんを考慮するとチーム内での立ち位置はどんどん苦しくなっていく。大城山足あたりが出られなくなってしまう時にはお呼びがかかるかもしれないが、世代交代を待つだけでは出番が回ってくる前に道が途絶えてしまいそうだ。


67 中川 圭太 25歳3年目 右投げ右打ち一三外

61試合 打率.212(156-33)1本塁打7打点 1盗塁0盗塁死 23三振10四死球

BB/K0.35 出塁率.259長打率.263OPS.522 得点圏打率.200(30-6) 失策0

(二軍)17試合 打率.293(58-17)0本塁打4打点 2盗塁2盗塁死 3三振11四死球 BB/K3.67 出塁率.406長打率.431OPS.837 失策0


 まだまだ燻ってるな~~~交流戦首位打者中川圭太はどこだ。去年はかなり期待されていて、正尚とジョーンズに挟まれ四番で固定されていたが打率が1割台をさまよっていた。秋山翔吾に「相手にいてほしくない打者」と称賛されたり、器は本物だと信じているのだが、結果がついてこない。1年目くらい打ってくれれば本当に充分なんだが、これは阪神ファンが高山に対して言う言葉でもあるので本当にダメ。

 守備位置がないのも痛い。三塁は宗が暴れているし、外野を守らせるとすごい勢いでUZRマイナスを掘り進めていく。センターは多少マシに思えるのだが。セカンドに挑戦しているらしいが、今の印象だとファイヤー必至。へたくそであっても守れる位置が多いのは良いことなのだが(パワプロ脳)。


93 岡﨑 大輔 23歳5年目 右投げ左打ち 一二三遊 2021年8月30日支配下登録復帰 戦力外

一軍出場なし

(二軍)62試合 打率.175(114-20)1本塁打17打点 0盗塁1盗塁死 22三振7四死球 BB/K0.32 出塁率.223長打率.228OPS.451 失策4


 夏に支配下へ復帰。入り込める場所はないぞ?と思っていたら再び戦力外通告を喰らってしまった。廣澤の動向次第で育成復帰もあるのかもしれないが、11/15現在では去就未定。もしかすると今年で完全に引退となるかもしれない。育成落ちしたばかりのころに花崎徳栄OBとして埼玉の野球教室のイベントか何かに出向き、場を盛り上げていたので、Jr関連とかそれ以外でも何らかの仕事は出来そう。精神が強いのはどこいっても大体役に立つ。




外野手

4 福田 周平 29歳4年目 右投げ左打ち 二三中

107試合 打率.275(408-112)1本塁打21打点 9盗塁1盗塁死 52三振51四死球

BB/K0.83 出塁率.354長打率.321OPS.675 得点圏打率.262(65-17) 失策3


最強でNo.1ですよ!?カッコいいっしょ!という名言をインタビュー中に叩き出してしまった29歳男性。左手が光る。

福谷との名勝負を初めとして、「粘り勝ち」を体現したかのような打席内容が多かった。ボール見極め率は12球団中4位の84.62%。2ストライク時の出塁率は.359、打率も.282、フルカウントになれば.339。一方で初球の打率は.438とまさに好球必打。口で言うのは簡単だが、これが出来ていた野手は昨年いなかった(カット粘りだけなら大城がすごかった)わけで。元々評価されていた選球眼に関して、個人的には安達や吉田正尚以上だと思っており、俊足が活かせるセンターにでも転向して1番打者に定着してくれればなあ〜〜〜と去年のシーズン末くらいから思っていたので、今年の活躍は本当に嬉しかった。求めていた出場機会が遂に安定して得られたのもあってか打席に余裕が現れており、9回2死満塁一点ビハインドから初球を見事セカンドゴロ、みたいなことをしなくなっていた。のだが、終盤は優勝へのプレッシャーか、正尚がいないことによる焦りか、調子が落ちるなか結果を残そうと気がはやったのか、また前のめって初球凡打を量産する悪癖がぶり返していた。精神面の弱みが完全に抜けていないのは大きな課題点。

一方、盗塁企図数が大きく減って成功率は向上。「赤星式盗塁」(盗塁数-盗塁死×2)はキャリアハイを記録した。これまで三年の赤星式盗塁は-2、2、3とそれはもうひどく、チャンスを盗塁死で潰すことが多かったと言っても過言ではない。だから、そこが改善されというのは、好調時の打席への向かい方も含め改善の余地はあるということを示している。

守備範囲の広さには脱帽した。元々吉とも凶とも出ていた追いたがりな性格もあって、両翼の仕事をどんどん奪っていくほどの範囲の広さだった。UZRはなんと佐野皓大以上。がんばれ佐野。まあ打球判断が怪しいとかはアラサー急造センターと考えるともう仕方がないんで割り切らねばならない。内野時代から指摘されてた肩の弱さだけは諦めるしかないが、たまーにすんげえプレーでヒット性の打球をアウトにしたりしているのでチャラに出来ていたか。俊足で範囲は広め、ガッツマシマシのファインプレー期待値大、ツッコミがち、送球にやや不安あり、絶望的ではないが決して強くはない肩、内野にホープが揃いセンターはどんぐり気味というチーム状況、この要素を加味すればセンター転向はかなりいい判断だった。本人の英断に感謝したい。

チーム企画「もし女性に生まれ変わったら誰と付き合いたい?」ではチームメイトから口をそろえ「一緒にいると疲れそう」と言われていたが、彼の動画のコメント欄には学生時代の後輩が感謝の言葉を綴りに来るほどの聖人。ちょっと面白かった。


8 後藤 駿太 28歳11年目 右投げ左打ち 右中左

56試合 打率.125(16-2)1本塁打5打点 2盗塁1盗塁死 6三振1四死球

BB/K0.17 出塁率.176長打率.313OPS.489 得点圏打率.000(3-0) 失策1


ホームランを打った翌日に腰かどこかを痛め抹消、ロッテとの天王山で痛恨の後逸などつくづく運のないシーズンに思えたが、昨日のT-岡田のホームランと最終戦の2ランスクイズを演出した好判断・好走塁や最後の好守で大方チャラになった。

本人も首がひんやりしていることにはかなり危機感を持っていて、このシーズンには相当の覚悟を持って臨んだらしい。守備能力は全盛期と比べすでに衰え始めているが(全盛期がすごすぎるのも大きい)、外野はどこでも安定して広く守れるスーパーサブとしての立場を確立できた。シーズン最終戦のスーパーキャッチに関して。前述のとおり9/30ロッテ戦の終盤に後逸しており、本人は「もう後がない」という意識が強かったことが関係しているらしい。ここ最近は毎年戦力外予想に名を連ねるようになってしまい、二軍の帝王になるかならないかくらいの苦しい状況にいた駿太。2014年にはスタメンだった男が、7年後サブというかたちで「全員で勝つ!」チームで役割を全うし、優勝に貢献できたのは、本人の努力と精神力によるものだ。

世代交代の波が押し寄せる中で、もう一度レギュラーに返り咲くのはかなり難しいだろうが、強くなったオリックスで意識を高めた彼ならば、またやってくれるだろうか。残留してほしいね。まだ周平ラオウ駿太のアラサー三バカが見たい。


10 ジョーンズ 36歳2年目 右投げ右打ち 指

72試合 打率.234(154-36)4本塁打23打点 0盗塁0盗塁死 35三振25四死球

BB/K0.63 出塁率.339長打率.338OPS.677 得点圏打率.262(46-12) 失策0


 来日二年目にして代打の神様として奉られた元メジャーリーガーおもしろおじさん。相変わらず足の調子が悪かったらしく走塁はぼこぼこだったが、走塁意識は高かった。守備機会は記憶している限りでは一度もなしで、昨年の後半同様打撃に専念する形に。しかし打席での集中力は大幅に向上していた。

 去年のジョーンズのことを話せと言われると、チャンスで打席が回ってきて初球キャッチャーフライというシーンが頭にこびりついていると言いたい。しかし、今年はそのようなシーンを見た記憶がほとんどない。選球眼は衰えていなかったのはわかっていたが、アメリカで10年以上活躍した選手が本気で出塁を狙いに行けば、これだけのことができるのかと、恐れ入った。IsoD0.105、得点圏では0.156と破格の数値。代打成績は打率.429、出塁率.568。ここ一番での集中力は異常なほどに高かった。打撃自体も左腕に対しては.292となかなかの成績。あのピンポン玉を飛ばすかのような軽やかに飛距離を出すホームランは鳴りを潜め、単打巧打が目立った。

 杉本への助言をはじめ、チームにもかなりの影響力を与えていた模様。コーチとしての残留を求める声もあるがどうするのだろうか?契約延長のオプションは彼にあり、そうすれば打撃指導やメンタルのコーチングもできる代打枠にまた4億払うことになる。今年は優勝イヤーで年俸が高騰するのは必至なので、減俸して契約を結びなおすのだろうか?オリックスは金を出す相手がいなかったからチーム総年俸が低いだけで、金はあるので、もしかするとそのまま残留とかもあるか。コロナでの入場規制が痛い。


12/10追記:大城が背番号10に復帰。報道からしても今年でオリックスを去ることは確定的なのだろう。さらばアダム・ジョーンズ。またご縁があればお会いましょう。

 

25 西村 凌 25歳4年目 右投げ右打ち 左

13試合 打率.214(42-9)0本塁打11打点 0盗塁0盗塁死 6三振3四死球

BB/K0.50 出塁率.267長打率.262OPS.529 得点圏打率.167(6-1) 失策0

(二軍)59試合 打率.259(147-38)1本塁打19打点 6盗塁1盗塁死 18三振24四死球 BB/K1.28 出塁率.363長打率.374OPS.737 失策1


 夏のエキシビジョンで猛アピールして戦力外を回避。結果的に一軍公式戦では瞬間的にしか活躍できなかったが、来年に期待をかけられるシーズンだった。二軍野手の中では相当打てた方で、四球>三振なのも好印象。しかし守備がほとんど期待できないのが痛く、レフトは正尚がいなくてもラベロや圭太が守れてしまうのが痛い。来田ら近年の高卒外野手の成長速度によってはいつ首を斬られてもおかしくないポジションではある。まだ25と取るべきか、もう25と取るべきか。今のオリックスなら本人次第。二軍の帝王コースをたどりつつあるのがいやーな感じ。


34 吉田 正尚 28歳6年目 右投げ左打ち 左指

110試合 打率.339(389-132)21本塁打72打点 0盗塁0盗塁死 26三振63四死球

BB/K2.23 出塁率.429長打率.563OPS.992 得点圏打率.400(90-36) 失策2


自分を動物に例えるとノズパスになると思っている人。やっぱり正尚はバラエティ向けの面白人間ではない。テレビの前では本当に当たり障りのない受け答えしかしないし、筋肉BIG3の中では一番会話がまとも。何の話かというとリアル野球BANの吉田正尚は特大ファール以外本当に見所がなかったなという話です。あんまりにも出番がなくてオリファンがフジにキレ散らかしていたのも今や昔。

昨年は.350で首位打者、ついに個人タイトを獲得し、彼の打率がZオリックスの勝率を上回っていた時期も結構長かった。だが、「三振が少ないのも首位打者もすごいけどやっぱりとんでもフルスイングとホームランが見たいよな~・・・」という声も少なくなかった。本人もそれを理解しており、昨年後半の打席は「安打を狙いに行きすぎていた」と反省。今年は三振は少ない・打率は高い・長打もしっかり出る・ホームランの飛距離はおかしいと今までの総決算のような成績になりそうだった。打線がつながり、自分が打てなくてもチームは勝てる、優勝争いができるというシーズンだっただけに、負傷離脱は苦しかったはずだ。野手の中では孤軍奮闘と言ってもいい時間も長かったのだから。

守備力も肩も足もないんだからメジャーはしんどいだろう、と言われ続けているが、今年に関しては何度かレフト前のフライを上手いことダイビングキャッチしており、守備範囲も前方向へはちょっとだけ広いことを示した。相変わらず背走は頼りないがシーズン中にほんの少しマシになった気がしないでもない。弱肩をなめ腐られているのはこの際仕方がないし、メジャーならDH専だろうという意見を否定するつもりはない。

今年は終盤にほとんど出場出来なかったのも痛かったが、ベストナイン常連選手になってもう4年目なのに30本は打てていないしOPSは1.0を超えない。3割30本はまさかの杉本に先を越されてしまった。OPS1.0超えに関してはパリーグで達成している現役選手は柳田とおかわりくらいで、最近ではめったに見るものではない。それでもやっぱり俺が見たいのは.334 34 102 1.034の吉田正尚なんだよなあと思ってしまう。鈴木誠也にしろ柳田にしろ、底の見えない打撃力を見せてしまうとファンの願望は青天井に跳ね上がる。ここまで言わないにしても.320でいいから30本打って欲しい。これでもかなり贅沢に聞こえるが彼なら出来ると信じている。


38 来田 涼斗 19歳 1年目 右投げ左打ち 右左指

23試合 打率.211(71-15)2本塁打8打点 1盗塁2盗塁死 30三振4四死球

BB/K0.10 出塁率.250長打率.338OPS.588 得点圏打率.231(13-3) 失策2

(二軍)89試合 打率.255(321-82)2本塁打26打点 5盗塁6盗塁死 89三振14四死球 BB/K0.15 出塁率.286長打率.349OPS.635 失策5


 明石商時代の「春の甲子園史上初初回先頭打者ホームラン+サヨナラホームラン」から、スター性というかそういう星の元に生まれているというか、「持ってる」と感じていた。いざプロに入れば高卒初のプロ一年目プロ初打席初球初ヒット初ホームランという偉業を達成。それだけでなくプロ初スタメンでプロ初得点・プロ初猛打賞・プロ初盗塁・プロ初盗塁死と大暴れ。その後も神戸で一本放つなど将来が楽しみになるシーンがいくつかあった。

話題性のある打撃と超高校級の体格、強肩俊足が持ち味のイケメンということで元々スター候補ではあったが、甲子園がない年の高校三年生で、コロナの影響で能力とモチベーションが大きく低下したという噂があり、プロでは苦しい守備ということで評価がかなり低く、最下位のドラ3まで残っていた。守備は予想以上にひどかったが、春に正尚の指導もあってか着実に力をつけ二軍でなかなかの好成績をマークしていた。調子の上下がやや激しく、固め打ち的な性質が否めないのは確かで、最終的な二軍成績はインパクトの割に低く感じる。四球を選べていないのは怖いところで、本当はまだまだ二軍で鍛えないといけない選手であることを実感する。紅林の例が出来てしまったのでそわそわしてしまうのはわかるが、星のような輝きに目がくらんでしまってはいけない。再来年あたりに一軍スタメンで見たい選手。タイプは違うが正尚が出て行ってしまった場合の後釜として期待したい。

高卒外野手の守備難矯正はオリックスにはお手の物。高校時代はそこまで守備の良くなかった西浦が、2020にはパテレのweekly best plays常連になったのだから、そこまで悲観的に考えることはないだろう。皓大だって今ではなかなかの中堅守備を見せるが、元は投手だった選手。急造センター福田も怪しい部分はあったとはいえ、一年目から一軍で出続けられるレベルだった。来田は身体能力がかなり高いのだから、守備の向上には期待していい。


41 佐野 皓大 25歳7年目 右投げ両打ち 一右中左

67試合 打率.146(82-12)1本塁打2打点 8盗塁2盗塁死 26三振2四死球

BB/K0.04 出塁率.167長打率.232OPS.398 得点圏打率.200(15-3) 失策2

(二軍)43試合 打率.247(150-37)0本塁打9打点 14盗塁9盗塁死 34三振15四死球 BB/K0.41 出塁率.313長打率.300OPS.613 失策1


 オープン戦でめちゃくちゃに打ったので、長打も狙える超快速スイッチヒッターリードオフマンとして大活躍すると思われていたのだが、蓋を開ければ貧打オブ貧打で、結局代走の切り札に戻ってしまった。左でもホームランが打てるようになって左野左野騒がれてたのにからっきし。センター争い一番手だったが、スタメンは福田にかっさらわれた。二軍でも大して打てなかったのが非常に引っかかる。オープン戦で抜群に活躍した選手がシーズンでシッナシナになる現象って何か名前ないんだろうか?アジャ現象?

 とにかく代走以外でもしっかりやってもらわないとこちらとしては困る。野手転向に両打の練習までした高卒ドラ3と考えると既にすんごい頑張っているのだが。走塁に関しては周東の足を掴んで引っ張りまわすくらいの水準にいるので、安定して一塁に出られるようにスタメンを掴んでほしい。頑張れ未来の盗塁王。


50 小田 裕也 31歳7年目 右投げ左打ち 右中左

101試合 打率.067(15-1)0本塁打0打点 5盗塁2盗塁死 4三振2四死球

BB/K0.25 出塁率.176長打率.067OPS.243 得点圏打率.000(3-0) 失策0


 今年も代走、守備固めとして奔走。出場試合数はキャリアハイ、打席数はワーストと役割がはっきりした。スタメン出場はわずか2試合だった。守備能力は相変わらず安定しており、強く低い送球は今年も火を噴いた。スーパーサブとしては申し分ない。あの広い守備範囲で失策0は立派。

 短い期間に限ればなかなかの打撃能力を見せてくれることもあるのだが、安定性は全くなく、どうしてもより安定性のある守備走塁の方が売りになってしまう。今年はほぼ打席が与えられないまま、シーズンで1本しかヒットを打てなかった。しかしいつかくる出番のために毎日バスターの練習を欠かさず行い続け、その甲斐あって、CSファイナル3戦目ではバントの構えからバスターに切り替え、日シリ行き決定決勝タイムリーを放って見せた。こんなに素晴らしい意識の持ち主なのになんで山手線ゲームなんかやったんだ。掘り返すべき話題ではないんだが。


60 佐野 如一 23歳1年目 右投げ左打ち 右中左

10試合 打率.000(8-0)0本塁打0打点 0盗塁0盗塁死 5三振0四死球

BB/K0.00 出塁率.000長打率.000OPS.000 得点圏打率.000(2-0) 失策0

(二軍)91試合 打率.204(245-50)3本塁打20打点 5盗塁9盗塁死 62三振37四死球 BB/K0.60 出塁率.307長打率.269OPS.577 失策2


 さにょ(公式愛称)。長らく僕に「よしかず」と呼ばれていたが「ゆきかず」が正解。2020年の育成5位なのだが、春にアピールしまくって開幕前に支配下。しかしそのあとはとくにこれといった話もなく一年が終了。まあ育成5位の選手なのでここはスルーしていい。 

四球が選べてるのはポジ要素。大学時代からの武器だったのでここはさすがの一言。経歴といい大下と重なる部分が多い。率を残せないのが弱点なのは明確で、安定した長打力をつけるのも含めこっからどうしていくか。せんたーがそこそこ守れるみたいなので、この先仕事はありそう。


69 ロメロ 33歳5年目 右投げ右打ち 一右中 8月3日自由契約

20試合 打率.169(77-10)3本塁9打点 0盗塁0盗塁死 31三振3四死球

BB/K0.06 出塁率.200長打率.338OPS.538 失策0


 代理人が吹っ掛けて一度チームを去り、移籍先の楽天でも代理人が吹っ掛けて退団。帰ってきた優良助っ人、のはずだった。前半戦途中で戦列に加わるも、昨年までからは考えられないほと低調で、すぐにスタメンから外された。そのまま夏の休止期間中に「家族が来日できないことでモチベーションが上がらない」として退団。

 不振の原因はケガや衰えではないとはっきりしているので、この冬でご家族も一緒に来れる算段がたち、呼び戻せるのであれば活躍を期待したい。使い続けるとケガをする体質と代理人に目をつぶれば素晴らしい選手であることには変わりはない。しかしその場合ジョーンズとモヤのどちらかはチームを去ることになる可能性が高まる。寂しい。


99 杉本 裕太郎 30歳6年目 右投げ右打ち 右中

134試合 打率.301(478-144)32本塁打83打点 3盗塁3盗塁死 116三振61四死球

BB/K0.44 出塁率.378長打率.552OPS.931 得点圏打率.291(120-35) 失策5


 去年はシーズン頭から二軍で無双していたのに全くお呼びがかからず、西村前監督との確執も噂されていたが、夏に中嶋監督と共に一軍昇格。そこからは初めて安定した一軍試合出場機会を得て、着々と経験を積んだ。元々は怪力とフルスイングのおかげで当たりさえすれば飛ぶが、何でもかんでもマン振りするせいでボールにバットが当たらないというロマン砲だった。昨年移籍してきたジョーンズに助言を求め、「バッティング練習では、ホームランだけを狙うのではなく、例えばランナー二塁の時にどうランナーを返すのかを意識する」「長く活躍するには率を残すのも大事」「おしりをボールにぶつける感覚が大事」と様々な考えを教えられた。そこからはバットを短く持つことも始め、コンパクトに振ってヒットを放つ術を覚えていった。

 そうしていくうちに、力いっぱいに振り切らなくてもボールが飛ぶことに気づいたらしい。一軍昇格後は「とにかく安打を打つ」ことを念頭に、「コンパクトに振りながらも飛距離を出す」という、安定性と長打力の両立を目指すかのように打席に立ち続けた。結果としてホームランはぐんと減り、41試合で.268 2 17と成長は見せたものの、4年間で放った13安打のうち7本が本塁打というロマンから考えるとパッとしない成績に。ファンからはちらほらと悲しみの声が上がっていた。

 今年に入ると西武戦でのサヨナラヒットを機にブレイク。イチローのアドバイス通り追い込まれてからは冷静に安打を狙い、軽打で出塁。甘い球はコンパクトに振り切って飛ばし、クサい球はファウルで粘った。終わってみれば大学の後輩・吉田正尚よりも先に3割30本を達成し本塁打王を獲得。数年前には「2割40本の選手」と言われていただけに、本人も我々も「びっくり」だ。

 体格のあまり軽く当たっても飛ぶということに気づけたのは本当に大きい。本来なら内野フライになる打球はテキサスヒットになってしまうし、センターオーバーかと思われた打球が京セラのフェンスを越えバックスクリーンへ飛び込むこともあった。打つ気がはやりすぎて前のめりになることも減ったし、球を見極める余裕も生まれた。シーズン中は不調気に入ってからも何度も三割へ戻していたし、最終戦でも福田に「四捨五入の三割はダサい」と言われ、何とか右方向へ鋭いゴロを放ち三割を維持した。打席での構え方も変わったし、あまり確変という感じはしない。

 体格の割に守備走塁が特別悪くないというのもポイント。思ったよりかなり足は速い。クッション処理は絶望的だが、UZRは-1.9とそれほど。肩はかなりいい。身体能力のおかげで守備も出来ている柳田タイプのくせに柳田よりもかなり守備が悪いので、この先は怖い。

 一方、肘出しや会食など、問題行動も見られた。今年突然四番を背負った一軍一年半目の男なので仕方がない部分はあるが、まだ「中心選手」としての自覚が足りないように思える。肘出しも正尚がいない時期にやっており、自分が抜ければ本当にチームが崩壊するということをわかっていなかったかのようだ。優勝が近いとしてもそこまでリスクを取る場面ではなかっただろうに。




育成契約選手

128 東 晃平 21歳4年目 右投げ右打ち 投 育成契約打診

(二軍) 18登板16先発88.1DEイニング 5勝9敗1S 防御率3.97

80奪三振35与四死球奪三振率8.15K/BB2.42 被打率.282 WHIP1.48


 今年のエキシビジョンマッチで支配下あるか?と思っていたがなかった。夏のホークス戦ではストレートで勝負が出来ていたが、フライ率も高かった。巨人岡本には初球をホームランにされた。二軍戦ではスライダーでカウントを整えながらチェンジアップで勝負をつけに行く感じが多い。カーブも決まればある程度目途はつくかと思われる。

支配下こそつかみ取れなかったが割と順調で、今年も育成再契約というところで球団から期待されているのも分かる。再来年くらいのローテに入ったりしてくれないかな。


007 佐藤 優悟 24歳2年目 右投げ右打ち 右左 戦力外

(二軍)30試合 打率.241(29-7)1本塁打5打点 1盗塁1盗塁死 10三振3四死球 BB/K0.20 出塁率.313長打率.414OPS.727 失策0


 あまりにもチャンスが少なすぎやしないか。もう一年見てほしかったし、もう少し試合に出してあげてほしかった。田城や平野大和に押され気味で、両翼タイプというのもありあまり打席に立てなかった。どこかでまだプロは続けてほしい。

 仙台大の後輩宇田川・さにょの二人が入団してくれた理由である。特に宇田川は支配下でないとプロには入らないという素振りを見せていたが、先輩である彼が舞洲の環境が非常に充実していることを直接会って話し、説得したという。感謝してもしきれない。もしも良い話がなければ、何らかの形で球団に関与し続けてくれないだろうか。



016 古長 拓 27歳1年目 右投げ右打ち 二 戦力外

(二軍)11試合 打率.125(8-1)0本塁打0打点 0盗塁0盗塁死 1三振2四死球

BB/K1.00 出塁率.300長打率.250OPS.550 失策0


 謎指名、闇を感じると騒がれた去年の育成6位。謎の人脈や、特別プロに入れそうにもないアマ成績、編成部の発表など不審な点が多くいろいろと話題になっていたし、入団会見の動画はやたらと低評価が多くかわいそうだったが、蓋を開けてみれば打撃にも守備にも特別問題はなかった。体格こそわかりやすく小さかったが、打席の映像を見ても普通の育成選手だし、UZRはプラス。三軍の試合成立要員としては申し分のない働きをした。楽天の数合わせ二塁手もやったし。結局一年でチームを去ったので怪しいことには変わりないが。


125 西浦 颯大 22歳4年目 右投げ左打ち 中 引退

(二軍)1試合 一度守備位置に就く


 両側特発性大腿骨頭壊死症という難病を発症し、育成契約に。手術は成功してリハビリに励むも症状が悪化して退団を決意した。一時はティーバッティングも出来ていただけに復帰を信じていたのだが、現実は残酷だった。今でも杖をついて姿を現すことが多く、スーパープレイを連発していたころの面影はない。

 広大な守備範囲、強肩でチームを救うプレイを見せる一方、打撃は伸び悩み、駿太二号にならないように育てていかねばとファンからは将来のセンターレギュラーとして期待をかける声が多かった。本人も「引退」という言葉を使っていたので、僕も引退と書かせていただいたが、「プロ野球選手じゃなくなっても僕の将来の夢はずっとプロ野球選手です」という言葉を額面通りに受け止めている。夢をかなえて、再びグラウンドに立ってほしい。また選手としてチームに帰ってきてほしい。そう思う。

 今年一年はリハビリの傍らTwitterをはじめとして活発にファンと交流し、試合の実況や荒野行動配信などいろいろと楽しませてくれた。広報とか・・・どうですか・・・?

 

あとがき

 話が出たのでちょうどいい。広報の方々にも感謝の意を伝えたい。BPB特典映像の無料公開や、オンライン公開練習、春季キャンプインスタライブ、「裏側」シリーズなど、あの手この手で我々を楽しませてくれた。打ち出された様々な企画はノリのいい若者と美形が多いオリックスとも相性が良く、他の球団ファンからも「オリックスの選手気になる、推せる」「あの雰囲気が好き」「BPB入った」という声が聞こえてきた。優勝シーズンで知名度上げのチャンスでもあるので、これからもさらなる活躍を期待したい。

 そして日刊スポーツの真柴健記者。優勝時のオリックス特集連発は勿論だが、シーズン中もかゆいところに手が届くインタビュー記事や、試合中インタビュー、紅白戦速報ツイートなど、シーズンの盛り上げ役として奔走してくださった。僕らの位置からは見えない紅白戦やベンチでの選手たちの様子がありのままで伝わってきたし、毎日のように発表されていた記事はどれも良質で、我々ファンが本当に知りたいところを抑えてくれていた。来年もよろしくお願いします。



以上です。これからは140文字で納めるのが面倒な適当文章を投稿していこうと思います。主に競馬の予想になると思います。

さいばし(Twitter:@saibasi246)

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