アロマクエスト|(17)|使命-1
旅の準備は、予定よりも早く終わった。
出発の朝を迎え、カオルはやや緊張した面持ちで船に乗り込む。
見送りに来ていた村長たちが、声をかけた。
「気をつけるのじゃぞ。」
「元気でな。」
「辛くなったら、いつでも戻っておいで。」
「ありがとう。じゃあ、いってきます!」
カオルは、手を振りながら答えた。
船は、ゆっくりと島から離れていく。
カオルが乗った船を、見えなくなるまで見送った村長たちは、心配そうな表情で語り合う。
「とうとう、この日が来てしまったな。」村長は言う。
「思ったより、早かったのでは? まだ修行もできていないのに…。」そばにいた男は、かぶりを振った。
「村長、カオルは大丈夫でしょうか?」女は遠くを見つめて呟いた。
「心配は無用じゃ。あの子は強くなる。」村長は、うなずきながら答える。
「なにせ、あの男の息子だからのう。」
(つづく)
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