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人生リハーサル

いつからだろう、、、
なにかに、動かされている感覚を憶えたのは。

そう感じ始めて、それが確信に変わるまでに、そう時間はかからなかった。


大好きだった、ばあちゃんがこの世を去った。


通夜。
団塊の世代では珍しく一人っ子だった母が呟いた。

「生みたかった、、、3人目」と。


それ以上、聞けなかった。
ただ、走馬灯のようにフラッシュバックした。

数日後。
ばあちゃんの遺品整理をしていて、ノートを見つけた。
日記のようなものだった。
それは、数日前まで記されていたが、最期の方はもう何が書いてあるのかわからない。
とりあえず、昨日まで起こった全てを付け加えた。
押入れの奥には過去のノートと、まだ白紙のノートが大量に積まれていた。
その一冊を取り出し何気なく筆を走らせる。


「ばあちゃんに、逢いたい」と。


気付いたらどこだかわからない真っ白な空間にいた。
周りでは白い服を着た子供たちが蠢いている。
真ん中に一人だけ大人が鎮座している。
後ろ姿は、ばあちゃんのようだけど顔が見えない。
声をかけようとした瞬間、一人の子どもが一冊のノートを手渡す。
また、声をかけようとした瞬間、その子どもは何も告げずに行ってしまう。


その日を境に「ライフライター」という肩書を手に入れた。


簡単に言えば、赤の他人の人生を描く仕事。
日記も書いたことない。
文字書くのも面倒くさい。
本とか読まない。
ましてや、他人の人生に興味などない。

暇つぶし。


ドラマ『人生リハーサル』撮影現場。
リハと本番が繰り返される人生の物語。

出産シーンの撮影が行われている。
「本テス! ヨーイ、ハイ!」


若かりし頃の母とシンクロする。


太平洋。
リハーサル諸島沖。
海に浮かぶ船。


ここで、ライフライターとして「人生リハーサル」のノートを記している。


言葉も文字も通じない。
時間、曜日、月日、年月。
月、火、水、木、金、土、日。
人が勝手にそう呼んでいる。


また、日が昇り、日が沈む。
生きるために食し、食すために生きる。
ただ、その繰り返し。


「リハーサルのある人生のほうが人より幸せになれる」?


答えは、わからない。
いや、無いのかもしれない。


ただ、言えるのは、昔っからテストが嫌いだったということ。
だから、同じ出来事を2回連続でわざわざ演じるのは真っ平ごめん。


本番で悪いことが全く起こらないとは限らない。
だって、ライフライターは、悪戯が大好物だから。


ノートを破り捨て、甲板から海へ飛び込む。

#テレ東ドラマシナリオ

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