ノルウェイの森の映画を観た。
わたしは淋しい人が好きだったことを、思い出した。
淋しさは共鳴する。
数年前に小説を読んだ時は、今よりもう少し幼かった。言葉にし難い黒々とした気持ちを淋しいと呼んで、誰かにその感情を打ち明けることを求めていた。
心のどこかで、自分は一人だと思いながら、淋しさを共有できる気がする人間をそばに置いて、それを恋だと思い込む時間の中にいた。
ノルウェイの森は、そんな気持ちの中で読むとあまりにも腑に落ちして世界に入り込むように上下巻を一気に読んだ。
その頃の時間を思い出すのはとても空虚な気持ちになる。
共鳴し、共有した先にあるのはいっときの安心で、それ以上のものは何も残らないのに。
わたしは恋愛が苦手だ。それは、麻薬のような安心感を手に入れてしまうことが怖いから。
本来1人であるはずの自分がその先にもいることに目を向けず、安易な安心感に身を委ね続けるとそこでわたしの歩みは止まる。
そんな恋愛は、もうしたくないし、淋しさで引き合う人間同士はとても空っぽだ。
そんなことを思い出した。
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