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ひとでなし

参考にしている本好きの人のInstagramで知った。タイトルも著者も初めて知った本。
図書館の予約で受け取った時に最初に思ったことは「分厚い…」。久しぶりの長編小説。

主人公が小学5年生から始まり中年になるまでを描いているのだけど、初まりの小学生時代から中学生時代が一番良かったかな。
小学校時代の恩師セミ先生から教わり書き始めた架空日記が、思春期の彼の精神世界では現実を凌駕するほどに膨れ上がっていく様が秀逸だった。
オモテの自分を支えるはずだったウラの自分が、オモテの自分を乗っ取っていく。
抑え切れない精神世界、パラレルに世界が進むことで、多感な思春期が鮮やかに描かれていた。

大学以降は、なんとなく同じような展開を辿って読んでいて中弛みしてしまった。
セミ先生とのやりとりや、思春期のアイデンティティへの戸惑い、もう少しそこにフォーカスしてもらった方が、私は好みだったかも。

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