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希望のつくり方
#教授の本棚 2冊目
いきなり難しい本に入る勇気がなくて、経済学の先生が書いた新書なら読みやすいかなと思って2冊目に選んだ。タイトルには特に惹かれていない。私は夢とか希望とかいう単語があまり好きではない。なぜ子どもに関わる人たちは夢や希望を持つことを当たり前に良いことのように扱うのだろう。それは良い人生の道標なのだろうか?
そもそも良い人生ってなんだ?他人に他人の良い人生なんて決められるのか?
そんな歪んだ気持ちで読み始めたのだから、前半の希望の概念整理や、子どもたちを対象としたアンケートにはあまり集中できなかった。
後半はこの著者のメッセージが散りばめられていて、読んでよかったなと思った。
われわれの積極的活動の大部分は、道徳的なものであれ、快楽的なものであれ、あるいは経済的なものであれ、数学的期待値のごときに依存するよりは、むしろおのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定性がある。何日も経たなければ結果が出ないことでも積極的になそうとする、その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマル・スピリット)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであつて、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるのではない。
わからないもの、どっちつかずのものを、理解不能として安易に切り捨てたりしない。自分が理解できることだけに、こだわりすぎたりしない。それが希望という物語を、自分の手で紡いでいくための知恵なのです。
一人ひとりの持っている本当の希望は、心の奥底に潜んでいることも多く、すぐには言葉になって表れてきません。実態がわかりにくいこともあって、もう希望はないのだと決めつけられたりしがちです。そんな決めつけを避けながら、一人ひとりの希望をひろい上げ、言葉にしていくことが求められているのです。
「結局、希望には遊びが一番大事だと思うんです」
「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。ちゃんとウロウロしていれば、だいたい大丈夫。」
子どもたちと、大きな壁の前でちゃんとウロウロできる大人でありたい。