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早朝始発の殺風景
中学生の娘は語学が好きで、まとまった視覚情報に集中することも、語彙を増やすことも得意だろうと思う。それならばヨシ、いうことは全くなくて、わざわざ冷蔵庫に取りに行くくらいならプリンも食べないくらい、彼女は横着だ。
そんなわけで、私の読書は時々、中学生が読んだら何が面白いんだろうという感覚でのチョイスになる。名作が良いんだろうけど、その一冊に特効薬の期待を込めすぎるのも怖いし、それこそプリンくらいの感覚で良いと思っている。プラシーボでも良いのだ。
なので、ネットで誰かの推薦から懸命にチョイスしたりはせず、
①主人公が中高生
②現代文(ライトノベルではない)
③なんとなく、爽やかでカラッとしている
の条件付きで、本屋で眺めて選び、自分も読んでみる。
そんなわけで出会ったのがこの本。
これは別の理由なのだが、最近ドラマ化されて、その主人公が私が今推す奥平大兼だったから、というのも瞬殺で決めた理由だった。
母親の不純な動機とは裏腹に、かなり良かった。
短編で読みやすいが、先の展開がどんどん変わるところ、思春期独特の密室な息苦しさ、よく描かれていた。当たりなのでオススメポイントをLINE入れて、娘の部屋に転がしておこうと思えた。
最後の解説を読んだら、大学の文芸論の授業で、幅広いジャンルからの50近い書物を扱う中でもいつもベスト3に入る作品だとのこと。
本好きな大学生の感覚に合ってたのが嬉しかった。ムスメの反応を楽しみに待とう。