i アイ
年末年始は久しぶりに体調を崩し、症状も回復も明らかに若い頃のそれとは異なっていて、否応なしに40代を感じざるを得ない年初めだった。
年末年始に読みたいと思っていた本にもあまり手をつけられなかった。自分が抱える現実を弁えて過ごそうと思う。
西加奈子さんは同世代。初めて作品に触れた。
主人公のアイが世界で起きる時事に繊細に心を動かすさまに、漲るエネルギーを感じた。
アイがシリアで生まれたとか、アメリカ人の父と日本人の母が迎えた里子だとか、血の繋がりを願った我が子を流産するとか、解説や感想書き込みを読むと、どうやら主題はアイのアイデンティティを巡る話のようだ。
これについては、アイの生まれ育った境遇よりはむしろ、子ども時代を子どもらしくいられなかったことが彼女の苦悩に繋がったように思えた。
世界で苦しむ子、経済的に豊かでない子に比べたら自分は幸せなんだ。そんなこと、学童期の子どもが感じ感謝する必要はあるのか?アイの過剰適応になりやすい繊細さを感じ取り、子どもらしく感じ考えられる環境に寄り添えなかったものか。
ダイバーシティな環境は、取り違えるとこうした脆さをはらむのではないかと思えた。
小説は楽しいな。noteの記録を始めて良かった。
今年もマイペースに本を読んでいこう。