夫の2度目の化学治療
夫は、年末はのんびりと家で過ごして、年明けから化学療法を受けることになった。
それまで1ヶ月半。長かった。
私の精神状態は、どんどん悪くなった。
町で仲の良い夫婦を見かけると、自然に涙が出てきた。
居ても立ってもいられなかったので、ミシンを出してきては、いろんなものを縫っていた。
病室のベッドサイドの収納ケース(書類やボールペンを入れるマガジンラック)を作ったり、
ベッドにかけられるティシュボックスのカバーなど、
本当はいらないけど、あったら便利そうなものを作って、
気持ちを紛らすしかなかった。
年が明けて2016年。
放射線治療と抗がん剤治療が、同時に始まる。
前回と同じく、夫は治療が始まると、何も食べない。
さすがに医師もお手上げ状態になり、
奥さんの手料理でも
外で買ってきた食べ物でも
病院のレストランに行ってもいいから、何か食べて欲しいと言ってくれたが、
「病院の中で食べるのがイヤだ」と言って、頑なに拒絶した。
辰巳芳子さんのレシピで、手間も暇もかけたスープを作り、病院に持って行っても
気持ち悪いと言って、口もきかない夫。
昭和に建てられた古い病棟。
毎日面会に行くのが、憂鬱だった。
それで、バスの中では音楽を聴き、
夫の為ではなく、私の為に小さなお花とコーヒーを買って、病室に向かうことにした。
古い個室だったが、
私が毎日買って行くお花でいっぱいになった。(笑)
「コーヒーの匂いが気持ち悪い」と夫は言っていたが、
私の精神状態を保つためなので、毎日買って病室で飲んでいた。(古い病棟は面談室が狭いし、暗い)
こうして1ヶ月が過ぎ、突然看護師から連絡が来た。
「すぐ来てください」と。
つづく