弟の最期
弟が入院した時、
医師は「苦しまないようにしますね」と言ってくれた。
血液検査では、今すぐに死んでもおかしくない状態だった。
しかし、弟は20日間も持ち堪えて、52歳の誕生日を私の友人たちに祝ってもらった。
私が面会に行く時は、自分のために必ずポットにフレーバーコーヒーを詰めた。
ライオンコーヒーの
マカダミアナッツ味とか
ココナッツ味とか
チョコレート味とか。
普段はそういったコーヒーは飲まないが、病院で飲むには適していると思った。
紙コップも用意して、面会に来てくれた人にも振る舞うと
すごく喜んでくれた。
不思議だけど、味はともかくとして、気分が明るくなる。
2019年9月21日。弟が息を引き取ったのは、父とふたりで居る時だった。
ずっと父とふたりで暮らしていたし、
父の面倒も見る気満々だった弟。
だから、最後は父と一緒が良かったんだろうな。
つづく