夫の退院
夫は仕事が好きだった。手術のために2週間くらい休むつもりが、
すでに、2ヶ月半も休職していた。
「有給がなくなっちゃう」と心配していた。
夫は職場に恵まれて、入院中もお給料は出ていたし、本当にありがたかった。
夫は心苦しかったのだと思う。
「一刻も早く会社に行きたい」
「ここにいたら、食事も食べたくないし、早く家に帰りたい」と言って
医師や看護師に退院を急かしていた。
担当の看護師は、夫のためにお守りを買ってきてくれるような人だった。
だから、心配だったのだろう。心許ない顔をしていたが、
退院当日は、夫を見送ってくれた。
退院後、夫は好きなものを自分で買って食べていた。
アイスキャンディーを買ったり、大好きなラーメンを買っきて、食べたりしていたら、食欲が戻ってきた。
ただ、食事後は、胃がなくなってしまったせいで、少ししか食べられないし、調子が悪そうだった。
逆流を防ぐために、枕の下に座布団を入れて、頭を高く持ち上げて寝ないといけなくなった。
大変そうだったのは、糖尿病のインシュリンの注射をしなければならなくなったこと。
退院しても、安堵感はなかった。
つづく