マニフェストを読むと、漢字を開く技術(ひらがなにすること)の多用が正直嫌味に感じられるんだよ。―2020年京都市長選挙
(何か気がつくことがあれば備忘録として追記していく)
・1月26日(日)期日前投票済ませました♪
・2月2日(日) 投開票の結果、門川氏の再選。
京都市長選挙 選挙結果(京都市情報館)
2020年1月19日(日)告示、2020年2月2日(日)投開票となる京都市長選挙が始まった。今回の候補者3名からひとりだけを選ぶのは正直難しい、人を選ぶ上で、人相、声質、振る舞いという要素も大事だと考えているが、政治に関わる人なので、政策というか考え方や将来性を第一にしたい。実行力は組織力もかなり影響するであろうが、個人の手腕に一票投じる予定。
今のところ、多選の門川氏は排除して、福山氏と村山氏のどちらかが残り、福山氏の背景にある共産党の考え方には賛同できないので、村山氏に心が動いているところです。そういう状況ですが、ちょっと整理をしておきます。
2020年(令和2年)京都市長選挙 立候補者3名(届出順)
・門川大作(かどかわ だいさく)
・村山祥栄(むらやま しょうえい)
・福山和人(ふくやま かずと)
京都は古くから共産党が強い自治体と言われている。共産党と言えば「革新」という表現を用いられ、既存政権や既存の枠組みへの対局に位置する。二項対立で考えると共産党の存在は理解できるが、アメリカの二大政党のような構造をイメージするのは違う。
国にしても地方自治体にしても、議会があっての首長であるから所属党派を無所属と言っても各政党のパワーバランスが大きく影響する。特に選挙において投票率が下がれば下がるほど、推薦や支持などの党派の協力=投票結果であると容易に想像しまう。結果、政治に関心のある人だけが政治に関わる仕組みに陥ってしまう。マスメディアにおける情報配信(ワイドショーなどのゴシップ、スキャンダルはいらないけど)だけでなく、教育(学び)を通して政治への関心を自分ごとにしていくことも、豊かな暮らしを過ごす礎であろう。
何を基準に投票に行くのか
マニフェストは選挙公約として基本方針などを文書化したものであって、市長となれば、すべて実現できるのかというとそれは違う。市長としての言動は影響力もあるが、議会をいかにコントロールするのかそういう裁量も意識しておきたい。ざくっと言うと、PDCAの「Plan(計画)=マニフェスト」と認識しても誤解はないだろう。候補者の思いや言葉を紙面化するには企画やデザインという作業が介入しており、その作業の多くは候補者を協力する組織(後援会など)が行っていると思うと、その力量差が有権者に如何に響いているのかと仕事柄考えてしまう。
有権者へのリーチはさまざまな媒体があって、有権者の年齢層や生活環境によって有効な媒体も異なる。ここ10年の間にインターネットを用いた手段が普及しているが、広報という側面から判断すると継続的な活動がここに来て差を広げている。
SNSはソーシャルメディアであって、選挙など市民の動向を読み取るにはひとつの指針になるかと思うが、手段は使い方でいかようにもなるということから平等な材料としては言い切れないのが現実であろう。インターネットはあくまでも一面に過ぎないと思っていても、認知広告と同じ効果があると考えると福山氏の圧倒的優位が伺える( 参照:ハッシュタグ京都市長選挙 )。
運用開始がもっとも古いのが福山氏で2017年、共産党という組織力が後押ししているのであろう、フォロワー数は15,000を超える。次いで村山氏が2018年であるが、このフォロワー数は告示日前後から伸び始めている印象である。門川氏はそのアカウント名の通り今回の選挙用のアカウントである当人は管理していないと推測できる。
<参考>
各候補者のTwitter利用状況
門川大作(かどかわ だいさく)
https://twitter.com/miraikyoto2020
・2019年12月利用開始
・2020年1月21日10:00 238 フォロー/486 フォロワー
・2020年1月26日16:00 275 フォロー/668 フォロワー
村山祥栄(むらやま しょうえい)
https://twitter.com/sho9722483
・2018年8月利用開始
・2020年1月21日10:00 852 フォロー/1,052 フォロワー
・2020年1月26日16:00 1,001 フォロー/1,427 フォロワー
福山和人(ふくやま かずと)
https://twitter.com/kaz_fukuyama
・2017年10月利用開始
・2020年1月21日10:00 3,502 フォロー/15.8K フォロワー
・2020年1月26日16:00 3,501 フォロー/17.2K フォロワー
Facebookでのひと幕
村山氏と福山氏はFacebookで積極的に議論を交わされており、とても興味深い。当然ながら平行線なのだがソーシャルメディア(Twitter)で優位性のある福山氏に対して村山氏は戦略的に絡んでいる。その際、ホームとアウェイの構造があって、福山氏のページには村山氏はコメントは残さず、村山氏のページにのみ福山氏のコメントが残す戦術を用いている(ように見える)。おそらく意図してやっているのだろう(SNSの常套手段であろうな♪)。
京都市会の第83代京都市会議長を務めておられた寺田一博氏のコメントに村山氏がリアクションしていたのは、生の声が感じられた良い機会であった。
村山氏と福山氏のリニアと給食にまつわる議論、リニアと給食の話をごっちゃに話すのは論点のすり替えという技法じゃないだろうか。
村山市と福山氏の京都市の公共事業のひとつ「新たな環状線構想の財源」について。
公開討論会
2020年1月14日京都青年会議所による公開討論会は、告示日前ということか候補者は5名おられる。撮影環境は良いとは言い切れないけれど、YouTubeに上げられている。尚、2020年1月16日KBS京都にて放送があったが。その日は今回の3名であった。話し口や表情から判断すると、門川氏はすでに老いが印象に残る。福山氏と村山氏の討論はもっと聞き込みたいと思った。
門川氏は4選目、当然、過去の実績が判断基準になるため、特に今期(この4年間)での実績がベースになる。正直なところ過去3期で達成できなかったことが4期目でできるとは当然思えない(ダイエット宣言みたいなもんでしょう)。選挙用のサイトをみてみると、候補者への対抗コンテンツが掲載されており、その対象は村山氏であると推測できるのだが、それほど村山氏が脅威なのか今のところ実感が沸かない。
門川氏や福山氏のサイトやマニフェストなどから判断すると、潤沢な資金が充てがわれている印象が強く、有権者の一人、その一票の獲得のための施策であろうか、非常に多くの言葉が綴られている。その文章も漢字を開くこと(ひらがな)の多用が正直嫌味に感じられる。読みやすいというのは文章をまとめる上での確かな技術力として効果もあると推測できるが、その効果が実際の投票にどう繋がるかとても興味深い。
一方、村山氏のサイトやマニフェストは手弁当で取り組んでいる様子が手に取るように分かる。文章の多くも本人の言葉をスタッフがレイアウトした程度に留められているのであろう、媒体も質素で本人の意思がもっとも反映されている印象があるが、これが有権者にしっかり届くには、アプローチの手順として、もう数段階もしくは他の施策もないと、対抗候補の背景にある固い組織票を取り崩すのは難しいのではないだろうか。
京都市長選挙公報
NHK選挙WEB
動画にて各候補者を比較できるようにまとめられている。とてもわかりやすいです。
◇第一声(1月19日放送)
◇構図解説(1月20日放送)
◇候補者に聞く
・景気・経済・財政(1月21日放送)
・観光・文化(1月22日放送)
・医療・福祉(1月23日放送)
・教育・子育て(1月24日放送)
◇データで見る京都市の課題
・安全と安心(1月14日放送)
・観光と文化(1月15日放送)
・経済とくらし(1月16日放送)
・財政(1月17日放送)
門川陣営(未来京都の会)の新聞広告(1月26日)
大切な京都に共産党の市長は「NO」というコピーを冠し、京都新聞に大きな広告を打ち出した。名指しはされていないが、対抗候補である福山氏は共産党から推薦を受けおり、有権者に対して過去の京都市長選挙の構図である「共産×非共産」の潜在意識への投げかけであるのは容易に掴める。ネガティブキャンペーンは海外では定石としてよく見かける手法であるが、京都市の長として品格を問うと非常に残念な戦略だと感じる。
・同件の追記(1月28日)
新聞紙面で推薦者として名を連ねて掲載されていた方から、「許可なく無断で掲載された。」というメッセージが公開されている。これは看過できない状況になってきている。
同じ頃、門川陣営の公式サイト(未来京都の会)の応援メッセージページが準備中となっていた。慌てていることが顕になっている。
千住博さんのサイト 1月27日
小山薫堂さん(N35 inc.)のFacebookページ 1月28日
読売新聞社による情勢調査(1月26日)
ネットの雰囲気と電話調査の違いというよりも、推薦枠の組織力がそのまま反映されていると感じる。想定内だろう。
読売新聞社は2月2日投開票の京都市長選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。公明党と、自民、立憲民主、国民民主、社民の各党京都府連が推薦する現職の門川大作氏(69)が先行し、共産党とれいわ新選組が推薦する弁護士の福山和人氏(58)、地域政党・京都党前代表で前市議の村山祥栄氏(41)の2新人が追う展開となっている。有権者の2割弱は態度を明らかにしておらず、情勢は変わる可能性がある。
門川氏は自民支持層の8割強、公明支持層の9割強を固めた。福山氏は共産支持層の8割強を押さえ、立民支持層の3割弱にも浸透している。村山氏は日本維新の会支持層の4割強の支持を得ている。調査は1月24~26日、京都市を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で実施。有権者在住が判明した1271世帯の中から762人の回答を得た。回答率60%。
( https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20200126-OYT1T50170/ )
以下、マニフェストから主要な言葉を書き出しておいた。村山氏と門川氏の言葉って、うまくまとまり過ぎて薄っぺらい印象があるわ。(レジリエント・シティって誰に向かって言うてるの〜♪)
門川大作(かどかわ だいさく)
69歳
無所属(自由民主党推薦・公明党推薦・国民民主党推薦・立憲民主党推薦・社会民主党京都府連推薦)・京都市長(現職)
<マニフェスト>(全文はこちら)
かどかわ大作 次の京都へ、挑戦と改革。
市民のみなさまとの141のお約束
〜確かな実行力!「くらしに安心、まちに活力、みらいに責任」〜
1)人生100年時代の「安心」を創る!
SDCsの理念、保険医療・福祉・介護、子育て支援・教育
2)「いのち」守る、防災減災先進のまちを創る!
レジリエント・シティ、緑豊かで地球環境負担が少ない、災害に強いまち・ひと
3)力強い「経済」と都市の「活力」を創る!
文化・学術、大学の集積、力強い経済と都市の活性化、市民の豊かさ
4)文化のチカラで、くらしとこころの「豊かさ」を創る!
文化の継承・発展、新たな価値想像、世界の文化首都
5)まちづくりを支える「持続可能な財政」を創る!
参加と協働、府市協調・国や近隣自治体との連携、持続可能な財政の確立
村山祥栄(むらやま しょうえい)
41歳
無所属・元京都市議
<マニフェスト>(全文はこちら)
村山祥栄マニフェスト2020
京都の新しい選択
「財政悪いのは過去の経緯があるからなー」
「人口減る?そういう流れやしな。」
「リニア?京都を都?無理やろ。」
「地下掘る?無理無理、できひんて」
「芸大移転?もう決まった事やろ?」
「市長選挙?相乗りやないと革新市政になるんやろ」
...でも、あきらめたら終わりと違いますやろか?
だから、京都をあきらめない!
1)納得の行政
行政運営の不正・不条理・不公平の是正
2)財政再建
人件費の見直し、事業の整理、交通局の民営化
3)人口増加
交通混雑緩和、中心市街地の住宅・オフィス確保
4)未来を想像
児童虐待ゼロ、貧困撲滅、子育て支援
5)京都の復権
リニア誘致、文化首都の制定、皇族の京都移転
福山和人(ふくやま かずと)
58歳
無所属(日本共産党推薦・れいわ新選組推薦)・弁護士・元京都弁護士会副会長
<マニフェスト>(全文はこちら)
夢、なりわい、まち、ひと、未来をつなぐ
市長のやる気でやれることめっちゃあります
わたしたちがつくるワクワク京都
市民のくらし丸ごと応援。
1)夢をつなぐ 〜市民のくらし丸ごと応援
だいじょうぶ!子育て
のびのび教育
若者をがっつり応援
いのち・くらしにより添う
2)なりわいをつなぐ 〜まっとうに儲かる京都へ
働く人、地域の企業、地域住民がウィンウィンウィンで税収もアップ
地元密着型の公共事業を積極的にすすめる
時給1500円へ、働く人を守る
地元にお金をグルグルと回す
農地と森を生かし、食の安全・安心を保障する
3)まちをつなぐ 〜京都が京都であり続けるために
まちを守り市民がうるおう良質な観光
京都の大切な歴史・文化・街並みをしっかり守ろう
公共交通を軸にしたまちづくり
文化とスポーツが花ひらくまちづくり
4)未来へつなぐ 〜原発ゼロ、防災、気候危機対策、平和と多様性
京都から原発ゼロをめざす
再生可能エネルギーを普及し気候危機に立ち向かう
5)ひとをつなぐ 〜地域のことは地域で決める
災害にたくましく備える
平和がいちばん
誰もが大切にされる京都へ
<参考> 過去の京都市長選挙(門川大作3選)
2016年 (投票率:35.68%)
門川大作(65)254,545票 63.80%(得票率) 推薦:自民、民主、公明
本田久美子(66)129,119票 32.36%(得票率)推薦:共産
三上隆(85)15,334票 3.84%
2012年(投票率:36.77%)
門川大作(61)221,765票 53.86%(得票率) 推薦:自民、民主、公明、みんな、社民府連
中村和雄(57)189,971票 46.14%(得票率) 推薦:共産
2008年(投票率:37.82%)
門川大作(57)158,472票 37.25%(得票率) 支持:自民、公明、民主府連、社民府連
中村和雄(53)157,521票 37.02%(得票率) 推薦:共産
村山祥栄(30)84,750票 19.92%(得票率)
岡田登史彦(61)24,702票 5.81%(得票率)
Wikipedia 京都市長
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