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<編集後記> アガベスピリッツの歴史(ル・プチメック コラム)

ル・プチメックさんのコラムが終了してリンクが切れたので加筆してます。

…今月も無事投稿できたコラム掲載。言い訳のような感じで編集後記を綴ってみる。

冒頭の画像で使っているのはメキシコ南部・オアハカ州にて作られる PIERDE ALMAS(ピエルデ・アルマス)と呼ばれるメスカル。昨年、日本人で初めてのテキレロ(テキーラ職人)となった景田哲夫氏を招いて行われたセミナーにてテイスティングしたボトルたちです♪ 

メスカルやテキーラの材料であるアガベがはっきりして牧歌的な味わいが口に広がった気がする。ピエルデ・アルマスはオーガニックアガベ100%ということでした。(ピエルデ・アルマスはアルコール度数も高めなので、誤解を恐れずに表現すると同じく蒸留酒である辛口の焼酎のような感じだろう)

そう言えば、今から23年前、そんなオアハカ州に少しの時間滞在したことがあった。メキシコシティからパンアメリカンハイウェイという幹線道路を通ってグアテマラに向かう高速バスの旅だ。(詳しくは「1996年、グアテマラの夜。」をご覧ください)


代表的な蒸留酒(スピリッツ)

・ブランデー『果実(ぶどう、りんご)』(オルホ、コニャック)
・ウイスキー『穀物(大麦・ライ麦・とうもろこし)』(バーボン、スコッチ)
・ジン『穀物(大麦・じゃがいも・ライ麦)』
・ウォッカ『穀物(大麦・じゃがいも・ライ麦)』
・ラム『サトウキビ』
・テキーラ『アガベ(リュウゼツラン)』

日本酒、ビール、ワインなどの醸造酒であっても、材料に含まれる糖質を発酵させることでアルコール生成が行われており、ウイスキーなど穀物類は材料に糖質が少ないため糖化という工程を挟むこともある。(日本酒もお米だから同じだろうか)

アガベ(竜舌蘭/リュウゼツラン/マゲイ Maguey )には「イヌリン」と呼ばれる炭水化物が含まれている。炭水化物は糖質であって、アガベスピリッツはイヌリンが発酵してアルコールを作っているってことでいいかな?


原産地呼称制度の取得年度と定められたアガベ一覧

TEQUILA(1974年)
・アガベ:
Agave tequilana weber variedad azul
(「azul」は青の意味なので、ブルーアガベとも呼ばれている)
・地域:
ハリスコ州、グアナファト州、タマウリパス州、ミチョアカン州、ナヤリ州

MEZCAL(1994年)
・アガベ:
Agave angustifolia(espadín)
Agave esperrima(cenizo)
Agave weberi(mezcalero)
Agave potatorum(mezcalero)
Agave salmiana(verde)
など(50種ほど!)
・地域:
オアハカ州、ゲレロ州、プエブラ州、ミチョアカン州、グアナファト州、サンルイスポトシ州、タマウリパス州、サカテカス州、ドゥランゴ州

BACANORA(2002年)
・アガベ:
Agave angustifolia
・地域:
ソノラ州


補足:SOTOL(ソトル)

SOTOL(ソトル)はチワワ州などで作られている蒸留酒。2000年に原産地呼称の登録が済んでおり、人によってはソトルもアガベスピリッツとして分類して紹介されることもあるけれど、材料表記にはAgave(アガベ)と明記されておらず、Dasylirion(ダシリリオン)と表記されている

ダシリリオンとは何か、、、

植物の分類体系を紐解いてみると、アガベとダシリリオンは同じ親元(キジカクシ目キジカクシ科)から枝分かれしている。キジカクシ(クサスギカズラも同義)を学名にするとAsparagales(アスパラガス)となって、急に身近な植物になってくるんだけれど、、そして、亜科の分岐でアガベはリュウゼツラン亜科となり、ダシリリオンはスズラン亜科となる。

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私見:Dasylirion(ダシリリオン)をアガベスピリッツって分類すると、ちょっとむず痒いけど、親が同じなら家族だ♪

参考までに、Wikipedia(2019年4月)に記載されている情報を引用しておく。1998年に公表された被子植物の新しい分類体系「APG」に基づき、それ以前の情報だとキジカクシ科は独立していないため、その多くはユリ目(/ユリ科)に含まれていたとされる。

Agave(アガベ)
・植物界 Kingdom: Plantae
・被子植物 angiosperms Clade: Angiosperms
・単子葉類 monocots Clade: Monocots
・目 : キジカクシ目 Order: Asparagales
・科 : キジカクシ科 Family: Asparagaceae
・亜科 : リュウゼツラン亜科 Subfamily: Agavoideae
・属 : リュウゼツラン属 Genus: Agave

― Agave tequilana weber variedad azul


Dasylirion(ダシリリオン)
・植物界  Kingdom: Plantae 
・被子植物  Clade: Angiosperms
・単子葉類  Clade: Monocots
・目 : キジカクシ目  Order: Asparagales
・科 : キジカクシ科  Family: Asparagaceae
・亜科 : スズラン亜科 Subfamily: Nolinoideae
・属 : ダシリリオン属 Genus: Dasylirion


世界でのアガベ生産

日本でもアガベは観葉植物として流通していますが、当然、その多くはメキシコにて栽培され蒸留酒などの主産業の原材料となっています。メキシコ以外だと、アメリカ南部からカリブ海の島々を含む北ベネズエラとコロンビアまで存在しています。

南アフリカ共和国の南部からナミビアに広がる半砂漠気候の地域「カルー」では、雇用を創出し、貧困問題を解決するためにアガベが導入されました。そして、甘味料としてアガベシロップ、手工芸の材料だけでなく、薬効成分を抽出して軟膏など様々な加工品となってその地域の産業の一翼を担っているようです。(痩せた土地だからでしょうか、南アフリカはワイン生産も盛んですね)

アフリカで作られるアガベスピリッツは、新興産業として発展したものの、1994年に「メスカル」が原産地呼称制度を国際的にも影響のあるルールとして確立したため、今でも小規模ながら生産されているようですが、メスカルやテキーラとして流通することはありません。(テキーラの原産地呼称制度1974年。当時、国際的な影響力は弱かったのかと推測できます♪)


アガベ産業をまとめた動画

This majestic plant would became the most valued and exploited in the Mexican highlands.

(全編スペイン語ですが、英語字幕もあるので、なんとか読めるか♪)


ル・プチメックとは、1998年に創業された京都でも指折りのパン屋さんなんだけれど、京都に限らず全国にそのファンを持つとてもユニークなパン屋さんだと思ってる。店舗は東京にもあるし、レフェクトワールという名前でレストラン業態も運営されている。

#編集後記 #言い訳 #コラム #メキシコ #テキーラ #メスカル #歴史

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