桜、咲く。
庭の山桜が咲きだした。
10年前のあの日も桜が咲いていた。
でも、それは河津桜で庭の山桜じゃなかった。
10年の月日は桜の開花を半月ほど早くした。
地球が丸ごと温かくなっているんだね。
風が流れる音
ウグイスやカエルの鳴き声
竹藪の竹の葉が擦れあう音も聞こえる
10年前より自然の生きている音が体に染み入る。
家業のホテルが津波から復興した姿を見届けて父が逝き、目に入れても痛くない一番下の孫の大学進学を喜んだ母も逝き、大好きだった友人までも逝ってしまったこの10年。
ごはんを食べながら自分の意志とは関係なく涙が流れたり、眠りながら泣き続けていたと、あとになって夫から聞いて自分でもびっくりしたけど。そういう日々のカケラは、いまでは自分の奥にある格納庫にちゃんと収めることができた10年だったように思う。
ずいぶん年を重ねたけれど。
今でもできることより、できないことばかりだけど。
それでも、これからもできることをできる限り。
自分の心の中の空模様くらい、自分で作ることができるから。
いつも
こころに
青空を。
この10年に、ありがとう。
また、これからの日々も、キモチぴょんぴょん跳ねていこう。