星屑
(日本語話者ではないので間違っている表現だらけと思う)
眠れなかったので、服を着換えて城の外へ出た。そして城門のすぐ近くに輝はいる。遠い空を見て何を考えるのかわからない。彼は風のない優しい夜にただ静かに立っている。その表情もひどく安らぎ。
そんな輝を見たことはない。
とは言え、出会ったばかりの祈歌には口を出すことはない。
「やあ、君は眠れないのかい」声かけるべきか悩んでいる最中、輝の方から声をかけた。
「うん、そうかも」そして一歩を踏み出し、輝と並ぶ。
「心配ごと?ここに来て三週間も経ってないからな。俺でよければ、相談に乗って構わないぞ?」
「いい」その好意を断る。だって、今の祈歌にとって周りのことはどうでもいい。この人の気配しないお城もどこまでも続く砂漠も、出会ったばかりの輝も記憶のない自分すらも。どうせも死人になったようなもの。異世界のような場所に住む。時々現世へ行き鬼火なんてを消す。そういう生活を送る日々を普通にしたい。
なのに胸がざわついている。知らない感情がちくちくした痛みになって刺す。
「でも怖いだろう?」祈歌の心を知らずに輝は自然にそう言う。
「変な場所で目覚めた。記憶もない、胡散臭い三人の男と共同生活をしなければなれない。その上死神なんてやらせたのさ」
「俺だったらふざけんな!って言うかもな」
「私は別に」
「それは違う」
「?」
「君はあれだ、怖くて動かなくなるの間違いだけ」輝は視線を祈歌へ送る、優しげに。「でも自分の心を守るためにどうでもいいことにするのだ。立派だな、こんな状況なのにすぐ行動に移すなんて」
「は?言ってる意味がわからない」
「つまり、君は怖いものを超えろうとしている。自分の力で、一生懸命で、足を止めずに。」意味不明の話をペラペラすると、彼はもう一度星空を見て、そしてその星を映る目で祈歌をじっと見る。
「こんな頑張ってる君にはたくさんのご褒美をあげたいくらいだ」
まるで祈歌の過去の苦労を知っているような眼差しで、でもただ遠い場所に見守るしかできないような口ぶり。
「しかし俺には君に与えるものは少ない。例えば空はこんなに広くても君は満天の星空が似合うでも、俺の手のひらにあるのはいくつの星屑だけ。ただそれを全部君に与えるしかできない。でも気持ち的にも物質的にも全然足りない」
「だからそういうのをやめるんだ。俺は君に与えるものを別のものにする。空のような広くて無限なものさ」
「一体何が言いたい」
「ああ、すまない、つい長話になったね」
輝は正面から祈歌を見る。やっぱり優しいが、別の感情も隠れているような顔で。
「今は一つだけ、君に捧げましょう」
「よく頑張ったな。これからも大変になるかも知れないが、俺も手伝うさ。だから気負わずに前へ進もう」
輝は微笑みを見せた。