色褪せしない赤

(作者は日本語話者ではない)
(一次創作の自分用記録)
(ラスボス戦前)

歩き出すとしよう祈歌を止めたのは輝の声。

 「もう行くのか?」

 「もちろんだよ」その愚問に答える。「あなたこそ、そのために私をこちらの世界へ送ったのでしょう」

 「送った...のか。返すだろう」「それはどっちでもいい」歩くのをやめて、祈歌は輝の顔を真っ直ぐに見る。彼女の赤い目にはどこかぎこちない輝が映る。

 「今さら名残惜しいとても思ってるのか?ちょっと輝の父に会いに行くだけ、前みたいに戦ったりけが負けたりしない」

 「いや、それこそ一番危ないだけど?俺の父親だから信用しようなんてやめる方がいいと思うぞ」「輝って、賢いなのに突然バカになるときもあるよね」「バカぁ!?俺が!?」

 「わたしは輝の父を信用しているわけではない。ただ輝だから、輝の父に会いたいだけ。輝のことをもっと知るために」「な、なんてわざわざそんなことのために危険のことを」

 「そんなこと、じゃない。私にとって大事なことだよ。大事な人の命にかかわることだから。」

 輝はびくっとした。

 「私がすべてを知って、みんなと事件を解決する後、輝は死ぬでしょう?何をするつもりかわからないが、あなたの目はそう言っている」

 「だからわたしをあの人に会わせたくない。だから名残惜しいと思っている」赤い目は強く輝を見つめる。

 「だったらわたしも行動する。輝がわたしを助けようとすると同じ、わたしも輝を助ける方法を探す。だから行く」

 そしてもう一度歩き出す。

 「おい!それはーー」「聞かないよ」振り向くとこもなくそう宣言した「わたしは、好きな人と共に生きていく」

 すぐにその姿は遠く空の下へ消えた。

 「......」

 「はは」

 「はははは」

 「ははははははは!!」

 残された輝は一人可笑しくて笑った。

 なんだよこの子!人の葛藤を知らずにさっぱりと告白した。

 毎回けがを負けた彼女を見てどれほど痛ましくても平気な顔で次の打つ手を考えなくてはならない。祈歌の血まみれな姿が見たくないのに、彼女の未来のために危険な境に送るしかない。それはきっと彼女を幸せな、普通な人間に戻させることに繋がると信じた。そのきれいな赤い血を無駄に流させないと決めた。

 たとえその代償は、自分の命でも。自分の気持ちが知られなくて恋も一生叶わなくても。

 なのになぜ、今はすごく悔しいと思う?なぜ足搔きたくなる?

 『あなたには、強欲という言葉を教えられてもらった』

 いつか祈歌はそういう話を言ったことがある。

 「そうだな。俺は強欲な人間だ」

 心臓がドキドキする。赤い心は、赤い血液を全身に送り出す。

 ならば強欲のままでいい。

 「あ~あ、忙しくなるようだな」

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