黒き騎士と黄金の炎
この人生は悲劇としか言えない。最初から間違った。みんなのヒーローになろうなんて思うべきではない。
自分はただの悪人。邪悪な黒竜を操って、人を喰らわせる、土地を荒らさせる黒き騎士。
一つの伝説がある。
嵐が来て、砂や小石を巻き、天空を昏いにする。その時、巨大な黒竜は村を襲うに来る。人だった肉塊がバラバラになってあちこちに散る。家屋だった木の柱もバラバラになってあちこちに散る。
まるで世界の破滅。
しかし、蒼い炎がついてる銀色の大剣を背負う銀白の騎士さまが現れ、黒竜を殺した。
そうしたら、この村は救われた。
「でも、しんだみんなはもどらないでしょー」
子供は吟遊詩人に聞く。
バ、バカ!静かにお話を聞きなさい!
母親は焦る。
「そうかもしれないがー」吟遊詩人の青年は膝を折って子供の疑問を答える。「それでも、騎士さまさえ居れば、未来に希望があるよ」
「しんだ人はもうもどらないなのに?」「そう」
いつか君にも分かる。
青年は微笑む。
「アウロラ......君がまだ生きる限り、僕は諦めない」
例え、わたしが悪者になったでも?
例え、わたしは諸悪の根源でも?みんなはわたしのせいで死んだでも?この国を滅亡に導いたでも?
優しい青年は明るく笑った。
「僕はアウロラを信じるよ。アウロラの行動は常に正義のため。何者になっても、きっとそのやさしく強い心を失わない」
「......」
なんか、懐かしい夢を見た。
黒き鎧を履いた女の子は目を覚ます。
ここは荒野。誰でもいない。それでも、夢を見たばかりの柔らかい少女の表情はすぐにこわばる。彼女は脱いだヘルメットを被る。
(来る)
雷の柱が一瞬で落ちた。ゴロゴロとした音の後、その雷の柱は左右に広げて、形を変化する。やがって、黒い竜の影になった。
グオァアアアアアー--!!と、太陽を遮るほど大きい翼を広げて黒き鎧の騎士を襲う。
騎士は大剣を抜く。その瞬間、ドカーン!!!と、荒野はまるでこの声で怖くなって震えた。
蒼い炎がついてる銀色の大剣が黒竜の鱗に当たった。
ヘルメットの中に少女の目はひどく悲し。彼女の模様がすべて醜く歪んだ黒い鎧が悲鳴をあげる。同時に、大剣は竜の肉に切り込む。
「ー-さらば、わが友だったものよ」
竜は黄金色の炎で燃えた。
この国はもう終わった。
この人生も終わった。
この物語も、終わったはずなんだ。
あの日、討伐軍を率いる王国の剣士、アウロラは黒竜を切った。そこですべて終わるはずなのに、黒竜の血が散ってしまった時。
ー-鎧を履いたアウロラ以外の人たちは大半竜の血を浴びた。
......そして彼らは新たな黒竜になった。
人を喰らう、土地を荒らす邪悪な黒竜になった。
国は滅亡した。
多くな人の人生は終わった。
しかし、物語はまだ終わらない。
黒竜の黄金色の瞳を見て、アウロラは誓った。黒き騎士は誓った。
このもうなくなった同様な人生をかけて、黒竜を、確実に殺す。一匹も残らずに。
ほかのものは忘れろ。
自分を王宮に連れた王子も、一緒に戦ってきた友も、目が黄金色に染まった悲劇の悪人アウロラも。
そしてもし、いつか、いつかなったら。誰かが、この悪夢を終わらせて。
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