八重桜な主権回復
風さゆる み冬は過ぎて
まちにまちし 八重桜咲く
春となりけり
昭和26(1951)年9月8日に日本国と48か国との間で署名された「日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)」が発効したのが,昭和27(1952)年4月28日。ちょうど70年前の出来事。
これにより,日本と連合国(United Nations)との戦争状態は終了し,領土領海における主権が認められ,独立を取り戻した。冒頭の歌は,その日に宮内庁から発表された昭和天皇の御製五首のうちの一首。
喜ばしさのなかにも「八重桜」から浮かぶ晩春の景色に,何かしら心残りの気色を感じざるをえない。
日本国との平和条約第3条は,沖縄と小笠原諸島について,アメリカを施政権者とする信託統治をアメリカが国際連合(United Nations/連合国)に提案するまで,アメリカの統治権の下に置かれる旨を規定している。
同条約第3条は,アメリカが,国際連合(United Nations/連合国)に提案した上で,戦前,日本がパラオやサイパンなど南洋群島を国際連盟(League of Nations)から委任を受け統治していたのと同じように,沖縄や小笠原諸島を信託統治することを日本に認めさせるもの。
しかし,アメリカは,国際連合(United Nations/連合国)に提案することなく,同条第3条第2文に基づいて,沖縄や小笠原諸島の領域及び住民に対し,行政,立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使した。つまり終戦下の占領を敢えて継続した。
小笠原諸島は,昭和43(1968)年6月28日に復帰。
そして沖縄は,昭和47(1972)年5月15日に「行政,立法及び司法上の権力」がアメリカから日本に返還された。
こちらは,今年(令和4/2022年)で50周年を迎える。
東京で弁護士をしています。ホーチミン市で日越関係強化のための会社を経営しています。日本のことベトナムのこと郷土福島県のこと,法律や歴史のこと,そしてそれらが関連し合うことを書いています。どうぞよろしくお願いいたします。