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自治体の脱炭素化計画にソーラーシェアリングを位置づけよう

こんにちは。さがみこファーム代表の山川です。

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さて、今日は農業ではなくエネルギーの話。

自治体の脱炭素化計画にソーラーシェアリングを位置づけよう。」です。

2016年のパリ協定以降、世界は脱炭素化に急速に舵を切りました。日本も昨年ようやくCO2排出削減目標を引き上げ(2030年度▲26%→▲46%、2050年▲80%→▲100%)、遅ればせながら脱炭素社会実現に向けてのアクセルを踏み始めました。
ゼロカーボン宣言をした自治体も2年前に4自治体だったのが、今年6月には391自治体に激増しました。
ただ今のところ、宣言をしたものの、実態が伴っていないのが現状です。
自治体が脱炭素化を進める指針となる地球温暖化防止実行計画(区域施策編)でも、大きな目標は示すものの、具体的な道筋を描いている自治体はごくわずかで、実際、弊社にも「何をどうすればよいかわからない...」という自治体の担当からの戸惑いとも悲鳴とも取れる相談を受けます。

確かに、ほとんどの自治体にとって、2030年▲46%は相当チャレンジングな目標です。ただ、不可能な目標ではないと私は思います。

昨年、全電源における再生可能エネルギーの比率は20%を超えました。
2050年カーボンニュートラルを目指し、更に再生可能エネルギーの比率を上げなければならないのは明らかですが、風力、バイオマス、地熱、小水力等は様々な問題があってなかなか一気に進まないのが現状です。

従って、日本における再エネの主力は太陽光発電ということになります。

今年6月に国が発表した最新の「地域脱炭素ロードマップ」では、全国100の自治体をモデル地区に選定し、集中的な取り組みを進めることで脱炭素ドミノを起こす強い決意と、野心的な政策が列記されています。その中で、公共施設の屋根には基本的に太陽光をすべて設置するなど、特に太陽光発電への大きな期待が透けて見えます。
屋根上太陽光については、FIT制度に則った売電ではなく、自家消費を強烈に進めること、新築は全て設置を義務化する等、載せられるところには全て載せる方向が示されています。(まあ、太陽光業界に深く関わっている自分としては、ようやくそうなったか、という感じではありますが、、)
しかし、その屋根も、耐荷重の問題や雨漏りの問題や逆潮流に関する制限などもあり、必ずしも簡単ではありません。

そこで、大きな期待を寄せられるのが「農地」です。

日本の農地は農地法によって、農業以外の利用が厳しく制限されてきましたが、その実は、農業者は高齢化し、農地という名の荒廃地が増えるなど、大きな課題を抱えています。
日本の農地は468万haあり、うち42万haが耕作放棄地です。
日本の太陽光発電の導入量は71GW(2020年)ですが、弊社の計算では農地のたった5%を太陽光発電所にするだけで、現在の太陽光発電の量の2倍に相当する電気が新たに生み出すことができます。
農地の上には電力を消費する場所がないため、系統接続が前提となること、架台の高さをあげて隙間を空けて設置するために架台のコストが高くなるなど様々な課題はあります。ただ、山林などの大規模な太陽光開発が環境・地域共生といった観点から今後進みづらい現状を鑑みれば、これだけ大きなポテンシャルがある場所は日本全国見渡しても他にありません。

例えば、相模原市は1,460haの農地がありますが、たった10%を活用しただけでも現在市内で導入済の太陽光発電の約6倍の太陽光発電所が設置できます。

日本国内では再生可能エネルギーの絶対量が不足しており、企業も脱炭素電源を求めています。域内へのソーラーシェアリングへ企業が投資をすることも十分考えられるでしょう。
各自治体が脱炭素計画にソーラーシェアリングの具体的な数値目標として明記することで、脱炭素投資を促し、地域の経済を活性化することにもつながります。

その際、ポイントとなるのが「地域共生」です。
発電に偏重して下の農業をおざなりしたり、地域の実情や気候風土に合わない作物を育てても、到底持続可能な形とは言えません。ソーラーシェアリングでは農地の新しい利用形態だけに、地域側の理解が十分ではなく、ソーラーシェアリング自体を認めない自治体もあると聞きます。そうしたことを含めて、地域で根差していくための地域共生の取り組みが従来の農業以上に求められていると感じます。

弊社は相模原市では初の事例となるソーラーシェアリングの発電所を運営しています。運転開始後1年経ちましたが、ただ、これらの課題を加味しても、非常に大きな可能性を感じています。

自治体はその可能性を評価した上で、地域の脱炭素化計画を策定する際、数値目標を含めてソーラーシェアリングを政策の中に位置づけるべきだと思います。

このように、自治体、事業者、農業者、地域が一体となってソーラーシェアリングを進めることで、脱炭素化への取り組みが加速していくことを期待しています。

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