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岡田一門に入門した

何回目か分からないXのアカウントを入れ直した矢先、トレンドに見覚えのある名前を見つけた。

岡田准一

グループ解散以降、熱心に情報を追わずとも、時折メディアに出演している様子が伺えた。それゆえ変わらず頑張っているなぁと安心していた。
そうやって事務所退所後も何も心配していなかった分、突然トレンド入りしたその名前に驚きと不安を覚えながらも恐る恐るクリックする。

すると目に飛び込んできたのは、彼がXを開設したというお知らせだった。


師範との出会い

そもそも、V6との出会いは小学生の頃。
『学校へ行こう』を純粋にバラエティ番組として楽しんでいた。
当時は、同時期に放送されていた『喰いタン』にハマっていたこともあり剛くん目当てで番組を観ていた。

時は流れて高校生。
当時のわたしのブームは『図書館戦争』シリーズ。原作を読みふけっていたタイミングにちょうど実写映画化が決まり、堂上篤役に岡田くんがキャスティングされた。

『学校へ行こう』は私が中学生になる前に終了し、ゴールデンタイムに6人揃った姿を見ることもなくなり、日常生活からV6がフェードアウトしていた。

そんなときに発表された大好きな本の実写映画化。
岡田くんが俳優として頭角を現していることは知っていたので、おのずと期待値も高まる。ワクワクしながら映画館へ足を運んだ。

岡田くんが演じる堂上教官は、わたしが原作を読みながら思い描いていた教官そのものだった。

部下である笠原を一瞥するときの鋭い目つき。
背が低くガタイのいい体つきに精悍な顔立ち。
激しい銃撃戦が映える無駄のないアクション。

本の世界から飛び出してきたという表現がここまで当てはまるのかと感動すると同時に、映画鑑賞後から岡田くんのことが頭から離れなくなってしまった。

知れば知るほどおもしろい人だった。
『学校へ行こう』時代の、ツンと澄ました美形で切れ味鋭いナイフのような危うさはどこへやら。

筋骨隆々な体での、のしのし歩き。
関西人であることが遺憾なく発揮される、ライブMCやバラエティ出演時の絶妙な「間」。時には顔の「濃さ」で強引に流れを持っていく力技。
そしてライブ中、常に狙いを定めているのは長野くんのお尻

シリアスな役柄が多い分、役から離れると彼の引き出しの多さがより際立つ。それに気づいてますます岡田くんに堕ちていった。わたしはギャップにめっぽう弱い。

大学受験に向けて勉強する日々。一番聴いた曲は『HONEY BEAT』だった。
そして唯一自分に与えていたご褒美は、『軍師官兵衛』を観ることだった。

無事に大学にも合格し、FCにも入会した。
アイドルグループのFC入会は、後にも先にもV6だけだろう。

大学生になり初めて参戦したライブ。
20周年という節目を横浜アリーナでお祝いできたことが何より嬉しかった。
この時期はV6ファン専用のSNSアカウントを作り、年代が近い人たちと日夜交流していた。オフ会にも参加したなぁ懐かしい。

自担にお尻を向けられた日

結成25周年を記念して開催されたアニバーサリーライブ。コロナ禍ということもあり、無観客での配信ライブとなった。
観客のいない、がらんとした代々木第一体育館。最初こそ、そのだだっ広さが目についたが、ライブが始まってしまえば空間すべてを生かした演出で楽しませてくれた。

そんな幸せ溢れるライブのMC中、自分そっちのけでメンバーにカメラを向ける岡田くん。自前の良いカメラで次々とメンバーを被写体に収めてくれるのはとても嬉しかった。しかし、岡田くん自身が被写体になることはあまりなかった。
ライブ終盤、メンバーでの集合写真を撮影する時ですら、カメラマンは岡田くんだった。
彼が撮ってくれた写真は、特典として後日ファンにしっかり届けてくれた。
でも、

あなたもアイドルなんだよ

嬉々としてメンバーを撮影する様子は岡田くんらしいなと思いながらも、彼自身も主役であることを、アイドルであることを蔑ろにしている気がして寂しくなった。

その後発表されたグループの解散。新たなスタートを切るための前向きな決断とはいえ、少しだけ、ほんの少しだけ、わたしは私たちに背を向けてメンバーを撮り続けた岡田くんの姿がよぎり、心が萎んだ。

投稿から滲み出る安心感

グループ解散と事務所退所を経て、役者として本格的に走り始めた岡田くん。
Xにはそんな彼の飾らない日常と、こちらの背中を優しくトンと押してくれる温かい言葉がポツポツと投稿されるようになった。

口下手であんまり自分のことを話してくれない岡田くんが、こうして文字で語ってくれる。それが少し気恥ずかしくもあり嬉しかった。

岡田一門に入門した

事務所立ち上げから数カ月。また嬉しいお知らせがあった。
FCが開設されたのだ。

しばらくして会員証と「岡田一門」への入門証が届いた。
これで晴れてわたしも岡田一門の門下生だ。胸の高鳴りを抑えられなかった。

今週には会報も届いた。彼自身がインターネット上で発信してくれるだけで満足していたが、冊子として手元に残る形でも届けてくれることがなにより嬉しかった。


いろんな人にいろんなふうに思ってもらえる仕事。僕が役者と呼ばれることに違和感を持つ方もいれば、しっくりくる方もいるでしょうし、アイドルの僕が好きだと言ってくださる方もいれば、そうでない方もいる。
そもそも自分が何者かなんて自分で決めることではなくて、自分の姿は人と人との間に浮かび上がるものなのだなと実感しています。

ー岡田准一(2014)『オカダのはなし』P.8より

本記事を執筆するにあたり、『オカダのはなし』を読み返した。
自分の立ち位置は、受け取り手次第でいかようにも変化する。
しかし、役者であってもアイドルであってもそれは「岡田准一」という人間に他ならない。

『オカダのはなし』には、32歳の岡田くんが23歳の頃からananに寄稿していた記事とそれに対する彼のコメントが綴られている。
10年前の青かった頃のちょっと背伸びした文章に、時に感心したり照れ臭さを感じたり。わたしも一喜一憂しながら読み返した。

それでも一貫して彼が大切にしていたのは、「周囲の人々への誠実さ」だと思う。
主演に抜擢された作品、出演するライブ…自分が軸として関わるエンターテーメントでは常に観客に「楽しさ」を提供したい。
それを届けるために、役に、スタッフに、メンバーに誠実に接する。そうすることで作品がブラッシュアップしていくし、自分自身も磨かれていく。
そうやって「岡田准一」という人間が形成されていったんだろうなと感じた。

執筆しながらふと思った。
25周年ライブの時にメンバーの写真を撮っていたのも、会いにいけなかった私たちをどうにかして「楽しませたい」という思いからとった行動なのかもしれない。

ずっと心にかかっていたモヤが晴れた。
やっぱり、岡田くんはずっとわたしにとっていちばんのアイドルだ。


門下生になることができた。師範に負けないよう、わたしも黒帯を目指して精進しよう。


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