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セーフィーが目指す未来のプラットフォームの在り方とAIデータ活用による革新の可能性:AIソリューションプラットフォーム推進室の新設と推進室長 植松さんのインタビュー

セーフィーは2025年1月に、新たにAIソリューションプラットフォーム推進室を設立し、推進室室長として執行役員の植松裕美さんが就任しました。

植松さんは、2020年2月にセーフィーに入社し、企画本部にてプロダクトやサービスの企画・立ち上げから運用までをトータルでマネジメントしてきました。

今回の推進室新設、植松さんが推進室室長に就任したことを受けて、植松さんに、セーフィーが「AIソリューションプラットフォーム事業」に取り組む意義と価値について、またこの事業を進めることで社会にどのように貢献したいのかを伺いました。さらに、推進室室長に就任した植松さんがセーフィーの「AIソリューションプラットフォーム事業」を今後どのように育てていこうとしているのか、目指す方向性についてもお話をお聞きしました。


セーフィーの「AI ソリューションプラットフォーム」とは


セーフィーがAIソリューションプラットフォームに取り組むことになったきっかけはどういったものですか?

セーフィーは「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、2014年に創業し、映像プラットフォームを基盤としたクラウド録画配信サービス及びカメラで撮影した映像データをAIなどで解析し、さまざまなお客様の現場課題を解決するソリューションを提供しています。一方、業界ごとに異なる多様な課題が存在し、セーフィーだけでは全てを解決しきれないという現状があります。そこで、セーフィーは「AIソリューションプラットフォーム」を開発し、データホルダー(カメラを利用するお客様)とAI開発者が多対多の連携をはかり、データ活用を進めるとともに、より多角的に各産業が抱える課題解決に取り組んでいくことでセーフィーのプラットフォームをさらに強化していけると感じています。

なぜセーフィーがAIソリューションプラットフォーム事業に取り組めるのか、その理由をぜひ教えてください。

セーフィーは、すでにあらゆる業界の現場で約30万台のカメラを市場に普及させ、30PBを超える映像データを管理しています。この膨大なデータを柔軟に制御、管理、配信、加工をできる高い技術力を保持しており、これまでに培った業界知見・ノウハウを活かして、データホルダーからの期待に応える様々なデータ活用を実現できると考えています。これらの強みを活かし、データホルダーとAI開発者が抱える課題を解決するAIソリューションプラットフォームを提供することで、効率的かつ安心安全なデータ活用の仕組みを構築し、セーフィーのプラットフォーム事業をさらに発展させていきます。

2024年10月にはNEDO公募の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査」に「AIソリューションプラットフォーム」事業案が採択され、委託費を取得しました。AIを活用したイノベーションが世界中で進展する一方で、日本におけるAI活用は諸外国に後れを取っているという課題があります。植松さんご自身はこの課題と解決方法についてどのように考えていますか?

公募プロジェクト採択の際に、日本でAI利活用が進みづらい課題として、顧客(データホルダー)視点からは「データ提供の手間」「個人情報保護に対する懸念」「AIサービスごとに異なるインターフェース、通知」を、AI開発者視点からは「個別最適化の必要性」「教師データの収集」「アプリケーション運用環境」をあげました。これに加えて、精度やコストの課題も重要です。我々は、プラットフォーマーとしてデータ収集およびAI精度を上げる再学習をやりやすい開発環境を整えたり、プライバシー配慮の仕組み、得意とする使いやすいUI/UXを提供します。また、エッジ側(カメラやゲートウェイ)を活用することによるコスト低減や精度向上といった要素を組み合わせ、我々だけではなく他社AI開発者の方のご協力も得ることでこれらの課題を解決していけると考えています。

今回の採択を経て「映像プラットフォーム事業」全体の推進はどのように変わりますか?

前述のとおり、元々、セーフィーとして映像プラットフォーム化は進めて来ましたが、今回の採択により特にAIの部分に関して国の支援を得ることができました。鹿島建設様や清水建設様、慶睦会様といった顧客(データホルダー)側、フツパー様、アプリズム様、ライトブルー様といったAI開発者側にもご協力いただきながら、複数のPJを推進することでプラットフォームの確からしさを証明しています。また、対外的な認知という、開発以外の観点でも(このIR noteでも取り上げられましたが(笑))事業全体の加速が進むと考えています。

例えば、現在、実証実験を進めている中、具体的にどのようなデータ活用の事例が見えてきましたか?

例えば介護施設では、ナースコールシステムや現場通知をデータで補完することで、スタッフの負担を減らし、運営の効率化が図れます。また、セキュリティカメラを使ったデータ分析を行うことで、危険な状況を事前に察知し、対応することが可能になります。建設業界では、データを使って現場の進捗や安全性をモニタリングすることができ、人手不足を補うための重要なツールとなります。弊社では事例紹介を積極的に出させていただいていますが、他にもリテール、物流、製造など多種多様な業界でのAIを利用した実例がこのプラットフォームを実現することで格段に広がると考えています。

AIソリューションプラットフォーム事業により成し遂げたいこと


2025年1月にはAIソリューションプラットフォーム推進室が立ち上がりました。推進室のミッションはどういったものを掲げていて、どのようなことを成し遂げていきますか?

部のミッションとして、”「AIビジネスの量産」〜 顧客・開発者双方が活用できるプラットフォームを作り、映像を起点とするAIを「安く・かんたんに・安心安全に」提供し、ビジネスを生み出すこと”を掲げています。

AIが当たり前になっていく世界において、AIビジネスを量産していくためには、”安く” は必須条件です。セーフィーがクラウドカメラとしてお客様に受け入れられたのはリーズナブルであった、ということも一要素であり、AIにおいてもきちんと価値に見合う、手にとっていただきやすい価格を我々の創意工夫により提供していきたいと考えています。

”かんたんに” について、ChatGPTがこれだけ広まっているのは、機能はもとより、「利用者とあたかもコミュニケーションを取りながら」「対話を通して」かんたんに満足度をあげられる仕組みになっているからだと捉えています。我々のプラットフォームに関しても使う方も作る方も ”かんたんに” できることを目指しています。 

”安心安全に” について、セーフィーの創業時からセキュリティに関しては周到に配慮した設計をしています。この高いセキュリティ性やデータガバナンスの取り組みなどを継続しつつ、アップデートされていく個人情報保護法や生活者視点への配慮なども、考慮しながらプラットフォーム構築をしていきます。みなさまに使っていただくには非常に重要な観点だと思っています。

セーフィーがAIソリューションプラットフォーム事業によって社会課題の解決にどのように繋げていきたいかなどの具体例と、それを浸透させていくための課題をお聞きしてもよいですか。

AIソリューションプラットフォームを活用することで、現場の課題を解決するための手間がどれだけ減らせるかを考慮しながら進めていかなければならないという点が非常に重要です。

例えば、先程お話した介護施設で使用されているナースコールのシステムがありますが、そのシステムに私たちの通知機能をどう組み込んでいくかが大事になります。新しいシステムを1つ追加するのではなく、普段使っているシステムにうまく組み込んであげてスタッフの負担を最小限に抑えた通知にすることが必要です。新しいオペレーションを導入してスタッフの手間が増えてしまうのは本末転倒です。我々のプラットフォームを利用する際は、できるだけスタッフの手間を減らしトータルで手間が減らせなければ駄目だと考えています。

そのため、どのようにお客さんの最終的な工数を減らし、楽にするのかを設計していくことが重要だと思っています。AIソリューションプラットフォーム事業では、AIそのものを早く作れる仕組みをファーストステップとして、ソリューション全体をより早く作って提供できるようにすることが必要だと考えていますし、そのためにデリバリーやオペレーションの仕組みを整えたり、組み合わせてソリューション化できるデバイスのバリエーションを増やすことも合わせて重要だと考えています。

また、セーフィー自体、現状は一般認知としてはクラウド型セキュリティカメラの会社として、他社と同じように見られているのではと考えています。そうではなく一歩先を進んで、その映像データを活用して価値あるものを提供していく、様々なソリューションを提供できる、その提供を数多くリーズナブルに提供していけるというところは伝えていかないといけないし、多くの人々にそう認識していただく働きかけをしていく必要があると考えています。

唯一無二のプラットフォーマーを目指してセーフィーに入社


植松さんは、セーフィーに入社される前は、どのようなお仕事に携わっていましたか?

1社目の医療メーカーで7年半、2社目のソニーでは8年、3社目のベンチャー企業で3年弱、4社目のアマゾンジャパンでは2年半ほど働きました。キャリアのスタートはソフトウェアエンジニアであり、徐々に企画(プロダクトマネージャー)としての業務に軸足を移していったイメージです。プロジェクトの統括や企画開発に加え、海外企業との共同開発、オフショア開発のマネジメントなども経験しました。前職では、アマゾンで電子書籍コンテンツを管理するソフトウェアと、Kindleデバイス(ハードウェア)の組み合わせをプラットフォーマーとしてサービスするビジネスのテクニカルアカウントマネージャーを担当していました。

なぜ次のキャリアとしてセーフィーを選んだのか、入社前のイメージについて教えてもらえますか。

入社前は、ソフトウェアとハードウェア両方に関わる仕事がしたいという気持ちを持っていました。原体験としてこれまでのキャリアの中でソニーでは、テレビやカメラ等のハードウェアビジネスの中で企画開発をしておりましたが、当時のtoC向けカメラとしてはほぼ初めてのクラウドサービスとして顧客と継続的なつながりを持てるようなPJの立ち上げに関わることができました。

当時担当していたクラウドサービスのアプリケーション自体は売り切りでしたが、ハードウェアだけではない価値の提供、顧客課題に寄り添った継続的なサービス提供が実現できると感じました。一方で、ハードウェアにはソフトウェアだけでは体験できない面白さ、奥深さがあります。ハードウェアには「こういうモノを持ちたい」というモノへの愛着であったり、「制約が厳しい中ハードウェアの性能をどううまく発揮させるか」という作る側の難しさ、面白さもあります。また、これは特にセーフィーに入ってから強く感じますが、デリバリーの難しさや様々なカメラベンダーさん、デバイスメーカーさんの強みをどう活かすか、という面白さもあります。そういったハードウェアとソフトウェアの掛け合わせでビジネスができる会社は珍しく、非常に面白いと思いました。

有難うございます。セーフィーのハードウェアとソフトウェアの掛け合わせにより、新たなビジネスのチャンスが生まれるんですね。採用面接時には、まさにその新しいビジネスの中心となる「映像プラットフォーマーになる」という目標を掲げていたと思います。プラットフォーム事業についてどのような点に魅力を感じていたのですか?

セーフィーが持つIoTとSaaSの組み合わせ、さらに、セキュリティカメラとそのデータ活用により、プラットフォームとしての成長の可能性があると感じていました。

セーフィーのプラットフォーム事業では、単なるハードウェアとソフトウェア(セキュリティカメラのシステム)のみの提供にとどまらず、そのデータ活用を軸にしようとしています。まず、プラットフォーマーになるためにはカメラの普及台数が最重要ですが、入社する頃はそこまで台数は広まっていなかったものの、市場的には伸び代は十分あると感じていました。セキュリティカメラは一見目立たない存在ですが、実はどの店舗、現場でも必ず設置されています。ただ、そのカメラは設置されているだけのものも多く、データが十分に活用されているとは言えません。将来的には、カメラで取得されたデータの連携や分析から新たな価値を生み出すアプリケーションやソリューションを自社だけでなく他社のものも含めて提供することによって、セキュリテイカメラだけではないプラットフォーム事業が実現できる可能性があると思っていました。

最後に「AIプラットフォーム事業」を今後どのように発展させていきたいか、その目標について教えてください。

入社して丸5年になりますが、会社の状況や市場環境などをトータルで鑑みて、特にAIに関してはプラットフォーム化がようやく本格的に着手できるようになったな、というのが実感としてあります。このAIソリューションプラットフォームで多くの仲間づくりを行い、プラットフォームをうまく利用してもらってゆくゆくはグローバルでも使ってもらえる、スタートアップのみなさんにもビジネスの立ち上げできる場、また大企業とスタートアップが相互にシナジーを生み出せる場を目指したいと思っています。

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