04_壁補強は柱の補強も含みます!
はじめての診断ソフトで補強設計をされる方は不安ですよね。
ここだけは押さえたい『耐震補強の3要素』の一つを紹介します。
『耐震補強の3要素』その①
【1】壁補強 = 耐力”壁”の補強 + ”柱”の補強
初心者の方は「何それ・・・?」という反応をされることも多いですが、耐力壁だけを設置され、柱の補強をされていない相談がとても多いのです。
具体的な事例で説明します。
下記はある有名人の家の耐震補強プランを作成している状態で、8箇所の壁補強を検討されています。(壁の中心に○印がある箇所)
もともとあった石膏ボードの壁(1.1)を撤去して、かべつよし(最大8.8)という弊社の耐震ボードを設置するプランニング。
()内は壁の強さを示していて、この枚数だったら耐震補強はバッチリ!と考えられる設計担当者の方も多いです。
が
なぜか評点があがらない!
耐力壁を増やしてもほとんど変わらない!!
なぜっ!?
ということで、診断ソフトも扱っている弊社に相談を頂くのです。
高耐力壁を入れれば良いと思われている方に、
『耐震補強の3要素』ポイント①を説明して強い壁を入れただけではダメ
と伝えると
えっ!それが耐震補強じゃないの?
という反応も少なくありません。
リフォームやリノベーションの設計担当者の方は是非『耐震補強の3要素』を覚えてください。
【2】”柱の補強”とは柱の接合ランクをあげることです
壁の補強は分かりやすいですが、柱の補強とは耐力壁をとりつけた両端の柱の柱頭柱脚の接合ランクを上げることです。
「・・・。」
何を言っているか分からない方に図面で説明します。
上記図は、Y方向(縦方向)の3尺の柱間の壁補強です。Y方向の玄関側(右側)にかべつよし、左側に石膏ボードで壁補強を設計されています。
図では、右・中央・左とまったく同じ壁補強が3つ並んでいますが、柱頭柱脚接合ランクが違うので、耐力=強さも大きく変わってしまうのです。
「えっ!接合金物って何?」と思われた方はこちらを御覧ください。
木造戸建て住宅では、地震での縦揺れや壁が左右に揺れることで、柱を上に持ち上げようとする力が働きます。(柱のN値という)
それに見合う金物を柱頭と柱脚に取り付ければ柱が抜けてしまうというリスクを抑えられるのですが、建築基準法の関係で築年数によって設置された接合金物が異なるのです。
旧耐震と呼ばれる1981年以前の住宅で使われる「かすがい」、1981年以降の新耐震住宅でも「平金物」「かど金物」が多く使われています。
しかし、それらの金物が対応している引き抜き力(N値)はとても小さく、柱によっては地震の揺れで抜けようとする上向きの力を抑えられないこともソフト上で確認できます。
その場合は、金物の接合ランクがIIやⅢやⅣという評価にして低減をかけるのですが、接合ランクが低いと、強い壁を入れても低減(マイナス評価)されるので、壁を増やしても増やしても耐震性を示す評点の数値がなかなか上がらないということにもなります。
【3】評点があがらない理由は”柱の接合ランク”?
これが壁補強をたくさんしているのに評点が上がらない理由の一つです。
同じ壁で同じ耐震ボードを設置するのに、接合ランクで強さが変わることを理解されると、結構驚かれる方も多くいらっしゃいます。
どうせ強い壁を設置するなら、その両端の柱の引き抜けに見合う接合金物も同時に設置する!
これが
補強設計のポイント①
壁補強 = 耐力”壁”+”柱”の補強
だとご理解下さい。
接合ランクⅠにすると、低減(マイナス評価)されず高耐力の壁がそのままの強さで評価されるので、補強壁の枚数も減らすことができます。
この事例でも8枚で考えていた壁補強箇所を半分の4枚に減らすことができました。
施工手間も減らせて、工期も短縮、お見積りも下げられるので、事業者・依頼者双方にとって、耐震補強の3要素はとても重要だということがわかります。
また弊社ではこのような耐震補強事例の実務的なご相談や商材・診断ソフトのご提供を20年以上行っております。
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