CareerQuest#1~「ないもの」の作り方~
1. イントロダクション
- イベントの概要: 第一回キャリアクエストの開催、ゲスト講師の紹介(佐藤大吾氏)
- 高揚感と期待感: 中高生から認知されるインターン、クラウドファンディングの話題
インターン、クラウドファンディング。今や中高生からも認知度の高いこの二つのカタカナ用語を生み出した人が公文国際学園にやってくる。
そんな高揚感に包まれた、第一回キャリアクエストが、9月12日、開催された。
初めての開催ということで、筆者もドキドキワクワクだったが、中等部、高等部合わせて40人が会場に集まった。中学生の参加が特に目立ち、学年混合の3,4人の席に着く。「家電を自分に例えると」というなかなかにユニークな自己紹介を行い、緊張がほぐれた。
2. イベントの始まり
- 参加者の様子: 中等部、高等部の生徒の参加、学年混合のグループ形成、ユニークな自己紹介
- ゲスト紹介: 佐藤大吾氏の経歴とアントレプレナーシップに関する活動
今回のゲストは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授の佐藤大吾さん。
今では当たり前となっている、「インターン」の概念を日本の社会に持ち込んでいる国内初寄付サイト、クラウドファンディングを設立した。
インターンもクラウドファンディングも、今や大学生に限らず、中高生の中でも認知度が高まっている。ここにきた生徒たちは、全員が夢や目標がはっきり定まって居るわけではない。「将来何をしたいかがわからないから来ました」必要なのは、このイベントへの興味とワクワクだけ。ーそんな可能性に満ちた、公文生との化学変化を楽しむことにしよう。
3. 講演の要点
- 日本の働き方の変化: 終身雇用制の崩壊と新しい働き方
- 友人や仲間作りの重要性: 実際のエピソードを交えて、仲間作りの利点を強調
「大学教授って名乗ると安心するんですよ」
そう笑う佐藤さんは、スライド一枚に入りきらないほどの経歴、活動歴を持っていた。その数に圧倒されながらも、佐藤さんは、日本の働き方の変化について話す。
「終身雇用制と言われる、「この会社から離れませんから一生食わせてください」というのはもう通用しなくなっている。一社に真面目に勤め上げるのではもう満足なお金がもらえなくなってしまう。二社、三社勤めて、会社に委ねないような働き方が必要」
先行きが不透明な時代に生きるティーンエイジャーには、一つの会社に長くいれば安心という価値観はなんとなく古いと感じる。
「僕もひょっとしたら活動する場所を一社に絞るかもしれないよ」
どう見ても二社三社どころじゃない活動歴や所属組織を見ると、全くバラバラの分野に手を出して居るように見える。しかし、組織戦略と、それに「伴う資金集め」ということにおいては、実は佐藤さんの行動理念は一貫している。
「また、得意技を増やす。一つの分野で一番になるのは難しいから、自分の強みを増やす、というのも大事だと思うね」
あと、と続ける。「仲間を増やすのはとても大事だよ」
「例えば、大学一年の時に、「友達を作る」という目標を立てたとしましょう。ただね、僕はその前に、「本当にピンチの時に駆けつけてくれる友達を五人作ろう」という目標を立てました。」
「面白いことをやるよ、って言ってくれた時に誘ってくれるような友達。これのいいところとしては、シンプルに、友達が多いとイベントごとでの集客がやりやすくなる。佐藤は友達が多いからこいつを呼ぼうって思ってくれる。協賛金を集めやすくなる。」
なるほどこれだけ説得力のある友達づくりの方法は今まで考えたことはなかった。
「だから僕ね、仲間が多いんですよ」と朗らかに語る佐藤さんの姿から、只者ならぬオーラがヒシヒシと伝わってくる。
しかし、その後の講義で出てきた佐藤さんの姿は意外にも、「天賦の才能を持った超人」ではなく、「行動力の化身」という言葉がぴったりな、地道な努力が積み重なって居る人だった。
4. インターンシップの原体験
- 修学旅行のエピソード: 制服の問題解決を通じたルール変更の体験
- 阪神淡路大震災の影響: 行動力の原動力となった震災での経験
ここからは、本題の、インターンシップにつながる原体験をお話してくれた。
行動のきっかけは、高校2年生の修学旅行だった。東京ディズニーランドに行くことになったものの、女子生徒には一つ不満があった。制服がとてつもなくダサかったのだ。年頃の女子高生が猛反発して抗議の声が上がるのは想像に難くない。
その声をリーダー的存在の女子生徒が職員室に乗り込んで直談判し「多数の投票を獲得したら制服じゃなくてもよしとする」という約束を獲得してきた。佐藤さんはその女子生徒から「絶対勝ちたいから票を集めてほしい」と頼まれ、行動を起こしたという。「ルールは変えられる」という原体験がこの時生まれた。
我が校公文国際学園には考えられないシチュエーションだとその場の皆が思っただろう。制服がない、縛られるものがほぼなく、という環境にいる私たちにはいささか新鮮に聞こえた。
もう一つのきっかけとして、
阪神淡路大震災がある。
周囲には、家をなくした友人がたくさんいた。
佐藤さんは、すぐにボランティアに向かった。人生は突然終わるかもしれないから、やりたいことをやって生きていこう、そんな思いに駆られた。
これらの体験が、佐藤さんの原動力となっていた。
5. 就職活動とインターンシップ導入への道
- 困難と挑戦: 就職活動の壁、100社のドアを叩いた経験
- インターンシップ導入の挑戦: アメリカでのインターン制度の発見と、日本への導入に向けた活動
さて、そんな佐藤さんに「インターンを日本でもやりたい」と思いを突き動かす事件が学生の佐藤さんにおこる。それは就職活動のとき。
当時の制度では、四年生になるまで、学校側が、会社が学生を採用することを禁止していたからだ。
佐藤さんはこんなことを思いつく。どんな会社かわからない、仕事内容もわからないから無給でいいので働かせてほしいっていうのはどうだろう?
「いや、いいわけないでしょ」
100社のドアを叩く。そう告げられ、これでもう99連敗目。もうだめだと思っていた時、一社から聞こえた、「いいよ」の声。インターンの始まりは、小さい会社の鞄持ちからだった。
それがなかなか楽しくて、小さい会社から始まって、 このしくみをお金にできないかな?と考え始める。
しかし、より大きな会社に導入するとなれば、人材派遣法、最低賃金法など、必要な法律を知らなければならない。しかし、勉強してこなかった。なんせ国内事例がない、と煮詰まっていた時、当時アメリカにいた友人から「アメリカには同じようなことをやって居る」という噂を聞きつけ、早速アメリカに行った
電撃でアメリカに行ったにも関わらず(おそらく生徒と間違えられたため)大学教授などの人々は快く、佐藤さんの質問に答えてくれた。
アメリカではこれをインターン、100年前からこれがあることを知り、佐藤さんの活動は、インターンを日本に導入する、という目標に奔走していく。
帰国後、まずは企業へのインターン導入に集中した。同じころ、同級生や後輩の中には公務員試験に取り組む人が多く、行政や議員事務所でインターンシップがしたいという声が上がり、「それなら議員たちのトップにあたってみよう」ということで「総理大臣に凸」。このパワーワードから、インターンという未知のものを日本社会が受け入れ、広めていくという途方もないビッグプロジェクトであることを予感させる。
総理とは勿論、最初は会ってすらもらえない。
秘書さんに資料を渡すが、返事はもらえなかった。成功が続いたわけではない。そこから何百連敗、何千連敗したとしても、佐藤さんの心は折れなかった。
(余談だが、この総理は10年後、元総理となってからインターン生を受け入れてくださったという。この10年での変化からも、佐藤さんの取り組みが日本社会を変えたことを証明している)
6. 佐藤氏のメンタリティ
- 質問への回答: 「なぜ100回挑戦できたのか」という問いに対する回答
- 失敗をネタにする心構え: 行動力を支えるポジティブな姿勢
ここまで聞いて、豆腐メンタルの私は10回やって無理なら心が折れちゃうな、と、佐藤さんのメンタルの強さにただただ感動し、自分にはできない、と咄嗟に感じる。
そう思った生徒は他にもいたようで、
「どうして100回もやろうと思うのですか。そのメンタルの強さの秘訣を教えてください」と質問が上がった。
「もしだめでも、総理大臣に凸ったっていうのはネタになる。断られても美味しいからね」
僕には特別なものはないけれど、行動力はあるから。
と佐藤さんは言うが、
「たった100件回るだけ。それをするだけでいいのに、みんなやらない。」
(これを言えるくらいの行動力はもはや特別なものなんだよなー、と言いたい。)
7. GROWモデルの紹介
- 目標達成のフレームワーク: インターンシップ活動をGROWモデルに当てはめた説明
時間の都合上、クラウドファンディングについては紹介できなかったが、佐藤さんは、GROWモデルというものも紹介してくれた.。
例えば、インターンシップの活動に当てはめて考えると
G GOAL あったら自分が使いたい(起業のキーワード)
R REALITY日本にないか、世界にないならなぜみんなならないのか(やれない理由も多分ある)
O OPTIONS (アメリカを参考にした)
WILL 100社を訪問。ダメならやり方を変えてでもやり切る
このGROWモデルの実践と佐藤さんの行動力が合わさり、「インターンシップ」という今のあたり前を作った。
8.公文生へのメッセージ
- 仲間作りと行動の大切さ: 若い世代に向けてのアドバイス
- やっておくべき5つのこと: 友達作り、旅、本を読む、お金を貯めることなど
最後に、佐藤さんは「皆さんにしてほしいこと」という題で話し始めた。
「10代、20代は徹底的なインプットと仲間づくりをしてほしいですね。行動に負けはない。」
また、悩める公文生に向けて、10代、20代でやってほしいことを5つ、あげてくれた。
お金を貯めること
長旅に出る←(大人になる程、忙しくてできないから若いうちにしてほしい)
本を読む
友達を作る
生徒達からのフィードバックでは、
「佐藤さんの行動力・決断力・熱量に刺激を受けた」「行動に失敗などないのだから、どんどんアイデアを発信、実行していきたい」
・佐藤さんの生き方に少なからず刺激を受けた様子だった(企画した先生方も)
9. エンディング
- イベント後の様子: 談笑する生徒たちの姿、今後のキャリアクエストへの期待
このセミナーが終わってからも、先輩後輩関係なく談笑する光景が見られた。公文国際学園で、行動を起こして居る人。行動を起こしたい人。行動を共にしたい人が集まる機会はそう多くはないからか、イキイキとした生徒の表情が印象的だ。これから月一回開催されるキャリアクエスト。
最高にエキサイティングなプログラムが今幕を開けた。
文責:大久保寿音
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?