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道草日記39「道草と縄ばり」
ここに紹介する日記は過去のもの。
「2年と365日前」からはじめた日記のふりかえりが、ようやく「1年と326日前」まで現在に近づきました。2023年の春をふりかえっています。
※過去の日記を読み返し、現在いまの気持ちを書き添えています。
#道草とは
実は別アカウントで長く書きつづっていたnoteもあったしね。工房WEBサイト内のブログでも、制作や暮らしの日記を長年残してきたのだけれど。
このアカウントに残す日記は、東京からの移住を決心した折に、まだ公言していなかったころから残していた密やかなる宣言みたいなもので。言葉に残し始めたのは3年前からだが、実は水面下で具体的に泳いでいたのは4年前2021年の秋。お世話になっている仕事先やお客様に、作品がつくれないことや、来年は展覧会ができないことをどう告げるか悩んだなあ。
楽しみだけではないのが道草で。決して美談だけではない道草。
年齢や体力的に、いやいや現実的に最も資金に限りがあって。住み移ることにはどん底を覚悟した。仕事もある成人した息子には移住計画の一員からは離脱すると断られ。突然東京に実家なくなるよという迷惑かけた。気の合う家人とは人生のなかで一番よく揉めた。道がないのだから当たり前。その代わり30年以上分話をしたなあ。人生一回限りどうにでもなれ!的な感覚。これは今でもそう。
ここにはきれいごとは書かない。先の見えない迷い歩きは悔やむものか。学びや褒美があるのではないかと信じているが、今でも問題や不安はいっぱい。ただ、ここには知らない明日がたくさんある。これは正直に言っておく。
ハッシュタグ#道草をつけてつぶやいた最初の日記から3年が経過した。
3年記念日なので、現在の工房づくり#道草をひとつ掲載。
ハーフセルフビルド2年目は工房づくり。久しぶりに道具をダンボールから出したら錆びかけた物もあったが気分が晴れた。
— tamamiazuma 🫕 cocciorino (土鍋コッチョリーノ) (@cocciorino) February 6, 2025
暮らしと仕事の隔たりをなくす空間をつくりたい。生きる時間には限りがあるからこそどちらも大切に楽しみたい。#工房計画5 pic.twitter.com/Cq53Pz0Ibb
さてここからの日記は、約2年前のタイムトリップに戻ります。
縄張り
建築用語「縄張り」ではあるが、自分のテリトリーなんだと実感できる作業。動物の気持ちがわかる。
ハーフセルフビルド形式といったら良いのだろうか、図面や構造計算などは建築士、基礎は木造大工や左官屋にやってもらい、屋根は屋根屋、電気配線は電気屋などプロが担当。
それ以外、天井裏の断熱施工、外壁や外構、床や間取りの仕切り、収納設備など内装全般は自分たちで作業するわけで、足場を組んだまま受け渡される。水回りなどの設備も自分たち。工房の設備ももちろん自分たち。縄張りで喜んではいられない。
まだ設計図もなかったが、玄関や工房の方角、特に水回りの位置を決めないといけなかった。下水マンホールにできるだけ近づけようとか、ベンチマーク(高さの基準点)を決定して、どのくらいの傾斜があって浄水や下水の流れがスムーズにいくのかなど、シビアで大切な計測だった。建物のグランドレベルも、実際に測ってみると、森というものは平らに見えてけっこうな勾配がある。
縄張りで現実味を帯びたが、理想に執着していては完成しないとも知った。
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建築士と縄張りをしてきた。
文字通り縄をはり高低差を測る。
森を整え土を知る。
おとなの学習、おとなの遊びがどんなに肥やしになっていることか。道草ってまさにコレ
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旬だから生ホタルイカ。
目玉袋ごとメダマを取って、ひっくり返して足のあいだからクチをつまみ取り、ナンコツを抜く。もともと骨なしさんを骨抜きにしちゃうのだけど、小さくても大事な命は大事にいただく。ぐらぐらしない70℃くらいのお湯でさっと茹でれば春の海のごちそう。
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天ぷら衣をまとったくらい着込んで寒い夜の天ぷら最高。その容姿やら真剣さにに笑える道草の途中。おいしくて泣きそう。鹿も天ぷらぷら子を追いかけてきました。
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どんぶり代わりに使える土鍋。つゆだくだく牛めし。
紅しょうがは海色ミニ土鍋にたっぷり控えてます。
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名もない池にも春があったからとても勇気が出ました。わたしにも春はくる。
もちろん厳しい冬もくる。美しさに名はない。
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ノカンゾウの群生地が広がっていた。今夜たべるぶんだけ。もっとは明日をつまらなくする。そこに咲く花がみたいから暮らしも仕事も欲をはらなくなった。