クリエーターとしての美容師の目のつけどころ
お客様か髪形を選ぶときに見ている所
「髪を切ろうかな」
と思うとき、
SNSを参考にして髪形を選ぶことが多いと思いますが、ほんの5.6年ぐらい前までは、紙の雑誌のヘアカタログから選ぶことが主流でした。
そして不思議なことに、ヘアカタログに掲載された沢山の髪形の中で、
お客様に支持され選ばれるのは、決まって同じ数名のモデルさん達でした。
これは、
どのヘアカタログに変わっても同じような現象が起きていました。
そして、
そのモデルさん達はみな顔立ちがよかったのです!
人は生まれながらにして、
人の顔や表情にパッと目がいくような視覚システムがあって、
これは脳がボトムアップ型の処理をしているようです。
そして、
顔の「美的評定」は人によるバラつきが少ないようで…
つまり、
自分が美しく見える顔は「誰にとっても美しい顔に見える」可能性が高いということのようです。
美しく見える顔のモデルの髪形…
その髪形が選ばれやすいのも納得できる感じがします。
ということは、
髪形を選ぶときにモデルの顔が映り込んでいるときは、
まず初めに自然と美しく見える顔のモデルを選び、
その次の段階で髪形へと注視していくといった流れになることが多いのかなと思います。
美容師が観ているところ
クリエーターでもある美容師が髪形の画像を観るときは、
顔の美しさへの関心は意識的に脇に置いて、
髪のかたちに意識を集中させています。
個人的には、
画像のかたちに集中しているときのアタマの中は、
幾何学的にかたちを測定する時に使うランドマーク法を頼りにしています。
髪形の全体と
輪郭線上にある
人目を引くような目立つ箇所や
かたちとして抑えたい箇所に
目視でランドマークを置き、
点と点の間の距離や、奥行き、横幅、高さなどの特徴を観察しながら
立体像を想像していくといった
トップダウン型の処理をしています。
まとめ
同じ髪形の画像でも、
お客様と美容師とでは見ているところに違いがあります。
お客様が髪形を見るときは、
モデルの顔や表情も含んだ上での髪形の評価となっていることが多いように感じます。
一方の美容師は、
モデルの顔の美的評定は意識的に抑えて、髪形の全体や特徴となる部分を数理的な要素を加えて観ています。
実際に脳は、数理的な要素に美を感じることがあるようなのです。
クリエーターでもある美容師は
「美の感覚が数理と結びついている」ことを自然と理解していて、
この「美の数理的感覚」をともなって髪形を「観る」「とらえる」ことをしています。