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2024年2月12日 トークセッション「トップで居続けるために〜トップアスリートのメンタルから学ぶ」 レポート

 2024年2月12日、われわれPAS心理教育研究所は「トップで居続けるために―アスリートのメンタルから学ぶ―」というトークイベントを開催しました。
 このイベントは、PASで長年学んだ経験をもとに開業され、今なおPASで学び続けている臨床心理士の武野顕吾先生が「自分を壊す勇気ー仕事の質を上げる臨床心理学の41のヒントー」(株式会社ユーキャン学び出版部)という本を出版したことを記念して開催されました。
 第一部のみ、オンラインでの当日配信と見逃し配信も行いましたが、それも見逃してしまったみなさんにも、イベント当日の熱とエッセンスをお伝えしたく、レポートします。

トップを目指す人のメンタルとは

 スポーツだけでなく、ビジネス、研究、専門職、トップを目指す人なら誰もが、他人の何倍もの努力をしています。
 そのような中で、トップになれるかどうかを大きく左右するのはメンタルです。
 また、トップを一度は取ることはできても、それを維持し続けるのは一層難しいことです。
 勝ち続けることを可能にする、一段強いメンタルが必要になります。

 巷では、「平常心」や「ルーティン」、「リラクゼーション」、「イメージトレーニング」、「サイキングアップ」などが流行っています。
 たしかに、発揮できる力を100%に近づけていくのには役立つでしょう。
 しかし、自分よりも強い相手に挑み、そして勝ち抜く、ここ一番の大勝負においては、それらだけでは勝てません。
 勝負師は、いつもの 120%、200%の力を発揮できるメンタルを持っています。

 そのメンタルは、才能や生まれつきのものと思っていませんか?
 ーーー答えは、否。
 メンタルは鍛え、育てることが可能です。

 今回のトークイベントは、いつもの 120%、200%の力を発揮できるメンタルはどのように鍛えることができるのか、その道に通じた心理士が語り合うイベントでした。
 それは、トップアスリートだけではなく、ビジネス、芸術など、様々な領域でトップを目指す方に役立つものだった、と言うことができます。

 トークイベントは3部構成で行われました。

第一部 トークライブ

 第一部は、出版記念トークライブ「自分を壊す勇気−仕事の質を上げる臨床心理学の41のヒントー」と題して、著者の武野先生(臨床心理士)と、本の編集を務められた臼杵秀之氏(株式会社ユーキャン 学び出版部)のトークライブを行いました。

身振りを交えて語る武野顕吾先生(左奥)と、臼杵秀之氏(右隣)

 このトークライブの目的は、登壇者お二人のトークによって、本のタイトル「自分を壊す勇気」にある「自分を壊す」ことのエッセンスを、皆さんにお伝えすることにありました。「この本を出版しようと思った経緯、株式会社ユーキャンが出版しようとした経緯」、「編集の作業をしながらどんな面白さを感じたのか」、「自分を壊すということは、単なる自己破壊とはどう違うのか」といったことを、本の出版過程のエピソードや秘話、ジョークなどを交えながら楽しく語っていただきました。
 「自分を壊す」ことについて、著者の武野先生から「いい結果でも、次の戦いの際にはそれを一度捨てる必要がある」こと、「過去の固まった自分を壊す目的と意味」、「壁があることの大事さ」などが語られました。

第二部 トークセッション

 続いて行われた第二部は、トークセッション「トップで居続けるために必要なメンタル」と題し、武野先生と、PAS心理教育研究所セラピストの中村有希と花井俊紀、日頃トップアスリートとの仕事を実際に行っている臨床心理士3名がトークセッションを行いました。

武野先生(左)、花井セラピスト(中央)、中村セラピスト(右)

 「トップで居続けるために」ということで浮かんだことを登壇者の3人が自由に話す形でセッションは始まりました。
 花井セラピストから昇り龍の連想が言葉にされ、天井を置かず、どんどん登り続けて行くことがトップに必要なメンタルであると語られました。
 中村セラピストは、野球WBCの決勝戦の前に大谷選手が「憧れるのをやめましょう」と言ったことを連想し、憧れが甘えになること、挑み続けることの大事さを語られました。
 武野先生は、トップに共通した問題として、孤独であることを挙げられ、その孤独とどう向き合っていくか、孤独で居続けられるメンタルの重要性を語られました。

 勝つこと、負けることについて、次のようなことが語られました。
 トップにとって、負けることはその瞬間死ぬことを意味し、その死にOKを出す、つまりは負けを認めることがなかなか難しいこと。負けを認める時に攻撃性が欠かせないこと。
 勝つという目的さえ失わなければ、死を認めてもまた生まれ変わって次の戦いに望めること、そしてその時にノイズ0の状態になれること。
 負けを認めず引きずっている状態は、うつの状態であること。

 勝つという目的をいつも持ち続けなければならないという意見と、勝つこと以上にその道を極めるというような目的もあり、勝ちにこだわりすぎると、その大きな目的を見失ってしまう、という意見とがぶつかる、白熱した議論が起きる時間もありました。
 勝つという目的を置くことで白熱した議論が起きたように、アグレッシブさが出てくることに意味があるという意見もありました。

第3部 交流会

 第3部は軽食とワインやお茶を楽しみながらの交流会でした。
 登壇者と参加者が、それぞれ第1部、第2部で刺激を受けて高まった熱を交換するが如く、熱気に溢れた交流会となりました。

第2部 会場後方より

参加者からの感想

 当日参加された方から、とてもうれしいおたよりをいただきましたので、ご紹介させていただきます。

 弓道をやっており、自分の弱点を克服するべくスポーツ関連のメンタルトレーニングに興味を持ち始めた時期に、タイミング良く友人に声をかけてもらい、当イベントに参加しました。
 会場となっていたPAS心理教育研究所がとても素敵な一軒家だったので、緑豊かな海外のお宅にお邪魔しているような癒しの空間で、会議室のような会場と違い、リラックスして参加することができました。

 変えることが怖く今まで通りの練習方法を選んだ上、過去調子が良かった時の自分を再現することに囚われ、まさに「トレースの罠」にハマって昇段審査に落ちたばかりだったので、武野先生のお話はどれも私に響くものばかりでした。
 武野先生の著書は後日拝読したのですが、当日は本の内容から更に広がったお話が伺うことができました。また、最後の交流会では、中村先生に時間についてのひとつの考え方のお話を伺い、『過去』と『今、この状況』を上手く切り替えられるようになったきっかけになり、トークセッションへの参加はとても有意義な時間になりました。

 ただ残念だったのが、当日書籍販売もあると思い込んで事前に本を購入していなかったため、武野先生に直接サインを頂けなかったので(後日ちゃんと頂く事ができました!)、出版記念イベントの際は、私のようなうっかり者のために数冊でも当日販売をご準備頂けると幸いです。
 今後の企画も楽しみにしております。

当日参加者(40代女性)

 ちなみにこの方、イベントから約2ヶ月後の昇段審査には見事合格されました!おめでとうございます!!
 なお、今回は出版社のイベントではなかったため、当日の書籍販売はご用意できませんでした。あらかじめお知らせしておくべきでした、すみません。

まとめ

 心理相談、心理療法・カウンセリングがまだまだメンタルを病んだ人や問題を抱えた人のためにあるというイメージが強い中、今回のイベントでは、より自分を高めたり、創造的になるために心理療法を使うことができるという可能性をお伝えできたかと思います。
 「トップで居続ける」というテーマにある厳しさと、その厳しさの中に身を置くことで得られる面白さがあります。
 自分を高めていきたい方、PASがあります。
 PAS(パス)心理教育研究所は、だれもが利用できる心理相談(心理療法・カウンセリングなど)の専門機関です。どうぞ「PAS(パス)」と気軽に呼んで、親しんで、このようなイベントにもぜひご参加ください。

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