この作品を見逃していない? ケヴィン・コスナー主演『イエローストーン』の濃密な人間ドラマに震える!
話題になっていたのは知っているけど、なかなか視聴するきっかけがなかった。そんな作品も多いことだろう。ひょっとしたら海外ドラマ『イエローストーン』もその中のひとつではないだろうか?
2018年から米パラマウント ネットワークで放送を開始した同作は、アメリカの西部モンタナ州にあるイエローストーン牧場を舞台にしたネオウェスタン。ケヴィン・コスナー演じる主人公ジョン・ダットン一家の葛藤と、先住民や開発業者との土地をめぐる壮絶な争いを描いていく。全米視聴率No.1に輝き、ゴールデングローブ賞も獲得と、その面白さは折り紙付きなので、まだ観ていない人は安心してスタートしてほしい。
あらすじは、このとおり。モンタナ州にあるイエローストーン国立公園に隣接する大牧場を保有するジョン・ダットンは、牧場付近に分譲住宅地の開発を計画する開発業者“パラダイス・バレー開発”と対立。一方、先住民居留地の首長・トーマスは、入植者たちに奪われた先祖代々の土地を再び先住民のものにしようと野心を燃やすなか、居留地にジョンの牧場の牛が入ったことをきっかけに、争いへと発展していく……。
この作品の大きな魅力は、圧倒的なスケール感。物語の随所に差し込まれる広大な牧場や雄大な山々、広がる荒野といった風景は、観る者の郷愁を誘い、作品世界へと引き込んでいく。大自然の中をケヴィン・コスナーが複数のカウボーイとともに馬を走らせるシーンなどは、まさに壮大で迫力満点。
こう書くと、どこかのんびりとした雰囲気の物語を想像してしまうかもしれない。しかし、描かれるのは心に傷を抱えた家族たちのぶつかり合いと、土地や利権を奪うために手段を選ばない面々による裏切りと陰謀のストーリー。その中心となるダットン一家は、シリーズを重ねるごとにさまざまなトラブルに見舞われていく。ジョンは、大規模な牧場を経営する牧場主。妻に先立たれ、孤独な中で、家族と土地を守るためにだけに心血を注いでいる昔気質の男。家族や牧場で働くカウボーイの間だけでなく、町においても絶対的存在だ。それゆえに、周囲から反感や反発を招くことも多く、彼の保守的な考えと“時代の流れ”のズレが物語の核となっている。
ジョンには、牧場で働く長男リー、弁護士の次男ジェイミー、投資銀行で働く長女ベス、元兵士で先住民の女性と結婚した三男ケイシーの4人の子どもがいる。しかしシーズン1の初回で、牧場の跡取りとされていたリーが銃撃戦で命を落としてしまう。これが一家にとっての悲劇のはじまりで、シリーズの後半ではそれぞれが命を狙われるなど窮地へと陥っていく。
家族が危険な目に遭う原因は、もちろん広大な土地。それを手に入れようとするライバルや敵が絶えず攻撃を仕掛けてくるため、ダットン一家も手段を選ばずカウボーイらとともに反撃をしていく。キャラクターたちの複雑な関係や成長、そして葛藤を通じて、人間の本質や家族の絆について考えさせられるのも本作の魅力のひとつだ。
『イエローストーン』は本国アメリカで、シーズン5の前編まで放送済み。この秋、最終章となるシーズン5後編が放送される予定で、日本ではシーズン4までU-NEXTで視聴可能。ちなみに一時はシーズン7まで製作されるとの話もあったが、製作総指揮と主演を兼ねるケヴィン・コスナーと製作陣が撮影スケジュールで対立。残念ながらシーズン5での打ち切りとなったようだ。
ただし本シリーズの人気は根強く、サム・エリオット主演で19世紀後半を舞台にした『1883』、ハリソン・フォード主演で大恐慌時代のダットン家を描く『1923』が作られていて、こちらもU-NEXTで配信中。ダットン家の原点がわかるだけでなく、西部劇の面白さも味わえるので是非こちらもチェックしてほしい。また新たに2本のスピンオフ『2024(原題)』と『1944(原題)』の製作も発表済み。『2024』は『イエローストーン』のその後を描く作品で、『1944』は『イエローストーン』の前日譚となり、『1883』と『1923』から続くダットン家の物語になるようだ。米DEADLINEによると『2024』にはマシュー・マコノヒーの出演が噂されているという。
シーズン4まであると「長い!」と思ってしまうだろうが、実は1シーズン9話や10話構成とコンパクト。週末のイッキ見も可能なので、興味を持ったら是非鑑賞してみてほしい。
『イエローストーン』配信中
シーズン1/全9話、シーズン2/全10話、シーズン3/全10話、シーズン4/全10話 配信/U-NEXT
製作総指揮/ジョン・リンソン、アート・リンソン、テイラー・シェリダン、ケヴィン・コスナー、デヴィッド・C・グラッサー、ボブ・ヤリ、スティーブン・ケイ 出演/ケヴィン・コスナー、ルーク・グライムス、ケリー・ライリー、ウェス・ベントリー、コール・ハウザー、ケルシー・チャウ、ギル・バーミンガム
photo by AFLO