恐ろしくて面白い! 韓国バイオレンス映画5選!
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『悪魔を見た』
悪魔はいったいどっちのこと!?
妊娠中の女性が、中年のサイコパス、ギョンチョルに惨殺された。女性の婚約者だった国家情報院捜査官のスヒョンは激しい怒りを胸に抱き復讐を開始。捕まえたギョンチョルを痛めつけたスヒョンは彼を警察に引き渡さず、GPS装置入りのカプセルを飲ませて解放した。地獄の責め苦を体験させるために……。しかしGPSの存在を知ったギョンチョルは下剤でそれを排出し、スヒョンに逆襲すべく凶悪犯罪を積み重ねていく。
イ・ビョンホンとチェ・ミンシクという韓国映画界の大物スターが競演する衝撃作。後者がふんする良心の欠片もない犯罪者も強烈だが、後者が演じた復讐の鬼も凄まじい。敵の腕を折り、アキレス腱を切り、決して殺さず徹底的に苦痛をあたえ続けるのだから恐ろしい。血糊の量も圧倒的で、ショッキング。タイトルの“悪魔”とは、どっちのこと!? そんなことを考えながら観るもの一興。
『チェイサー』
元警官の鬼気迫る暴れっぷり!
デリヘル店を経営する元警官ジュンホは店の女の子が相次いで失踪している件を調べるうちに、ヨンミンという若い男の存在に行き着く。ヨンミンの正体はシリアルキラーで、性的不能によるいらだちから犯行を重ねていた。彼は警察に連行されるが勾留は12時間で、それまでに証拠が出なければ釈放されることをヨンミンは知っていた。一方、ジュンホは被害に合いかけたデリヘル嬢の生存を信じ、その行方を探るが……。
ソウルを震撼させた連続殺人事件の実話に発想を得て、『哭声 コクソン』のナ・ホンジン監督が生み出したサスペンススリラー。金槌とノミを殺害道具とするヨンミンの暴行はその異常性に裏打ちされて、強い印象を残す。怒りに震えるジュンホの暴れっぷりも見どころ。ジュンホ役のキム・ユンソクが体現する暴力の無常、ヨンミンに扮したハ・ジョンウの怪演に打ちのめされる。
『最後まで行く』
生々しい迫力にあふれた格闘戦!
刑事ゴンスは母の葬儀に向かう途中、人を轢いてしまう。死体を持ち去り、母の棺桶に入れて一緒に埋めてしまおうとする。ところが、これを見ていたという謎の人物に脅迫されることに。この人物はパクという警部補で、横領や違法風俗店の経営などの悪事に手を染めていた。死体を引き渡すという彼の要求に応じて、ゴンスは墓を掘り返す。だが、その死体を調べたとき、意外な事実が発覚する……。
中国やフランスに加え、日本でも岡田准一の主演でリメイクされたクライムストーリーの傑作。ゴンスとパクの壮絶な攻防が軸となっており、奪われたある物を取り戻するためなら同僚も殺すパクの強引さと、必死に抵抗するゴンスのせめぎ合いが緊張を高める。両者の格闘は生々しい迫力にあふれ、手に汗握ること必至。『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュンによるゴンス役の人間臭い妙演も光る。
『The Witch 魔女』
か弱い少女が殺人マシンに!
記憶を失った状態で、農場を営む夫婦に拾われた幼い少女。ジャユンと名付けられ、彼らの娘として育った彼女は家計を助けるため、テレビのオーディション番組に出演し、念動力を披露する。ところが、これを見た謎の組織が彼女を追跡。ジャユンの正体は遺伝子操作によって生み出された人造人間だった。組織は武装集団を送り込み、両親や友人を人質にとって投降を迫るが、そのときジャユンの能力がフルに覚醒し……。
本国で大ヒットを飛ばし、続編『The Witch/魔女 増殖』も製作されたサイキックスリラー。物語が進むほど意外な事実が発覚していく展開はもちろん、アクションもスリリングで目が離せない。武装一味をたったひとりでなぎ倒し、ナイフ使いも鮮やかに敵を仕留めていくジャユンの暴れっぷりが痛快。虫も殺せないような少女から殺人マシンへと変わる主人公を演じた、キム・ダミの熱演に注目!
『罠』
邪悪なマ・ドンソクが凄い!
妻の流産以来、性交渉を持てなくなり関係がぎくしゃくしてしまった夫婦が現状を打開しようと、離島へと旅に出た。そこにある食堂はどんな機能不全も治せるとか。店主ソンチョルの押しの強さにとまどいながらも、夫婦はそこに滞在するハメに。料理も酒も確かに美味しいが、時に乱暴なソンチョルや物言わぬその妻に不気味なものを覚えていく。やがて夫婦は、彼の凶暴な素顔を目の当たりにすることになる。
『犯罪都市』シリーズで今や韓国の国民的な俳優となったマ・ドンソクが、ブレイク以前にヴィランを演じたサイコサスペンス。彼扮するソンチョルが、とにかく恐ろしい。強引さと人懐っこさを使い分け、少しずつ威圧を強めていき他人を支配する、そんな横暴は、舞台が逃げ場のない離島だけに緊張感をあおる。後半には、邪魔者は次々と容赦なく惨殺するという邪悪さがあらわに!
文=相馬学 text:Manabu Souma
Photo by AFLO
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