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タンザニアサファリの周り方

タンザニアでのサファリツアーを探すと、セレンゲティ国立公園やンゴロンゴロ保全地域を含む北タンザニアの複数の公園を巡るプランが多く目につきます。

北タンザニアには、アフリカ大陸を南北に走る巨大な溝である大地溝帯と、その地殻変動によって生じた複数の火山を囲むように、個性豊かな国立公園と保全地域が隣接しています。

それらの公園の最も西に位置するのが、セレンゲティ国立公園で、アフリカ有数の動物生息数を誇ります。最寄りの国際空港、キリマンジャロ空港から拠点の街となるアルーシャを経て、最西端のセレンゲティまで行って戻る一連の旅路を、「ノースサーキット(North Circuit :北の回路)」と呼びます。これがタンザニアサファリの最もポピュラーなルートと言えます。

ノースサーキットの公園の巡る順番は、ツアーによって様々です。このルートはどのようにして企画されているのでしょうか

現地のツアー会社がプランすることもあれば、日本の旅行代理店の現地に詳しいツアーコンサルタントがプランすることもあります。

どのような順番で巡るかは、目的によって変わってきます。どんな考えでプランが練られているかを読み解いてみようと思います。



1. できるだけ多くの公園を巡ることを目的にしたプラン

世界中の観光地でこの考え方が取り入れられていると思いますが、観光客は決まった予算と日数内で、最大限楽しむために、訪れる目的地が多い方が充実するのではないかと想像します。その期待に応えて作られたプランがこのタイプです。

【メリット】複数の公園を体験でき、景観の違いを楽しめる。安い。
【デメリット】移動が忙しくて、動物を観る時間が限られる。

例えば、3日間のツアーで3箇所巡るツアーは、刺激的でおもしろいように感じます。実際、目まぐるしいほど刺激的でしょう。ただ、その刺激が楽しいかどうかはわかりません。3日間の内、移動が占める割合が多く感じられると思います。

特に3日間のツアーでセレンゲティ1泊というプランは格安ツアーに多いですが、セレンゲティの醍醐味を味わえずに終えるでしょう。かくいう私の初めてのサファリツアーが、セレンゲティ1泊→ンゴロンゴロ1泊の野営キャンプツアーでした。その時の経験から、サファリは工夫次第でもっとおもしろくなるはずだと確信し、旅程作りに力を入れるようになりました。


2. より多くの動物が見られることを目的にしたプラン

同じ日数でもより多くの動物(特に目当ての動物)が見られるようにするには、必然的にセレンゲティに2泊以上宿泊するプランになります。巡る公園の数と時間配分は、全体の日数やお客様のサファリ経験によって異なります。

例えば、サファリに使える日数が合計で4泊の場合、かつ、ノースサーキット経験が2回以上のお客様の場合は、私なら4泊すべてセレンゲティを提案します。

さらに同じセレンゲティでも、ヌーの大群のなるべく近い場所に滞在するのが鉄則です。セレンゲティは広大で、日本の四国の面積の8割に匹敵する広さがあります。香川に泊まるのか、愛媛に泊まるのか、高知に泊まるのか、徳島に泊まるのかで、見られるものが変わってくると考えれば、イメージしやすいかもしません。

【メリット】Big5、大型猫科、珍しい動物など、バラエティ豊かな動物に会えるチャンスが増える
【デメリット】景観は変わり映えせず、飽きてくる可能性もある

とにかく動物が大好きな方向けのプランです。


3. 流れを重視したプラン

広大さ、動物の迫力、生物多様性ともに圧倒的なセレンゲティ国立公園が観光客に最も好まれます。ここでの体験がクライマックスになるよう、訪れる公園の順番が考えられたプランがあります。

例えば、甘さの異なる2つのお菓子があった場合、甘味の強いお菓子を先に食べてしまうと、もう一方のお菓子の甘味が半減して感じられるということがあると思います。

サファリも同じように、圧倒される感動や驚きの強さは、先に弱いものから強いものへと流れていった方が、最大限、それぞれの魅力を潰すことなく満喫できると思います。

【メリット】多様な景観や動物の生態を見ることができ、感動が最後まで薄れず、後味のよいサファリができる
【デメリット】訪れることのできる公園の数は、1番に比べ少なくなる

私は、この点を最も念頭に置いてプランをします。お客様のご要望やご経験などによって、必ずしも同じ行程になるとは限りません。その方にあった最高の流れ(ストーリー)を考えることは、オーダーメイドで作るプランの醍醐味とも言えます。


4. ロッジありきのプラン

サファリロッジの中には、非常にユニークなインテリア、世界観、サービス、立地、建築等のものがあり、そこに滞在することがサファリの目的という考え方もあります。

そのようなロッジの多くは、富裕層をターゲットにした高級なクラスで、最低宿泊日数が決められているところもあります。例えば、2泊以上、3泊以上でないと予約ができないというものです。

このようなところは、他のロッジに宿泊することが想定されていなかったり、同じチェーンで連泊することになっていたりします。

また、一年中移動し続けるヌーの大群の近くでは、大型猫科の動物も目撃しやすくなるため、同じ金額であればヌーの大群が移動してくるだろうと予測されるエリアのロッジを通常は選びます。しかし、特定の高級ロッジに宿泊することが目的となっている場合、周囲に多くの動物がいる・いないは、二の次になることがあります。

【メリット】憧れのロッジ滞在が楽しめる
【デメリット】季節外れの立地になることもある


5. アクティビティ重視のプラン

ウォーキングサファリ、ハッザベ族のハンティングツアー、登山、バルーンサファリ、オルドバイ渓谷、野営キャンプなど、特定のアクティビティが最も楽しめるように作られる行程があります。

この考え方は、2番、3番の考え方と組み合わせて、ベストな旅程を組むことが可能です。

【メリット】アクティビティが最も楽しめるように工夫されている
【デメリット】ゲームドライブの時間が少なくなるので、動物観察の時間が削られる


6. 快適さ重視のプラン

お客様の体調や体力に合わせて、最も快適に無理なく過ごせるよう工夫するという考え方もあります。必然的に行程は全体的にゆったり組まれ、一日に移動する距離や時間は短くなります。希望があれば、軽飛行機での移動も入れることも可能です。快適さを優先した上で、より多くの動物が見られて、流れが適切で、希望のランクのロッジに宿泊するというプランを企画します。

【メリット】疲れや痛みを感じることなく、アフリカのサファリを楽しめる
【デメリット】通常よりお金がかかることもある


概ね以上のような考え方でサファリツアーの旅程は構成されています。

公園の名前と日数と料金だけでツアーを決めていませんか? はるばるアフリカまで旅行するなら、自分に合ったプランで最大限楽しみたいですよね。

ツアーを選ぶときにぜひ参考になさってみてください♪



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