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エッセイ+Live動画【Georgia on my mind】

この曲には、二つの思い出があります。
そのうちの一つを、今回は書きたいと思います。

バークレー音楽院に行っていた時の事です。
(アメリカのボストンにある学校に短期留学していました)

いろんな授業がある中、グループレッスンというのがあって、
一回のレッスンで、3人づつみんなの前で歌って、
お互いに批評し合う・・というものでした。

初めての日、私は聞き役だったのですが、3人目に歌ったBlackの
大柄な女の子の「サマータイム」を聞いてブッ飛んでしまいました。

やっぱり血が違うんだ・・としか言いようのない凄い迫力の声。
次の週は私の番が回ってく・・そう考えただけでユーウツでした。
何しろポリープの手術をして、1年半しかたっておらず、
歌に復帰して1年足らずだったのです。

一週間は、あっという間に過ぎ、私は何を歌うかも
決めてないまま、レッスンに出ていました。
次は私の番という時、全てがふっきれました。

うまく思われたいとか、カッコ悪いことしたくないとか、
考えるのはよそう。
もともと私には、一生懸命歌うって事しかないじゃないか

…と開き直ったのです。

その時選曲したのが、「Georgia on my mind」 でした。

たぶん声もひどいし、発音も悪いしで、あまりほめられた 
ものじゃなかったはずなのに、歌い終わったとき・・
みんな立ち上がって、大きな拍手をくれたのです。

例のサマータイムの女の子は、何と私を抱きしめて、
「Great!」 ・・とか、いろんなことを言ってくれました。
(あまりの事にボーッとなって、私の頭の翻訳機能が停止してました)

それからというもの、歌うたびに思い出すのが、
あの時の黒い女の子のがっしりとした腕と、
あの時胸に込み上げた「熱い思い」なのです。 

<エッセイを書いた日 1995/11/5>


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