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ヒマラヤ便り56号 太陽の移住「サンクランティ」

ナマステ!2023年3月15日は、ミーナ(双魚宮)サンクランティということで、本日は、太陽神スーリヤに捧げられる「サンクランティ」についてお便り致します!後述しますが、冬至、夏至、春分、秋分もサンクランティに関連があります。春分Vernal Equinoxは、2023年3月21日。

ヒンドゥ暦には、一年に12のサンクランティがあり、「マカール(磨羯宮)・サンクランティ」は宗教的意義により、すべてのサンクランティの中で最も重要です。スーリヤは地球上のすべての生き物に栄養を与える神様です。12回のサンクランティは、聖なる水域で沐浴をし、慈善活動を行います。世界最大の平和的集会クンブメーラも、アラーハーバードのトリヴェ二・サンガムでの沐浴はマカール・サンクランティに行われます。

サンクランティ太陽の移住 太陽の運行に注目し、黄道帯(太陽の軌道)を30°毎に12分割した一つのラーシから次のラーシに移動した瞬間をサンクランティといい、太陽月(ラーシ)の始まりを示します。ミーシャ(白羊宮)サンクランティが太陽新年です。
ウッタラヤーナ・サンクランティ マカラ(磨羯宮)、クンバ(宝瓶宮)、ミーナ(双魚宮)、ミーシャ(白羊宮)、ヴリシャバ(金牛宮)、ミトゥナ(双児宮)
ダクシナヤーナ・サンクランティ カルカ(巨蟹宮)、シンハ(獅子宮)、カニャ(処女宮)、トゥーラ(天秤宮)、ヴリシュチカ(天羯宮)、ダヌ(人馬宮)

ウッタラヤーナは、サンスクリット語ウッタラ(北)とアヤナ(動き)に由来し、天球上の太陽の北側の動きを示し、ダクシナヤーナは、ダクシナ(南)とアヤナ(動き)で太陽の南側の動きを示します。
ウッタラヤーナ・サンクランティ、ダクシナヤーナ・サンクランティは、
概念的には、冬至Winter Solstice と夏至Summer Solsticeに相当しますが、これらのサンクランティは歳差運動(自転している物体の回転軸が円を描くように振れる現象)のために季節至点と一致しません。(数千年後には再び季節至点と一致します。)

サンクランティ 太陽の移住

サンクランティの日は、主にスーリヤに捧げられ、スーリヤを崇拝する重要な日です。ヒンドゥにとって、1年に12回あるサンクランティの中でマカール・サンクランティが宗教的意義によって最も重要です。スーリヤがラーシ間の境界線を通過する12回のサンクランティは、聖なる水域で沐浴をし、慈善活動を行います。スーリヤがダクシナヤーナ(南の動き)の6ラーシから、ウッタラヤーナ(北の動き)のラーシに移行した初日であるマカール・サンクランティが最も縁起の良い日とみなされています。

サイデリアル方式とトロピカル方式

恒星 自ら光を発する天体。古典的定義では、夜空に輝く星の内、地球から見た見かけの相対位置が比較的少ない星のこと。英語ではFixed Star=固定された星。地球から一番近い恒星は、太陽系唯一の恒星である太陽。

占星術には、サイデリアル方式とトロピカル方式の2種類の天体座標があり、ヴェーダ占星術では伝統的にサイデリアル方式の座標を使用しています。
ヴェーダ占星術は、サイデリアル方式をニル・アヤナといい、ニル=~ない。アヤナ=動きという意味です。地球の歳差運動(自転軸が円を描くように振れる現象)を考慮した方式で、30°毎の領域を持つ黄道12宮は、恒星の位置で決定され、現実の星座とほぼ一致した状態で固定されています。研究者毎に、どの恒星を基準にするかで異なる説があり、統一した座標を持ちません。
西洋占星術は、トロピカル方式(サ・アヤナ)といい、黄道12星座は、現実の星座と関係なく黄道上の区分であると考えます。座標を春分点にとり、30°ずつ12分割します。つまり、春分点を牡羊座0°とします。現実の星座は、春分点に魚座が位置するため、12宮と12星座は、おおよそ1星座ずれています。

アヤナムシャ

アヤナ=動き、アマシャ=成分、要素という意味で、ヴェーダ起源の歳差修正システムのことをアヤナムシャといいます。つまり、サイデリアル方式とトロピカル方式の2種類の天体座標に生じる角度差のことです。
トロピカル方式(サ・アヤナ)では、毎年わずかに移動している春分点を牡羊座0°に設定し、サイデリアル方式(ニル・アヤナ)では、恒星の位置を基準とするため、実際の星座の位置が反映されます。春分点は、72年で1°ずつ動いているので、両方式の間で24°のずれが生じます。
また、歳差運動は、一年で8分ほど差が拡大しています。
トロピカル方式で使用する度数から、アヤナムシャをマイナスするとサイデリアル方式の度数が得られます。
一番多く使用されているアヤナムシャは、インド暦制定委員のラヒリのアヤナムシャで、チトラ・パクシャといい、チトラはナクシャトラ(白道27宿)の恒星でスピカ(乙女座)のことです。黄道12宮に割り当てると、カニャ(乙女座)23°20’からトゥーラ(天秤座)6°40’になります。ラヒリのアヤナムシャであるチトラ・パクシャは、天秤座0°を基準として計算されます。
トロピカル方式をサイデリアル方式に換算することで、ヴェーダ占星術のホロスコープ(クンダリ)を書くことができるため、西洋占星術では使用しないナクシャトラを算出することが出来ます。

ウッタラヤーナとダクシナヤーナ

ウッタラヤーナ・サンクランティは、太陽が北半球に移動する6ヶ月間の初日、ダクシナヤーナ・サンクランティは、太陽が南半球に移動する6か月間の初日のことです。概念的には冬至と夏至にあたりますが、ヴェーダ時代からの現代までの地球の歳差運動によって不正確になりました。
現代、太陽は、ウッタラヤーナの始まりであるマカール・サンクランティ(マカラ=磨羯宮への移動)の約24日前に北半球に移動し始めます。マカール・サンクランティは、グレゴリオ暦の1/14または1/15に発生し、南半球から北半球への太陽の移動である冬至は、12/21または12/22に発生します。
同様に、太陽は、ダクシナヤーナの始まりであるカルカ・サンクランティ(カルカ=巨蟹宮)の約24日前に南半球に移動し始めます。カルカ・サンクランティは、7/15または7/16に発生し、北半球から南半球への太陽の移動である夏至は6/21または6/22に発生します。

ヴェーダ占星術は、この事実を認識していますが、星の正しい位置を示すために歳差を考慮する必要があるため修正を行いません。星の正しい配置はヒンドゥ暦の基礎であり、修正を行うとヴェーダ占星術(恒星占星術)の概念全体が無効になってしまうためです。

冬至をトロピカル・ウッタラヤーナ、夏至をトロピカル・ダクシナヤーナと呼び、区別します。マカール・サンクランティの間、太陽はヴェーダ時代から現代までの概念である背景の恒星と一致しますが、冬至(トロピカル・ウッタラヤーナ)の時、太陽は背景の恒星と一致しません。従って、ヒンドゥ暦では季節を尊重するよりも、マカール・サンクランティを含むすべてのサンクランティの日を示すために、背景の恒星に対する太陽の位置を維持しています。

ヒンドゥ暦では、現在もヴェーダに従った正しい日にマカール・サンクランティ(ウッタラヤーナ・サンクランティ)を祝いますが、ウッタラヤーナという言葉は、時と共に誤解され、ほとんどのヒンディは、宗教活動において冬至と夏至を無視することで、この事実を受け入れています。

マカール・サンクランティ     冬至トロピカル・ウッタラヤーナ
  2022年1月15日(土)      2022年12月22日(木)
       2023年1月15日(日)      2023年12月22日(金) 
  2024年1月15日(月)      2024年12月21日(土)
  2025年1月14日(火)      2025年12月22日(月)

カルカ・サンクランティ      夏至トロピカル・ダクシナヤーナ
  2022年7月16日(土)      2022年6月21日(火)
  2023年7月17日(月)      2023年6月22日(木)
  2024年7月16日(火)      2024年6月21日(金)
  2025年7月16日(水)      2025年6月21日(土)

アヤン・サンクランティ

マカラ(磨羯宮)とカルカ(巨蟹宮)のサンクランティは、アヤン・サンクランティに分類され、マカラの場合はサンクランティ後の40ガティ、カルカの場合はサンクランティ前の30ガティが、サンクランティに関するすべての儀式に縁起が良い。特に日の出後の1ガティとサンクランティ後の1ガティは非常に縁起が良い。

ガティ ガティはヒンドゥ暦の時間単位で、換算すると1ガティは、24分。
30ガティ=12時間、40ガティ=16時間、

ヴィシュヌパディ・サンクランティ

シンハ(獅子宮)クンバ(宝瓶宮)ヴリシャバ(金牛宮)ヴリシュチカ(天蠍宮)の4つのサンクランティは、ヴィシュヌパディ・サンクランティに分類され、サンクランティ(太陽が宮に入った瞬間)の前の16ガティが縁起が良い。16ガティ=6時間24分。

サンクランティ    2023年        2024年       2025年
シンハ(獅子宮)    8/17木      8/16金        8/17日 
クンバ(宝瓶宮)    2/13月    2/13火     2/13木
ヴリシャバ(金牛宮)  5/15月    5/14火     5/15木
ヴリシュチカ(天蠍宮)  11/17金          11/16土           11/16日

シャドシティムキ・サンクランティ

ミーナ(双魚宮)カニャ(処女宮)ミトゥナ(双児宮)ダヌ(人馬宮)の4つのサンクランティは、シャドシティムキ・サンクランティに分類され、サンクランティ後の16ガティが縁起が良い。16ガティ=6時間24分。

サンクランティ          2023年          2024年          2025年
ミーナ(双魚宮)              3/15水     3/14木    3/14金
カニャ(処女宮)      9/17日          9/16月       9/17水
ミトゥナ(双児宮)     6/15 木      6/15土     6/15日
ダヌ(人馬宮)                12/16土          12/16 月   12/16火

ヴィシュワ(サムパット)・サンクランティ

ミーシャ(白羊宮)とトゥーラ(天秤宮)の2つのサンクランティは、それぞれヴァサント(春)・サムパット、シャラド(秋)・サムパットとしても知られ、概念的に春分Vernal Equinoxと秋分Autumnal Equinoxに相当しますが、冬至、夏至と同様ヒンドゥ暦では歳差によって季節分から離れています。数千年後には一致します。これら2つのサンクランティは、サンクランティの前後15ガティが縁起が良い。15ガティ=6時間。

イクイノックス Equinox  春と秋の二回起こる天文学上のイベント。
地球の軸の傾きが太陽から遠ざかったり、近づいたりしない時に起こる。
イクイノックスの間、地球の太陽に対する傾きは0°で、昼と夜の長さがほぼ同じになる。春分Vernal Equinoxは、3/20または3/21、秋分Autumnal Equinoxは、9/22または9/23。3月は北半球では春分、南半球では秋分。9月は北半球では秋分、南半球では春分になる。
春分点と秋分点は、地球の赤道を天球に延長した「天の赤道」と太陽の通り道である「黄道」の交わる2つの点のことで、一つの交点を春分点、もう一方の交点を秋分点といいます。太陽が、その交点を通過する瞬間を春分、または秋分といいます。
ヒンドゥ暦では、ヴァサント・ヴィシュワ(サムパット)として知られるミーシャ(白羊宮)サンクランティが春分、シャラド・ヴィシュワ(サムパット)として知られるトゥーラ(天秤宮)サンクランティが秋分に相当するが、歳差により季節分から離れている。

ミーシャ・サンクランティ    春分
(ヴァサント・サムパット)    (ヴァーナル・イクイノックス)
2022年4月14日(木)        2022年3月21日(月)
2023年4月14日(金)        2023年3月21日(火)
2024年4月14日(日)        2024年3月20日(水)
2025年4月14日(月)        2025年3月20日(木)

トゥーラ・サンクランティ    秋分
(シャラド・サムパット)     (オータムナル・イクイノックス)
2022年10月17日(月)       2022年9月23日(金)
2023年10月18日(水)       2023年9月23日(土)
2024年10月17日(木)       2024年9月22日(日)
2025年10月17日(金)       2025年9月23日(火)

スーリヤ・シッダーンタ 

スーリヤ・シッダーンタは、ヤシの葉に書かれた写本で知られる4世紀後半から5世紀初頭のインド天文学のサンスクリット語の論文。(ナヴァグラハ9惑星の太陽神スーリヤは、四本の腕の一つにヤシの葉とペンを持って表されます。)このテキストは、太陰太陽暦の太陽年(ラーシ)の計算に影響を与えた。14章で構成され、星座、惑星の直径に対するさまざまな惑星と月の動きを計算するための規則を説明し、さまざまな天体の軌道を計算しています。太陽を地球や他の惑星が周回する静止した天体として扱い、地球の直径を8000マイル=12874.75km(実際には12742km)、月の直径を2400マイル=3862.426km(実際には3476.183km)、月と地球の距離を258,000マイル=415210.752km(現代では変化することが知られ、平均384.400km。近地点距離356.445km~370.354km。遠地点距離404.064km~406.712km。)

シッダーンタは、定説、理論、確立された教えなどの意味で、シッダーンタと総称される包括的天文学書は、天体の平均運動の計算起点としてカリ・ユガ暦元(ユリウス暦の紀元前3102年2月18日に相当。ゲレゴリオ暦を過去に適用すると紀元前3102年1月23日に相当。)を用います。

カリ・ユガ カリは対立、不和、争い、ユガは時代の意味。悪魔カリの時代。(悪魔カリは、インド神話の不運、不智の擬人化。悪鬼。)インド哲学において循環する4つのユガ(時代)の最後の段階。他にサティヤ・ユガ、トレーター・ユガ、ドヴァ―パラ・ユガがある。
 カリ・ユガは、クリシュナ(黒天)が地球を離れ、自身の住処に帰った日からはじまり、現在世界はカリ・ユガの中にあるとヒンドゥでは考えられる。(ドヴァ―パラ・ユガの始まりに近いと考える人もいる。)
 カリ・ユガは、43万2千年続く。カリ・ユガは、人間の文明によって人々が神から遠ざけられ、霊的な堕落を引き起こしていると考えられており、この時代は、人々の心は荒廃し、貧困、憎悪、狂気、悪疫など、あらゆる害悪が蔓延する。ヒンドゥでは、牡牛を道徳(法)の象徴とし、サティア・ユガは4本足で、時代毎に道徳を表す足が一本ずつ減っていく。カリ・ユガでは道徳が1本しかない。

カリ・ユガの特徴

マハーバーラタ(紀元前4世紀から紀元後4世紀に成立した叙事詩。)によるカリ・ユガの特徴。

・支配者は理性を欠くようになり、不公平に税金を徴収するようになる。
・支配者はもはや崇高であることや被統治者を保護することを義務と思わなくなり、世界にとって危険な存在になる。
・人々は、小麦や大麦が主食であるような地域を探し、そこに移住し始める。一方で彼らは自分たちの物を好んでいるので、そのために自分たちの生活を犠牲にする。
・七つの大罪(キリスト西方教会、カソリックにおける罪)や復讐が普通に行われる。人々は互いに強い憎しみをあからさまに示すようになる。
・法は忘れ去られていく。
・人々は、正当化できない殺人について考え始め、それが悪いことだと考えなくなる。
・性欲は社会的に容認されるものとみなされ、性行為こそが人生において最も必要なことであると考える。
・善意が衰えていき、犯罪が飛躍的に増加する。
・人々は、直後に破るためだけに誓いを立てる。
・人々は、酒と薬に溺れる。
・男は、仕事のストレスを感じ逃亡する。
・グルは尊敬されなくなり、弟子は痛めつけようと試みる。教えは侮辱され、カーマの信奉者は人間から心の制御を奪い取る。
・バラモンは、学ばれることも尊敬されることもなく、クシャトリアは勇敢ではなく、ヴァイシャは公平でなくなり、シュードラは正直でなくなり、義務や他のヴァルナ(階級)に対し謙虚でなくなる。

ゼロの概念

ブラ―マ・スプタ・シッダーンタ(宇宙の始まり)は、紀元後7世紀のインド数学者、天文学者ブラ―マグプタの西暦628年の著作。
数としての「0ゼロの概念」が、はっきりと書かれた現存する最古の書物。インドの他の著作と同じく、すべて韻文で書かれている。25章の内23章は天文学に、残りの2章はインド数学にあてられている。天文学の部分では、食の予測、惑星の位置の決定、月の満ち欠けなどに触れ、第12章は算術、第18章は代数について書かれている。

スーリヤのプロフィール

 天空神ディヤウス  アディティ(アディティヤ神族の母女神)
 サンジュニャー(ヴィシュヴァカルマンの娘)チャーヤ(サンジュニャーの影)、サラニュー(トヴァシュトリの娘)
 未婚の王女クンティとの間の息子カルナ。サンジュニャーとの間にアシュウィン2神=馬に関連する双子の神と、ヤマとヤミ=閻魔とヤムナー川の女神。チャーヤとの間にシャニ=土星神
兄弟 インドラ(帝釈天)、アグニ(火神)、ヴァーユ(風神)、ヴァルナ(水神)
関連神 アグニ(火神)、ウシャス(夜明けの女神)、プラシュチャ(女神)
ヴァーハナ 7頭の馬が引く勝利の戦車
 赤
ラトナ(宝石)ルビー
スワラ(音) ガ (D,D♭)
方角 東
数字 1
支配ラーシ シンハ(獅子宮)
高揚ラーシ ミーシャ(白羊宮)
減衰ラーシ トゥーラ(天秤宮)
領有ナクシャトラ
   クリティカ ・ ウッタラファルグニ・ウッタラアーシャーダ
ティティ(太陰日)サプタミ(7日目)
    スーリヤが全世界に啓発し始めたスーリヤの誕生日
曜日 ラヴィ ワラ(日曜日)
祭り マカール サンクランティ(太陽がマカラ=磨羯宮に入った時)
   ラタ サプタミ(マガ月 シュクラパクシャ サプタミ(7日目)
   この日の断食は、7種の罪(故意、無意識、言葉、体、心、現生、
   過去生の罪)が清められる。スーリヤを崇拝する儀式を行うことで
   長寿、健康、繁栄がもたらされる。)
   クンブ メーラ
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