ヒマラヤ便り33号 光の祭典 Diwali
ナマステ!ディワーリーは、サンスクリットで「光の列、一連の光」を意味するDipavali (Dipa 光る、輝く、照らす、知識 avali 列、一連、実践)に由来する、ヒンドゥで重要な宗教祭のひとつです。
収穫後の初秋、ヒンドゥ暦の最も暗い夜、朔(アマヴァスヤ)を頂点にした前後5日間で祝います。
北インドで採用されているプールニマンタ方式では、カールティッカ月(第8マーサ=太陰月)クリシュナパクシャ(黒分=望の翌日から朔までの15ティティ=太陰日)のトラヨダシ(13日目)から、シュクラパクシャ(白分=朔の翌日から望までの15ティティ=太陰日)のドウィティヤ(2日目)です。2023年11月11日から11月15日。2024年10月29日から11月3日。2025年10月18日から10月23日。
古代インドの収穫祭との融合であり、ディヤ(オイルランプ )は太陽の一部を象徴し、全ての生命に光のエネルギーを宇宙的に与えるものです。
精神的な「暗闇に対する光の勝利、無知に対する知識、悪に対する善、絶望に対する希望」を象徴しています。
サムドラマンタン(乳海攪拌)の時、ラクシュミ(吉祥天)が生まれ、神々と人類全体に恩恵が与えられました。ラクシュミは、維持と保護の神ヴィシュヌ(毘紐天)を選び結婚しました。ディワーリーでは、これを中心にした5日間に、関連したさまざまな神を崇拝し祝います。ラクシュミ(吉祥天) ガネーシャ(歓喜天) クベーラ(毘沙門天) ヤマラジ(閻魔王) ヤミー(ヤムナー川の女神) ハヌマーン(変幻自在の神猿) カーリー(迦利) サラスワティ(弁財天) クリシュナ(ヴィシュヌの化身である英雄神)などを崇めます。
ラクシュミを綺麗な家に迎え入れ、繁栄と幸福を願います。モンスーンによる雨の浄化を再現し、祖先への敬意を示します。家の掃除と改修をして、家の内外をディヤ(オイルランプ)やランゴーリー(色彩豊かな円形のアート)で飾りラクシュミを綺麗な家に迎え入れる準備から始まります。爆竹や花火で、悪霊や不吉なものを追い払います。
初日は、家の掃除や改修をし、ディヤやランゴーリーを施しラクシュミを迎え入れる準備をします。ダントラヨダシは、乳海が攪拌されラクシュミが生まれた日です。13日目を意味するトラヨダシは縁起の良い日とされ、富と財宝の神クベーラと共に崇拝します。トラヨダシに行われる別の儀式ヤマディーパムでは、家の裏側の南向きに、ごま油で満たしたディヤに火を灯します。これは死の王ヤマを喜ばせ、家族の早すぎる死を防ぐと言われています。
二日目は、地獄での苦しみから魂を解放します。祖先の魂に祈り、来世での旅の道を照らします。一部では、日の出前に入浴をします。浴室にディヤを灯して入浴すると美しさを高めると言われています。また、ラドゥ、バルフィ、カチョリス、シュリカンドなどのお菓子を買う日で、家族、親戚、友人を訪ね贈り物を交換します。カーリーチャウダス(黒い14)とも一致し、カーリーチャウダスの夜は精霊が歩き回ると信じられており、神猿ハヌマーンに精霊からの保護をお願いします。
最も暗い夜に祝われるラクシュミプジャーは、5日間のディワーリーの頂点です。一部地域ではカーリープジャーが行われます。朔(アマヴァスヤ)の夜、ディヤに火が灯る夕方になると新調した服や最高の服を着て(女性はサリーを着ます。)ラクシュミプジャーに集い、ガネーシャ、サラスワティ、ラーマ、クリシュナ、シーター、クベーラにも祈りが捧げられ、一部のディヤを川に流します。花火をして祝い、ごちそうとミタイ(スイーツ)を共有します。ディワーリーの夜の明かりと花火は先祖の魂へのお祝いも表します。
シュクラパクシャの初日である4日目は、夫婦の絆を儀式的にお祝いします。贈り物をしたり、両親は結婚した子供を家に招き一緒に食事をして祝います。シヴァとパールヴァティが12の正方形と30のコマでサイコロゲームをしたという伝説に由来するといわれています。パールヴァティが勝ち、シヴァは降伏し、服と装飾品をすべてパールヴァティに渡し、丸裸になった。という伝説は、男性性と女性性による世界の創造と解散の宇宙プロセスを表し、12の正方形は一年の月数を、30のコマは一月の日数を反映しています。
ゴヴァーダンプージャでは、インドラ(帝釈天)によって引き起こされる、絶え間ない雨や洪水から、ゴーヴァルダナ山を持ち上げて牛飼いや農家を救ったクリシュナの伝説を称えます。肥料になる牛糞の儀式的使用は、農業のモチーフであり、一年性作物のサイクルの重要性を祝うものです。
農業の象徴はアナクット(食物の山)としても表されます。様々な食材から作られた料理はクリシュナに捧げられ、その後共有します。寺院では、集まる人々のためにお菓子の山を準備します。
最終日である5日目は、兄弟、姉妹の絆を祝います。兄弟が姉妹に会うため行動します。ヤマ(閻魔)の妹ヤミーがティラカ(額に施す宗教的装飾)を施し、兄のヤマを歓迎したこと、また、クリシュナが、悪の象徴であるアスラの王ナラカスラを倒した後、妹スバドラを訪ねたことを象徴します。姉妹は、兄弟が長く幸せな人生を送れるようセレモニーを行い祈ります。兄弟は姉妹に贈り物をしたり、姉妹に会うための旅をしたり、季節の収穫の恵みと、兄弟、姉妹の絆を祝います。