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ヒマラヤ便り29号 Pitri Paksha先祖供養

ナマスカール!ヒンドゥは今、ピトリパクシャの時期です。 Pitr ピトルは、先祖を意味し、パクシャは、期間を意味します。日本の先祖供養、秋のお彼岸と同じ時期に同じ意味の行事があるのは興味深いですね。秋分は、昼と夜の時間が、ほぼ同じになる日。雨季から乾季のインドと、夏から秋の日本。どちらも重要なポイントのようで、そういった刻は、心鎮かに先祖を想って過ごすのが自然なのかもしれません。

ヒンドゥ暦では、月の満ち欠けを基準に、朔(アマヴァスヤ)の翌日から望(プルニマ)の15ティティ(太陰日)をシュクラパクシャ(白分)、望(プルニマ)の翌日から朔(アマヴァスヤ)の15ティティをクリシュナパクシャと呼び、計30ティティを1マーサ(太陰月)とします。

シュクラは、輝きや明るさを意味します。クリシュナは、濃い青や暗さを意味します。

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ピトリパクシャは、バドラパダ月の望の翌日(クリシュナパクシャ プラティパダ)から朔までの15日間です。ガネーシャチャトゥルティ(ガネーシャ生誕祭)はシュクラパクシャのチャトルダシに終わり、翌日の望(プルニマ)はプルニマシュラッダ(供養の儀式)を行い、その翌日にピトリパクシャが始まります。ピトリパクシャを締めくくるアマヴァシャは、サルヴァピトリ アマヴァスヤ(聖なる先祖の朔)と呼ばれ、ピトリパクシャで最も重要な日です。グレゴリオ暦に置き換えると、2021年は9月20日から10月6日です。2022年は9月11日から9月25日です。2023年は9月30日から10月14日です。2024年は、9月17日がプルニマシュラッダ で、 10月2日がサルヴァピトリアマヴァスヤ。 2025年は 、9月7日がプルニマシュラッダで、 9月21日がサルヴァピトルアマヴァスヤです。

シュラッダは、先祖供養の儀式で、命日のヒンドゥのティティに行います。
ヒンドゥでは、先祖の3世代の魂は、天と地の間の領域ピトリロカに住んでいるといい、この領域は死にゆく人の魂を地からピトリロカへ連れて行くヤマ(閻魔大王)によって統治されています。次の世代が亡くなると、ピトリロカにいる3世代前の魂は天界に移り、神と同化します。ピトリパクシャでは、ピトリロカに住む3世代のために儀式をし、供物を捧げます。この時も、ヤマ(閻魔)が重要な役割を果たします。ピトリパクシャの始まりに、スーリヤ(太陽)はカニャ ラーシ(処女宮)に入り、この瞬間に精霊はピトリロカを離れ、スーリヤ(太陽)がヴリシュチカ ラーシ(天蠍宮)に入り望になるまで子孫の家に住むといいます。この期間に先祖の魂を尊び敬い感謝するのです。

ガルーダプラーナによると、死者の魂は、死後13日たってヤマプリ(ヤマの都市)への旅を開始し、到達に17日かかります。魂は、さらに11ヶ月ヤマプリを旅し、12か月目にのみヤマラジの宮廷に到達します。魂は、11か月間食べ物、水をまったく摂取できません。息子と家族によって行われるターパン(水を捧げる儀式)は、ヤマラジの宮廷に到達するまでの間、魂の飢えと渇きを満足させると信じられています。シュラッダの儀式は、死の最初の年が非常に重要です。

ブラフミン(司祭、教師)が、シュラダ(誠意と信仰を持って行われる儀式)を執り行います。ホーマ(護摩)が焚かれ、火神アグニ、ソーマ、先祖に供物を捧げます。マントラが唱えられ、神々を招き、アールティ(賛美歌)を歌い、法螺貝が吹かれます。ヴィシュヌとヤマ(閻魔)への崇拝が捧げられます。ダルバ草の輪を身に着け、祖先は呼び出され、その輪に常駐します。

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供物は、ギー、ミルク、砂糖、サフラン、穀物、香、種、花、ハーブです。   この期間にカラスに食べ物を提供する習慣があります。カラスが食べると供物は受け入れられたとみなされます。カラスはヤマ(閻魔)の使いのメッセンジャーであり、先祖の精神であると信じられています。牛と犬にも食べ物が与えられ、ブラフミンにも食物が提供されます。先祖(カラス)とブラフミンが食べた後、家族は昼食を始めることができます。

カルナは、マハーヴァーラタ(偉大なるヴァラタ族の物語)に登場する英雄。耳または耳飾りを着けた者の意味で、太陽神スーリヤの息子。母クンティの出産時の要求が叶えられ、カルナ は黄金の鎧と耳飾りを着けた姿で生まれてきました。雷神インドラ(帝釈天)は天の支配者で、カルナ が亡くなり天に昇った時、食物として黄金と宝石を提供しました。カルナ は、本物の食物が必要で、なぜ黄金を食物として提供するのかインドラに尋ねました。インドラは、「カルナ の先祖にはずっと黄金を提供していて、食物を提供したことは一度もない。」と答えました。カルナ は先祖を知らず、先祖に今まで何も寄付しなかったと言いました。償いのためにカルナ は15日間地球に戻ることを許可されました。カルナ は先祖のためにシュラダを執り行うことができ、先祖に食物と水を捧げることができたのです。

 六世代(前三世代、自分の代、後二世代)の名が暗唱され、血統のつながりを認識します。4日目(Chaturthi)、5日目(Panchami)は過去1年間に亡くなった人のために、9日目(Navami)は夫より先に亡くなった女性のために息子がシュラダを執り行い、母、義母、曽祖母のみに捧げられます。夫の存命中のみ行われます。12日目(Dvadasi)は世俗的快楽を放棄し禁欲します。14日目はGhata Chaturdasiとして知られ、戦争で亡くなった人、人の手によって亡くなった人、暴力的な死に苦しんだ人々のためにシュラダを行います。

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外食を避け、家で作った料理を食べます。米、ノンヴェジ、にんにく、たまねぎ、茄子、レンズ豆(masoor)、ひよこ豆(chana)、ブラックダル(Kali Urad)、ブラッククミン(black jeera)、ブラックソルト、ブラックマスタードは避けます。

シュラダを執り行う人は、入浴して心身を清め、清潔な服を着ます。期間中に爪切り、剃毛、断髪はしません。革製品は持ちません。鉄器は使いません。黒い花や赤い花、香りの強い花と全く香りのない花は供えません。人との会話のためにマントラを途中で止めてはなりません。

期間中は、新しい服を買わない、新居に入らない、新しい仕事を始めない、起業しない、お祝いをしない、家に新しいものを持ち込まない、新しい車を納車しないなど、新規に開始するには向かない刻のようです。期間中に限らず守りたいことですが、嘘をついたり、酷い言葉を使ったり、人を呪ってはいけません。

何か始めたかったら、直前のガネーシャチャトゥルティの10日間で始めとけってことですね。

2022年のピトリパクシャは、9月11日から、サルヴァピトル アマヴァスヤの9月25日までです。2023年9月30日からサルヴァピトル アマヴァシャ10月14日までです。2024年プルニマシュラッダが9月17日、サルヴァピトルアマヴァスヤが10月2日。2025年プルニマシュラッダが9月7日、サルヴァピトルアマヴァスヤが9月21日です。Don't miss it !








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