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ヒマラヤ便り60号 アディカマーサ(余月)

ナマステ~!毎日暑い日が続きますが、ケーセーホ?
本日は、タイムリーに発生した閏月に相当するアディカ マーサについて
お便り致します!

@Parvati River

太陽月ラーシと太陰月マーサ

アディカ マーサとは、約3年毎に発生する臨時太陰月です。
ヒンドゥ暦では、太陽の動きに基づいた太陽月ラーシ(Solor month)と
月の満ち欠けに基づいた太陰月マーサ(Lunar month)があります。
太陰月マーサは、太陽月ラーシに対応しています。

太陽月ラーシは、天球を30°毎に12等分した黄道帯上の太陽の移動で、
一年に12回、ミーシャからスタートし、順にラーシを移動します。

太陰月マーサは、月の満ち欠けを基準に、朔の翌ティティから望までの15ティティをシュクラ パクシャ、望の翌ティティから朔までの15ティティをクリシュナ パクシャと呼び、合計30ティティが太陰月マーサになります。
マーサの名称は、黄道から5,9°傾いている白道(月の通り道)を13°20'毎に27分割したナクシャトラに因んだ名前がつけられています。


  太陽月ラーシ           太陰月マーサ

  1.    ミーシャ(白羊宮)      2.     ヴァイシャカ

  2.    ヴリシャバ(金牛宮)     3.     ジェシュタ

  3.    ミトゥナ(双児宮)      4.     アーシャーダ

  4.    カルカタ(巨蟹宮)      5.     シュラヴァナ

  5.    シンハ(獅子宮)       6.     バドラパダ

  6.    カニャー(処女宮)      7.     アシュヴィン

  7.    トゥラー(天秤宮)      8.     カルティッカ

  8.    ヴリシュチカ(天蠍宮)    9.     マンガシルシャ

  9.    ダナ(人馬宮)         10.     パウシャ

  10.     マカラ(磨羯宮)        11.    マガ

  11.     クンバ(宝瓶宮)        12.    ファルグナ

  12.   ミーナ(双魚宮)         1.    チャイトラ

3年に一度のアディカ マーサ

太陽月ラーシは、一ヶ月30日か31日で、太陰月マーサは、1ヶ月29,5日です。太陽月ラーシの1年は365日、太陰月マーサの1年は354日で構成されています。両者の間で1年で11日の差が生じます。3太陽年毎に両者の差が丸1ヶ月になります。
ラーシとマーサを同期するために、アディカ マーサがあります。(ヴァシシュタ・シッダーンタでは、32マーサ16ティティ8ガティ毎に起こると記載されています。)

アディカ マーサの位置は、固定されておらず、任意の2つのマーサの間でランダムに発生します。(2023ナラ年はシュラヴァナ月、2026シッダ―ルティ年はジェシュタ月、2029ルディロドガリ年はチャイトラ月、2031クロダナ年はバドラパダ月、2034ヴィバヴァ年はアーシャーダ月にアディカマーサが加わります。)
各月に一回だけ、太陽がラーシから次のラーシへ移動するサンクランティがあります。

アディカ マーサは、サンクランティが無い期間に起こります。
2023年は、プルニマンタ方式(北インド暦)では、
6/5にアーシャーダ月が始まり、6/15ミトゥナ サンクランティ、
7/3の望で完了。

7/4にシュラヴァナ月が始まり、7/17カルカ サンクランティ、
8/1の望で完了(アディカ プルニマ)。

8/2にアディカ シュラヴァナ月が始まり、
8/16の朔で完了(アディカ アマヴァシャ)。

8/17に再度シュラヴァナ月が始まり、同時にシンハ サンクランティ、
8/31の望で完了します。

アディカ マーサの期間中は、縁起の良いアクティヴィティには適さず、結婚、新築祝い、新アイテムの購入などは避けます。アディカ マーサでは、緊縮財政を行う上で非常に重要であり、ヴィシュヌの別形態プルショッタムに捧げられます。

最も縁起の良い聖なる月 シュラヴァナ月

サワン月(モンスーンの月)とも呼ばれるシュラヴァナ月は、
1年の内で最も縁起の良い月として、聖なる月として知られています。
ヒンドゥ創世記「サムドラ・マンタン 乳海攪拌」の時に、不死の蜜アムリタと共に発現した猛毒ハラーハラは、シヴァが呑み込み喉に留めることによって、世界とすべての生物が救われました。その後、アスラ神族とデーヴァ神族は、毒の影響を軽減するために、ガンガジャル(ガンジス川の水)と牛乳をシヴァに捧げました。
この出来事は、サワン月に起こったため、現在でもサワン月にガンジス川付近の神聖な場を訪れ、サワンシヴァラトリの日に、ガンガジャルをシヴァに捧げます。サワン月には牛乳を飲むことが禁止されています。

サワン シヴァラトリ

シヴァ神を称え、シヴァ神の祝福を得るシヴァラトリは、年に12回あります。毎月クリシュナ パクシャのチャトルダシ(14日目)は、シヴァに加護されたシヴァラトリです。これをマシク シヴァラトリといいます。ファルグン月に行われるマハーシヴァラトリは、1年の中で最も盛大に祝われます。

シュラヴァナ月のシヴァラトリは、サワン シヴァラトリとして知られ、シュラヴァナ月全体がシヴァ プジャの実施に捧げられるため、サワン月のマシク シヴァラトリは非常に縁起が良いです。

北インドの有名なシヴァ寺院カシ ヴィシュワナートとバドリナート ダームは、スワン月に特別なプジャとシヴァ ダルシャンを行います。
何千人ものシヴァ神信者がサワン月にシヴァ寺院を訪れ、ガンガジャル アビシェーカ(ガンジス川の水による灌頂)を受けます。

※シュラヴァナ月のサワン シヴァラトリは、プルニマンタ方式を適用する北インドのウッタラーカンド州、ラジャスタン州、ウッタル・プラデシュ州、マディヤ・プラデシュ州、パンジャブ州、ヒマーチャル・プラデシュ州、ビハール州で人気があり、アマンタ方式を適用する南インドのアンドラ・プラデシュ州、マハーシュトラ州、カルナータカ州、グジャラート州、タミルナードゥ州では、アーシャーダ月のマシク シヴァラトリがサワン シヴァラトリに相当します。

サワン シヴァラトリに信者は断食をします。シヴァラトリの前日トラヨダシ(13日目)の食事は一回だけにします。
当日は、朝の儀式を終えた後、サンカルパ(厳粛な誓い)をして終日断食します。サンカルパでは、断食期間中、自己決定を誓い、誰にも邪魔されずに断食を終えることができるようシヴァの祝福を求めます。

シヴァプジャを行う前とシヴァ寺院を訪れる前の2回入浴をする必要があります。シヴァプジャはニシタ カーラ(深夜の時間帯)に行い、翌日の入浴後に断食を解きます。

断食の恩恵を最大限に得るために、日の出からチャトルダシ(14日目)のティティの終わるまでの間に断食を解かなければなりません。従って、シヴァプジャと断食解きの両方をチャトルダシ ティティ内に行うべきだと考えられています。

サワン ソマワラ ヴラット 

サワン月には、信者はソマワラ(月曜日)毎に断食をします。
これは、純粋な意図と献身をもってシヴァを崇拝するためです。

未婚女性は、マンガラ ガウリ ヴラットと呼ばれる、マンガラワラ(火曜日)の断食をします。ガウリは、「黄金または白く輝く者」という意味のパールヴァティの別名で、パールヴァティの狂暴な形態カーララトリがガンジス川で沐浴をして、明るく輝きました。
マンガラ ガウリヴラットは、良い旦那さんを得られるように願いをこめて実施されます。

ハリヤリ アマヴァシャ

ハリヤリ アマヴァシャ(緑の朔)は、聖なる月サワン月のもう一つの非常に縁起の良い日です。通常、サワン シヴァラトリの1~2日後、ハリヤリ ティージの3日前になります。2023年は7月17日(月)。2024年は、8月24日(日)です。Don't miss it !



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