ヒマラヤ便り52号 不死の蜜の壺
ナマステ~!本日は、長いこと書くタイミングを見計らっていた「世界最大の平和的集会・巡礼者の集合」クンブメーラについてお便りしたいと思います!
ヒンドゥ創世記サムドラマンタン(乳海攪拌)
不死の蜜アムリタをめぐるスーリヤとチャンドラの活躍は、ヒマラヤ便り51号で。
マグ メーラ マガ月の祭り
19世紀以前に「クンブメーラ」と呼ばれる大規模な巡礼が行われていたことを示す歴史的証拠はありません。1858年から1947年のイギリスによる植民地時代への反動は、古代マグメーラを現代クンブメーラとして再動員することに影響しました。
聖地ハリドワールでは、クンブ(水瓶座)に従って開催される12年の周期についての言及があるため、ハリドワールでのメーラが「クンブメーラ」の元となったと考えられています。17世紀後半から18世紀半ば頃の文献で「クンブメーラ」という用語を使用して、ハリドワールの祭りを説明されていますが、プラヤグ(アラーハーバード)でマガ月に毎年行われる「プラヤグ メーラ(マグ メーラ)」も、ナシクの12年毎に木星がシンハ(獅子座)に入る時に開催される「トリンバック メーラ」も沐浴巡礼の歴史としては古いものの「クンブメーラ」という用語は使用されていません。
プラヤグの「マグ メーラ」がもっとも古くから行われており、初期プラーナ文献で言及されているため、起源は紀元前まで遡ります。宇宙の起源である「マグ メーラ(マガ月のメーラ)」は、聖地アラーハーバード(プラヤグラジ)で創造主ブラフマーによる宇宙の創造をヤジュナ(火の儀式)や祈りによって祝います。現在は「マグ クンブ」とも呼ばれています。
「マグクンブ」は、マカル・サンクランティ(スーリヤ(太陽)がマカラ(山羊座)に入った日)に始まり、ポウシャ月のプルニマ(望)、
マウニ・アマヴァシャ(静けさの朔)、
ヴァサント・パンチャミ(春の五日目。春の訪れへの準備を祝う日)、
マガ・プルニマ(マガ月の望)を経て、
マハー・シヴァラトリ(偉大なシヴァの夜)で締めくくります。
グレゴリオ暦に換算すると、2023年は1月6日から2月18日です。
2024年は、1月15日から3月9日です。
2081ピンガラ年(西暦2025年)※日本での日付
マカール・サンクランティ 1/14(火)
ポウシャ・プルニマ 1/14(火)
マウニ・アマヴァスヤ 1/29(水)
ヴァサント・パンチャミ 2/3(月)
マガ・プルニマ 2/12(水)
マハー・シヴァラトリ 2/26(水)
マウニ・アマヴァシャ「静けさの朔」
ヒンドゥで最も神聖な川であるガンジス川の水は、マウニ アマヴァシャの日に蜜に変わると信じられています。 ヒンドゥ暦では、この信念によりマウニ アマヴァシャの日は、ガンジス川で沐浴をする最も重要な日です。
北インドの暦(望を完了とし、クリシュナ パクシャを月初とするプルニマンタ方式)では、マウニ アマヴァシャはマガ月の真ん中に当たり、マギ アマヴァシャとしても知られています。 マウニ アマヴァシャの日だけでなく、マガ月の間に多くの人々は、ガンジス川で沐浴をします。 沐浴の儀式は、パウシュ プルニマ(パウシャ月の望)から、マガ プルニマ(マガ月の望)の間、毎日執り行われます。
クンブメーラの期間中、マウニ アマヴァシャ は アラーハーバード の プラヤグ で最も重要な入浴日であり、アムリットヨーガの日、および クンブプルヴァ の日として知られています。
マウニ(静けさ)の名前が示すように、ヒンドゥでは、人々が一日中一言も発せず、一日の断食を守ることを誓う沈黙の日でもあります。
マガ プルニマ 「マガ月の望」
マガ プルニマ は、ヒンドゥ暦の重要な日です。 宗教的テキストは、マガ月に観察される聖なる入浴と苦行の栄光を説明しています。 マガ月の毎日は、慈善活動を行うための特別な日であると考えられています。 マギ プルニマ としても知られている マガ プルニマ は、マガ月の 最終日であり最も重要な日です。 この日人々はガンジス川、ヤムナ川、架空の川サラスワティ川の合流点であるプラヤグで、聖なる沐浴、施し、牛とホーマ(護摩炊き)の寄付などの特定の儀式を行います。
マガ月の間、人々はガンジス川またはヤムナ川で早朝に沐浴をします。 パウシュ プルニマ(パウシャ月の望)から始まる毎日の入浴は、マガ プルニマで終わります。 この時期に行われたすべての慈善活動は、容易に実を結ぶと信じられています。 したがって、人々は能力に応じて貧しい人々に慈善を提供します。 また、この日は、プラヤグのガンジス川のほとりに設けられた 1 か月間のキャンプであるカルパワスの最終日でもあります。
日取りと開催地
「クンブ」は「水瓶・壺・瓶」という意味で、「メーラ」は「団結・合流・集会」という意味です。ブリハスパティ(a.k.aグル、木星)が完了する革命を祝うために開催されます。儀式的な沐浴、浸水が特徴で、聖人による説法、僧や貧しい人への大量の炊き出しを行う祭典です。動物に対する暴力を容認しない伝統により、会場は菜食主義が厳密に守られています。2001年には6000万人、2013年3000万人、2019年5000万人の人々が集まりました。
開催地と日取りは、スーリヤ(太陽)の位置とチャンドラ(月)の相で決まる他のヒンドゥのお祭りとは異なり、スーリヤ(太陽)とチャンドラ(月)の位置だけでなくブリハスパティ(a.k.aグル、木星)の位置によって決定され、約45日間お祭りが続きます。
ブリハスパティ(木星)は、天球のラーシ(黄道12宮)から元のラーシへ12年かけて一周します。スーリヤ(太陽)が黄道360°を一周するのにかかる時間を1太陽年とし、ブリハスパティ(木星)が黄道360°を一周するのにかかる時間は12太陽年(11,86太陽年)です。一周を「完了」として、革命をお祝いするわけです。(約8周期ごとに暦年調整されます。)
開催周期と沐浴日
クンブ・メーラは、4つの聖地で持ち回りで開催されます。スーリヤ(太陽)とチャンドラ(月)、そして我らがグル・ブリハスパティ(木星)の位置で、どの聖地で開催されるかが決まります。
「プルナ・クンブメーラ」、「アルダ・クンブメーラ」、「マハー・クンブメーラ」があり、開催地と開催の周期が決まっています。プルナは「満杯」、アルダは「半分」、マハーは「偉大な」という意味です。
「クンブメーラ」4か所で12年毎
「プルナ(満杯)クンブメーラ」アラーハーバードで12年毎
「アルダ(半分)クンブメーラ」ハリドワールとアラーハーバードの2つのプルナ クンブメーラの間に6年毎
「マハー(偉大な)クンブメーラ」アラーハーバードで144年毎(12プルナ クンブメーラ毎)
ウッタラーカンド州ハリドワールでは、ブリハスパティ(木星)がクンバ(水瓶座)に位置し、スーリヤ(太陽)がミーシャ(牡羊座)に入った時にクンブメーラが開催され、ブリハスパティ(木星)がシンハ(獅子座)に位置し、スーリヤ(太陽)がミーシャ(牡羊座)に入った時にアルダ・クンブメーラが開催されます。マーサ(月の相がアマヴァシャ(朔)の時のラーシ(太陽月に対応した太陰月)はチャイトラ月で、リトゥ(6季節)は、ヴァサント(春)です。沐浴はガンジス川で行われます。
・初沐浴日 シヴァラトリ(ファルグン月クリシュナ チャトルダシ14)
・第2沐浴日 チャイトラ アマヴァシャ(チャイトラ月の朔)
・第3沐浴日 ミーシャ サンクランティ(太陽が牡羊座に入った時)
クンブメーラ1998・2010・2022
アルダ クンブメーラ1992・2004・2016・2028
※ハリドワールのアルダクンブメーラは、あまり重要視されていない。
同年のほぼ同じ時期にウジャインでクンブメーラが開催されるためだと考えられている。
ウッタル・プラデシュ州アラーハーバード(古称は「出会いの場所」「合流点」という意味の「プラヤグ」)では、ブリハスパティ(木星)がヴリシャバ(牡牛座)に位置し、スーリヤ(太陽)がマカラ(山羊座)に入った時にプルナ・クンブメーラが,、ブリハスパティ(木星)がヴリシュチカ(蠍座)に位置しスーリヤ(太陽)がマカラ(山羊座)に入った時にアルダ・クンブメーラが開催されます。プルナ、アルダともに12年毎で、プルナ、アルダが交互に6年毎に開催されます。マーサ(太陰月)はマガ月で、リトゥ(6季節)は、シシラ(冬)です。「マグ・クンブメーラ(マガ月のクンブメーラ)」沐浴は、3つの聖なる川(ガンジス川・ヤムナー川・神秘の川サラスワティ川)の合流点トリヴェ二サンガムで行われます。
・初沐浴日 マカール サンクランティ(太陽が山羊座に入った時)
・第2沐浴日 マグ アマヴァシャ(マガ月の朔)
・第3沐浴日 ヴァサント パンチャミ(マガ月シュクラ パンチャミ5)
マハークンブメーラ2013・2157
プルナ クンブメーラ1989・2001・2025
アルダ クンブメーラ1983・1995・2007・2019・2031
マハラシュトラ州ナシクでは、ブリハスパティ(木星)がシンハ(獅子座)に位置し、スーリヤ(太陽)がシンハ(獅子座)に入った時に、シンハスタ クンブメーラが12年毎に開催されます。マーサ(太陰月)は、バドラパダ月で、リトゥ(6季節)はヴァルシャ(モンスーン雨季)です。沐浴は、ゴーダーヴァリ川で行われます。
・初沐浴日 シンハ サンクランティ(太陽が獅子座に入った時)
・第2沐浴日 バドラパダ アマヴァシャ(バドラパダ月の朔)
・第3沐浴日 パルスヴァ エカダシ(バドラパダ月シュクラ エカダシ11)
クンブメーラ1991・2003・2015・2027
マディヤプラデシュ州ウジャインでは、ブリハスパティ(木星)がシンハ(獅子座)に位置し、スーリヤ(太陽)がミーシャ(牡羊座)に入った時、シンハスタ クンブメーラが12年毎に開催されます。マーサ(太陰月)はヴァイサカ月で、リトゥ(6季節)はヴァサント(春)です。沐浴は、シプラ川で行われます。
・初沐浴日 チャイトラ プルニマ(チャイトラ月の望)
・第2沐浴日 チャイトラ アマヴァシャ(チャイトラ月の朔)
・第3沐浴日 ヴァイサカ プルニマ(ヴァイサカ月の望)
クンブメーラ1992・2004・2016・2028・2040
ハリドワールのアルダ クンブメーラは、ウジャインのクンブメーラと同年に組織される。
ナシクのシンハスタ クンブメーラの1年後にウジャインのクンブメーラが組織される。
アラーハーバードの、プルナ クンブメーラとアルダ クンブメーラは6年毎に交互に組織される。
ハリドワールの、クンブメーラとアルダ クンブメーラは6年毎に交互に組織される。
ハリドワールとアラハーバートは、交互に3年毎にいずれかのクンブメーラが組織される。
ナシクのシンハスタ クンブメーラは、アラーハーバードのプルナ クンブメーラの2年後に組織される。
ウジャインのシンハスタ クンブメーラの3年後に、アラーハーバードのアルダ クンブメーラが組織される。
アラーハーバードのプルナ クンブメーラの3年後に、ウジャインのシンハスタ クンブメーラが組織される。
シンハスタ クンブメーラ
ナシクでは、ブリハスパティ(木星)がシンハ(獅子座)に位置する時に、シンハスタ クンブメーラが組織されます。
ウジャインのクンブメーラは、18世紀に起源不明の地元のお祭りにナシクのトリャンバケシュワール シンハスタの修行僧を招待したことから始まりました。シヴァ神のスワヤンブー(Svayambh=自己権化した、自ら生まれた、自発的に作成された、自己存在する)リンガムの住居である「マハカレシュワル ジョーティルリンガ寺院」に特別な敬意を払います。
1789年、ナシクでシャイヴァ(シヴァ派)サ二ヤシとヴァイシュナヴァ(ヴィシュヌ派)バイラギが衝突した後、2つのグループは別の場所で沐浴するよう命ぜられました。それまでは、両派ともナシクから30km離れた「トリャンバケ シュワール」のクシャバートで沐浴をしていましたが、以後ヴィシュヌ派はゴーダーヴァリ川のラーマクンダで儀式を行います。ウジャインでも、この規則が守られており、シプラ川の対岸でそれぞれ沐浴をします。
ナシクは、サンスクリット語の「鼻 ナシカ」が語源で、ラーマ卿の願いにより、ゴーダーヴァリ川のほとりでラクシュマンが悪魔シュルパナカの鼻を切り落としたことが由来しています。
自己浄化
沐浴、または祈りを伴い聖なる川の水に浸ることは、クンブメーラの中心的儀式です。祭りの期間中、特に縁起の良い日に聖なる川に集まり沐浴をします。
人々は、ヒマラヤやインドの他地域からメーラに降りてくるサドゥ(行者、聖人)のダルシャン(サンスクリット語で「見ること」。特に聖人を見ること。足に触れて徳を積むこと)を迎えるために集まります。
ティルタ(巡礼)と聖なる川での沐浴は、サムサーラ(輪廻転生)のサイクルからモクシャ(解放、解脱、悟り)に達する手段であり、自己浄化の手段です。罪や過ちを犯した者、過ちを悔い改めた者、そしてこれら過ちに対するプラヤシチッタ(贖罪、苦行)の手段として推奨されています。
直近のクンブメーラ
2025年アラーハーバードのプルナ
初沐浴日1/14 第2沐浴日1/29 第3沐浴日2/3
2027年ナシクのシンハスタ
8/17・8/31・9/11
2028年のハリドワールのアルダ
2/23・3/26・4/14
2028年のウジャインのクンブ、
4/9・4/24・5/9
2031年のアラーハーバードのアルダ
1/15・1/23・1/27
2034年のハリドワールのクンブ
2/17・3/20・4/14
2039年のナシク、2040年のウジャインのシンハスタ