Don't be cruel 〜医療に関しては国民に優しくないアメリカ

先日、LAに移住して約4年で初、歯科医院に行ってきました。

アメリカの医療費が鬼のように高額であることは世界中で知られていることと思います。特に歯(と目)は加入している保険会社や種類によってはカバーしていないことも多い冷酷ぶり。以前、歯の詰め物だけでも日本円で何十万もかかると聞いて震えあがり(友人は保険がきいても1000ドルしたと言っていた(白目))、普段からしっかり歯のケアをし、日本に帰省するたびに行きつけの歯科医院に検診に行っていました。

というのも、私はアメリカの健康保険には未加入なのでございます。普段はフリーで翻訳の仕事をしていてどこにも無所属のためそもそも団体保険には入れないし、パートナーも個人事業主、さらに高齢者なので国のメディケアに加入しているため、本来なら私のような身分では自分で(バカ高い)民間の保険会社の保険に入らなくてなりません。ここがLAに移住してまず突き当たった問題でした。

でも、パートナーの友人で保険会社に務める人の「アメリカのバカ高い健康保険なんか入らなくていい。日本の素晴らしい国民皆保険制度を利用し続けられるならそうしなさい。いざとなったらなんとかなるから」というありがたいアドバイスに素直に従い(オバマケア下の保険加入義務は事実上廃止されています)、今でも日本の国民健康保険を払い続けています。なので、日本に帰省するたびに歯科検診やその他の検診を受けに行っています……が、気軽に帰省できない昨今の状況(号泣)。

歯の詰め物が取れる数日前、就寝前に歯を磨いていたときに「次はいつ検診に行けるのかな……忘れられてたらどうしよう(カルテがある限りそんなことはないんだけどw)」なんて薄らぼんやり思っていたんですよね。それが虫の知らせだったのか、別に硬いものを食べていたわけでもなく、普通に白米を食べていたときに、ポロッと詰め物が取れやがりました。どんなに気をつけていても外れるものは外れる。そのときの絶望感たるや(泣)

放置しておくわけにもいかないので、泣く泣くパートナーのかかりつけの歯科医院に行ってきました。結果、かかった費用は1850ドル也。これでも、保険未加入のわりに良心的な金額だと思います(涙目)。

本当に、日本の国民皆保険制度って素晴らしいと心の底から実感しましたよね。

そりゃー、医療費が無料という国もあります。良さげに聞こえますけど、ただその分落とし穴もあります。スウェーデン人から直接聞いたところによると、その分税金が高いのはもちろんのこと、地域の指定された病院にしか行けないし(そこがヤブだった場合は最悪)、レントゲンを撮るだけの予約が半年先だったり、予約待ちの間に病状が悪化して帰らぬ人になったり……というのもざらで、必ずしも医療費無料が良いことでもないそうな。

それに対して日本はどこでも飛び込みで入っても診てもらえるし、保険さえ入っていれば診察代・医療費はそんなに高くない。保険自体もそんなに高くない。取れた詰め物を治すだけの簡単な治療ならきっと1万円もしないよね?

ただ、アメリカの歯科技術についてフォローしますと。本当にこれは私個人の印象ですが、日本よりもレベルがやや高いような気がしました。昔日本で治療した、取れた詰め物はインレー、いわゆる銀歯でしたが、今回の治療でつけてもらったのはポーセレンクラウンで、見た目も本物の歯みたいで綺麗です。こちらではスタンダードらしく、アメリカでは保険がきくのはいいと思いました(未加入だから自分には意味ないが)。これは日本では保険適用外ですよね。それでも1本でこんなにしないかもしれないけど(泣)。

に、しても、やはりアメリカは医療に関しては国民に優しくない。高齢者・障害者にはメディケア、低所得者にはメディケイドという制度があるものの、そこそこ収入がある若い世代にはno mercyです(号泣)。

だからアメリカ人はちょっと風邪をひいたぐらいでは診察を受けないし、大きい手術をした人がカンパを募るのがポピュラーなのもうなずけます。しょっちゅう病院にかかっている人にとっては、アメリカは地獄だと思います。なんかもう、日本に生まれたことが既得権なような気がしてきましたわ。

余談。担当の歯科衛生士のお姉さんがロック好きで、以前バンドでドラムをやろうと思い立ち、練習を始めたところ妊娠が発覚してそれきりになっちゃった、という話をしてくれたのは楽しかったなぁ(笑)私もバンドでドラム担当だったからそりゃ話も弾みます。2回目の治療のときにThe Runawaysのシャツワンピを着て行ったら、お姉さんにものすごく褒められました(笑)。




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