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「生きているということ」

谷川俊太郎が亡くなった。
享年によると寿がれた命だ。

ある時期、詩人たちを代弁者に仕立てて、いっぱしの何者かになりすまそうとした若い頃があった。
あの頃は、才人たちの紡ぐ砂金粒の言葉の数々を纏い、選ばれた民だと錯覚できたのだ。

さらさらと砂時計は落ちてゆく。

群衆を生きて久しいある時、ふいに記憶が甦った。
『生きる』
これから羽ばたこうとしている希望の子らに伝えていきたいと思った。
滔々と読み上げ、たくさんのかれらの巣立ちに贈った。

そしてまた、いっぱしをてらう薄っぺらい自分を見る。

詩人はいつの時もわたしを試す。
それがあなたなのかと問うてくる。

大切に生きていこうと思う。

合掌


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