着実に、本気で。世界を変えていた「変なおばさん」
2082年✗月。神奈川県のとある家はなにやら賑わっていた。
老若男女問わず出入りしていて、楽しい音楽と話し声とおいしそうな香りがする。人々はそれぞれお得意の芸や食べものなどを持ち寄っていて、隣の人と笑いあっている。看板には『じゃぁな! フェス』。
「何のフェスですか?」と端っこにいる人に聞いてみると
「これね、お葬式なんだよ」
「え?????」
「そして、ぼくたちは本人が一番喜ぶ形でお見送りしているのさ」
こんな形を望むのも変な人だけど、それをやっちゃうのも変な人たちすぎる。その「変な人たち」、いま見えるだけでざっと1000人くらい。中には最近TVで見かけるような顔も混じっている。
「その人は誰なんですか?」
「さえこ だよ」
………誰?
実は愛本主義を語る上で欠かせない人物
わださえこは農家でありクリエイターでもある多作な人だった。資本主義に変わる概念として「愛本主義」が謳われるようになって久しいが、さえこは体現者として生き続けることで身近から確実に社会を変えてきたらしい。
「愛本主義」はTUMMYのあべなるみ氏から提唱された概念であるが、そもそも概念の誕生にさえこは関係しているらしい。
「愛本主義」の体現者として、最近有名な✗✗さんも、自分の原点を振り返るインタビューで「変なおばさんに救われたことがきっかけ」と話していたが、それはさえこのことらしい。
他にも「あれもか」「これもか」とさえこが関わったものの多さに驚く。なかなか重要人物な気がするが、あまり知られていないのはなぜだろう。
半径5 mの世界を着実に変えていた
それはさえこが「地に足をつけて」自身の近くのいる人、暮らす地域に関わり続けることにこだわっていたからかもしれない。愛本主義の基礎となる「自分を満たす」「らしさを生かしたお役立ち」の観点からみてみよう。
●「らしさを生かしたお役立ち」
働くスタイルとしてはスペシャリストというより、得意をもつマルチプレイヤーであった。
「関係性のwin-winつくり」の考え方を応用して、あらゆる活動で質の高いアウトプットをしていた。また、全て活動の根本にある思想は「愛本主義」であるので、関わった全てに「愛本主義」の思想が滲み出ている。
●「自分を満たす」
全国活発に飛び回っていた時もあるようだが、その時でさえ家族や地域との関係はいつもwin-winだったようだ。
その結果が『じゃぁな! フェス』に多様な人が集まること、その人たちが皆自分らしく生きていて幸せそうにしていることに繋がるのだろう。
うっかり足を踏み入れる
なるほど。
「なんか変な人たちだな」と最初は思ったけど、大人になっても感情丸出して歌って踊って笑っている人たちはなんだか羨ましくみえた。
「せっかく足を止めてくれたんだから一杯飲んでいきなよ!それから…」
あれよあれよという間に輪の中へ。
周りの話をきいていると同じ様に巻き込まれた人も多数。
帰るころには「なんかいいなぁ、また来年もあるかな?」なんて思っていた。おっと、こうして変人たちの世界に足をふみいれるのか。
……でも、それも悪くない。