花金鳳花日記 2019年10月30日
いよいよアートイベントの搬入の日になり、かなり気が乗らなかったが、血を流しながら重い身体を引きずり現地に設置に向かった。
誘ってくれたSさんとはこれが初めて一緒の仕事になるけれども、あまりの適当さに逆に面白くなって来て、『めっちゃチャラいな〜』と笑ってしまった。
親の会社の後継を蹴って、某大手レコード会社の広告・企画の仕事を経て、自分の好きな本を作りながらフラフラしている今年還暦になるバツイチだが自分の幸せに忠実で良い物を沢山持っているけど、社会的には成功できないタイプ。
40代の男性がああいう寅さん的な人に憧れる気持ちは分かるけれども、私は全部欲しいのだ。
社会的にも成功して、自分の幸せも感じたい。あれもこれも欲しい。
若い時には何かを得るためには何かを諦めないといけないと考えていたが、某出版社デザイン室長のHさんに会って考えが変わったのだ。
Hさんは私をイラストレーターにした人だ。
地位も名誉もお金も才能もあり家柄もよく余暇は趣味のバンドをやり、休日は某ギャラリーでのワークショップでイラストレーターを教え育てて慕われている。奥さんは才能溢れる銅版画家で美人だ。
この度は子供も生まれ順風満帆だ。
Hさんを見ていて思うのが、『求めよ、さらば与えられん』と言う事なのだ。Hさんはお忙しいであろうに教えている生徒さんの展示会の花が展示中長持ちする様に保存液の心配までしていて、枯れない様にHさん自ら持参して花瓶に入れているのを目撃してしまった。
どんだけ思いやりあるの?どんだけケアしてるのって話だ。生徒さんばかりか生徒さんの花の心配まで…
手が届く範囲を大切に大切に包まないとダメなのだ。
それが求めるという事だし、それだけ大切にすれば与えられて当たり前だ。
私もそうなれたら素敵だが、一日一日自分の制作に集中していたい。