おしゃれイズム最終回を観て思う東京ツッコミ芸人3人の違い

2021年9月26日の放送をもって、16年続いた番組「おしゃれイズム」が終了した。番組の後半には司会を務めるくりぃむしちゅー・上田晋也氏の相方である有田哲平氏が初登場し、上田氏の本性、また自身が選んだ名場面を紹介した。

その名場面というのが、ロケをしていたら、子供たちの大群がずっと付いてきてしまい、その光景に対して上田氏が放った、「これロッキーの撮影じゃないのよ!」という見事なたとえツッコミに対し、その場のほとんどがそれを知らず笑わず、上田氏と音声さんしか笑っていなかったというものだ。

この光景を見て、「ツッコミ」について考えてしまった。
「ツッコミ」は元々、大阪の漫才の一部で、他の地域にはツッコミは無かった(という)。つまり、大阪漫才を観ていないと、影響を受けていないとツッコミは習得できない、ということになる。

ちなみに、1988年生まれで、90年代から小学校という疑似社会で過ごした宇都宮出身の私には、ツッコミがある。この背景には、ダウンタウンやとんねるず(さらにひも解けばお笑いBIG3やドリフターズ、あるいは80年代からのお笑いブーム)といった、日常の風景で起こる偶発的事象に対してツッコミで笑いにするお笑いの表現方法がテレビで周知されたことにあると考える。

すなわち、高校時代というほとんどの人格が形成された頃にようやく漫才のボケ・ツッコミ文化が流布され始めた芸人にとっては、ツッコミをする事は、ツッコミを作るという発明だったのではないか。90年代に若手芸人時代を過ごしたコンビの有名なツッコミを解説し、違いと効果を検証したいと思う。

東京芸人を代表するツッコミ3選

まず、さまぁ~ずの三村マサカズ氏を挙げる。
さまぁ~ず・三村マサカズ氏のツッコミと言えば、「〇〇かよ!」という2000年代前半に大ブームになった名フレーズだが、これはコントで相方・大竹一樹氏が演じる変人に対し、その人の行為がなされるのに対し、その人を否定するのではなく、自分の気持ちを叫ぶ、という平和的なパフォーマンスであり、ある種の発明でもあるが、もしスベッても、自分の気持ちを言っただけなので、スベッたという事が伝わりづらい。

これに対して、爆笑問題・田中裕二氏のツッコミは、「そんなワケねえだろ!」「やめろよ!」といった、漫才中のツッコミが中心で、これらの言葉のほとんどは、相方・太田光氏(のボケ)に向けられている。
つまりツッコミは太田氏の毒の中和であり、言わばウケたら2倍、スベッたら2分の1という効果がある。

そしてくりぃむしちゅー・上田晋也氏のツッコミは、「〇〇じゃないのよ!」「■■だったら、〇〇してるわ!」といった“たとえツッコミ”が中心で、これはボケや変な事を行った相手に対して、直接言い聞かせるという、相方の有田哲平氏以外の人に行うにあたっては、相当なリスクを伴うものであると考える。
しかし、うんちく王でのブレイク、早稲田大学という最終学歴(インテリジェンス)、圧倒的な司会力という裏打ちが、このツッコミをサポートしているものと分析する。
(高校時代は番町で、ケンカが強かったという自信も加味している可能性もある)

しかしやはりこのツッコミのリスクは高い。そのリスクの覚悟をもって芸能界のトップを走る上田晋也氏には、敬服の念を表する。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?