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児童文学ことはじめ

息子のために、児童文学を探すようになった。
とは言っても息子はまだ一歳。
将来のためと言って、本を集めるのが好きな母の、息子にかこつけて始まった趣味のようなもので、メルカリも駆使しながら、我が家の本棚へ迎え入れてる。

きっかけになった本がある。
『たのしい川べ』という、川ネズミ、モグラ、ヒキガエル、アナグマなど、動物たちの暮らしや冒険を描いたもの。
母が持ってたターシャ・テューダーの本に、この本がいかに素晴らしいか、それをアニメ化したディズニーがどんなに罪なのか、ということが書いてあって、気になり古本で購入した。

まっすぐでマメな川ネズミ、ちょっと気弱でやさしいモグラ、頼り甲斐のあるアナグマ、見栄っ張りのヒキガエル。
モグラがなつかしのわが家を訪ねる話が特に好きで、故郷への想い、友だちを気遣う優しい心、ささやかだけどあたたかい食卓を準備すること、初めて会う隣人を招き入れるあたたかさ、そういうものがジンワリと押し寄せて、心をつかむ。

冒頭では、モグラが春のすばらしさに、部屋の掃除をほっぽって外を走り回ったり、カワウソの子を探しに行って、自然の美しさを体現するような神さまの姿をみたり、見栄っ張りで欲深いヒキガエルの冒険に、それでも憎めない覚えのあるところを感じたり、旅ネズミが巧みに語る、狂ったように旅へ駆り立てられてしまう話に、燃え立つものを思ったり、ささやかな暮らしの中にある心の動きが引き起こす、波、リズムは読んでいてスリリングだ。

作者のケネス・グレーアムは、生い立ちがなかなかに大変な人で、だからこそ幼少の頃に自然の中で過ごしたことが何よりの支えになっていたと知った。
だからこその、自然描写の美しさと強度か。

翻訳してる石井桃子は、くまのプーさんなどの翻訳もされた方で、海外児童文学を日本に広めるために出版社を作るなど情熱を燃やされた方だった。
こういう物語が私たちに届くまでには、作り手の人生や思いがある。
ありがとうございます。

児童文学には、失敗や事件も描かれる。
たのしい川べでも、ヒキガエルがとんでもない失敗をやってのける。
けれど、ヒキガエルを見放さない友達と、それでも一緒に前に進んでいこうと、呼びかけてくれる。
うんうん、こうやって私が集めたものは、やっぱり息子のパワーになり得る。
こうして、収集はつづく!

#たのしい川べ
#児童文学
#ほたろう本棚

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