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20200621
「ペイン・アンド・グローリー」…痛み、という設定がいい。それは精神的なことだけではなくて、フィジカル面を伴う痛み。母親、恋人、友人、そのどれもが今の自分を形作っている。「痛み」は彼の「栄光」でもある。
サルバドールの幼少時代の教え子(こちらの方が年上なのだが)で、彫像のような肉体を持つ彼が素晴らしい。ボカし無しなのも素晴らしい。うっとりしてしまう。ぜひ劇場で。
「家族を想うとき」…2度目の鑑賞。家族を愛するが故に貧困が加速していく。どれだけ働いても借金が増えていく社会システムの絶望感。働く意欲の根底にある「家族を守る」という意志そのものが、貧困を生み出すジレンマ。いっそ、家族なんかいない方がいいのではと?思わせる。家族愛を表現する場面が随所に入るだけに、結末が寂しくて、現実的。一家団欒の食事、家族全員を乗せたバンの高揚感、父親の窮地を心配する息子の真の顔、いつか訪れるであろう決裂を避けるために娘がついた嘘、、、絆は人の心を救うが、しかしその先にあるのは物理的な地獄。巧みな構成が光る。あえて救いを描かなかったところに、ケン・ローチのこれまで以上の怒りが見えた。